手早く食べられてお財布にもやさしい「立ち食いそば」。今回は、なかでも強烈に身体が欲し、訪れずにはいられない…そんな「無性に食べたくなる店」という基準で、立ち食いそばライター・平島憲一郎さんにオススメのお店を選んでもらいました。300店舗以上を訪れたライターが厳選した東京都内の珠玉の11店、ぜひみなさんも楽しんでみてください!
【立ち食いそばまとめ】これぞビジネスマンが求める味! ウマさがしみる「新橋の名店」ベスト4
その1
日本橋「よもだそば 日本橋店」
独創的なメニューを追求し立ち食いファンの支持は絶大
「よもだそば」は多彩なメニューで立ち食いそばファンに知られる人気店。昼のピーク時に行列ができるのはもちろん、それ以外の時間でも客足が絶えることがない。
同店の品揃えはとてもユニーク。「かき揚げそば」など王道メニューに加え、かけそばの上でチーズがとろける「チーズそば」や、季節ごとに具材が変わる山菜・山野草そばなど、ほかでは食べられないメニューも多い。
また、人気の理由はメニューの豊富さだけでなく、そばへのこだわりにもある。麺は店で毎日製麺し、打ちたてゆでたてを提供。季節ごとの温度や湿度の変化に合わせ、微妙に打ち方を変えるという。つゆはさば節、ウルメ節、宗田節(※)からだしを取り、コクがありながらすっきりした味に仕上げている。
天ぷらは揚げ置きだが、揚げている間にもどんどん注文が入るため、ほぼ揚げたて状態だ。また、カレーライスはこの店のもうひとつの名物。かけつゆをベースにインドカレーのスパイス、トマトの酸味、チキンのうまみを加えた本格派の味は、そば好きも浮気するおいしさだ。
ちなみに「よもだ」とは「やんちゃ」を意味する愛媛の方言。遊び心ある新メニューを開発しつつ、そばに真面目に取り組む姿には、立ち食いそば界のニュー・リーダーの風格さえ漂う。
※さば節…主にゴマサバから作られるかつおぶし。比較的脂肪分が多い/ウルメ節…ウルメイワシを原料としたかつおぶし。香ばしいだしがとれる/宗田節…ソウダガツオという小型の魚のかつおぶし。コクと香りに定評がある
ライターのレコメンド
「のどごしのいいそばにだしの効いたつゆは安心の品質。個人的にはイノシン酸とグルタミン酸のうまみの相乗効果が楽しめるチーズそば(370円)に天ぷらをトッピングするのが好みで、カロリーを気にしながら注文しています。週替わりで登場する新メニューも毎回気になります」(平島)
よもだそば 日本橋店
住所:東京都中央区日本橋2-1-20八重洲興業ビル1F
営業時間:7:00 ~ 22:00(月~金)、10:00~15:00(土、日、祝日)
定休日:無休
その2
日暮里「一由そば 日暮里店」
日暮里で働く人々においしいそばを24時間作り続ける
日暮里は「六文そば」が2店あるなど、立ち食いそば店が充実した町。なかでも人気なのが「一由そば」だ。同店のご主人は日暮里でおいしいそばを作り続けて40年の大ベテラン。平成20年の「一由そば」開店前は「六文そば」で長く働いていたそうだ。
店の特徴は天ぷらの数が多いこと。カウンター上のショーケースには、あじ天、いも天、ピーマン天など約30種類がズラリと揃っている。そばの一番人気は「いかげそ天そば」。大ぶりなゲソがゴロゴロ入って、衣もカリッと香ばしい。味もボリュームも大満足の一品だ。
また、天ぷらで麺が見えない「ジャンボゲソ天そば」も人気。2つの人気メニュー用に、いかげそ天は毎日500枚以上揚げているという。
麺は太めでモチッと食感のゆで麺。つゆは色が濃く、しょうゆが強めで甘みは少ない。宗田節、さば節、かつお節から取っただしはほどよい酸味とコクがあり、つゆに深みを与えている。
客層はガテン系からビジネスマン、タクシー運転手など様々。荒川区と共同で、栄養満点かつヘルシーな料理「あらかわ満点メニュー」を開発するなど、地域活動にも積極的だ。日暮里の町に根を下ろして24時間休まず営業する同店は、市民にとって頼りになる存在だ。
ライターのレコメンド
「昔ながらの立ち食いそばのイメージを大事に守りながら、いつも大盛況。多彩なトッピングのほか、サイドメニューにはゲソ寿司、ゲソいなりもあります。また、天ぷらの中には『半分』という量も値段も半分のメニューがあり、そばの小盛にトッピングすれば、小腹が空いているときに最適です」(平島)
一由そば 日暮里店
住所:東京都荒川区西日暮里2-26-8
営業時間:24 時間営業
定休日:無休(年始、盆を除く)
その3
大塚「みとう庵」
本格派の包丁切りそばが立ち食い価格で味わえる
平成18年開業の大塚「みとう庵」は、「包丁切り」のそばがウリの本格派。経営母体は霞ヶ関「日豊庵」などを手掛ける野川麺業で、上質なそばを低価格で提供する。
そばは北海道産の厳選されたそば粉を使った二八そば。親会社で幅広の生地(麺帯)に製麺して冷凍し、店で自然解凍して包丁切りすることで、そば粉の香りを損なわずに提供できる。
細身の麺は包丁切りらしく角がしっかり立っており、食べた瞬間にふくよかな香りと甘みが口の中に広がっていく。コシものどごしも文句なしだ。
だしは枕崎産のかつお節に宗田節、さば節を使用。引き締まったかえしと合わせ、高級店並みのつゆに仕上げた。
「きざみ鴨せいろ」は同店屈指の人気メニュー。鴨肉を湯引きして臭みを抑え、粗みじんにしてたっぷりのねぎを加えてつけ汁を作る。そばとともに鴨のうまみが口の中に広がり、一度ならず二度三度と食べたくなる。
また、揚げものも秀逸で、大きなえび入りのかき揚げは、揚げ油にごま油を使い、サクサクと香ばしく揚げている。えび天やちくわ天、野菜天も人気だ。
ちなみに「みとう庵」の店長は、一流老舗そば店の総料理長を務めたベテラン。卓越した技術が支える上質なそばを、ぜひじっくり味わってほしい。
ライターのレコメンド
「そば切りを自前でやるみとう庵のそばは、そばの香りとコシ、つゆの味わいともに立ち食いレベルをはるかに超えています。店内に入ると、店長さんたちのそばに対する真剣な姿勢が伝わってきて、思わず背筋を伸ばしてしまう。そんなタイプのお店です」(平島)
みとう庵
住所:東京都豊島区南大塚3-49 – 8
営業時間:11:00 ~ 15:30/17:00~20:00(月~金)、11:00 ~ 15:00(土)
定休日:日、祝日