家電は一度買ったら、長いつきあいになります。その間に、家族のライフスタイルが購入当時とは大きく変わってしまい、不便を感じることも少なくないのではないでしょうか。
家電のキャンペーンワードを「ハロー!ハピネス」に変更
日立アプライアンスは、家電製品のキャンペーンワードを変更すると発表。8年ほど掲げていた「エコに足し算」から「ハロー!ハピネス」に変更し、「ひとりひとりに寄り添い、暮らしをデザインする」を家電の新たなコンセプトとして掲げました。ユーザーの声を徹底的に調査し、ワーキングマザーやシニア世帯が増加したことをふまえ、ライフスタイルの変化にも対応できる家電を増やしていくとのこと。
たとえば、洗濯機であれば通常は節水に振り切っていましたが、家庭によっては「多少水を使っても泥んこ汚れを落としたい」という要望もあります。そういった個々の声を反映できる家電をめざし、ユーザー視点での商品開発をさらに強化するとのことです。
Wi-Fi接続でスマホ操作できるモデルを「コネクテッド家電」として発表
新コンセプト製品の第一弾として、今回発表されたのは冷蔵庫の「真空チルド」R-HW60J、およびロボットクリーナー「minimaru」RV-EX20と、IHクッキングヒーター「火加減マイスター」HT-L350KTWF。2月から順次発売していきます。そのうちロボットクリーナーとIHクッキングヒーターはWi-Fiで接続し、スマートフォンなどで操作できる「コネクテッド家電」として発表されました。
日立のいう「コネクテッド家電」とは、要するにIoTに対応した家電のこと。IoTとはIoTとはInternet of Thingsの略で、さまざまなモノがインターネットに接続され、新たな情報の取得や遠隔操作などができるほか、センサーなどでモノから情報を取得することが可能に。また、集積されたデータをクラウドに蓄積して、データを分析することも可能になります。
スマートフォンで好みの設定ができるロボットクリーナー「minimaru」
コンパクトで小回りの利くロボットクリーナー「minimaru(ミニマル)」RV-EX20は、スマートフォンの専用アプリで外出先でもインターネットから家庭の無線LANを経由して、掃除スタート、ストップ、掃除モードやスケジュール予約の設定、掃除履歴などの閲覧ができるようになりました。
また、家具の配置など状況に合わせて選べる「おこのみモード」では、壁際や反射、脚回り走行重視の設定がスマートフォンから簡単にできます。
さらに専用アプリでは、1台のミニマルを最大5台のスマートフォンから操作でき、1台のスマートフォンから最大5台のミニマルを操作できるようになりました。本体直径は250mm×高さ92mmで、充電時間は約3時間で掃除時間は60分、移動面積は最大約32畳。実売予想価格は約12万円(税抜・以下製品もすべて税抜)。
専用アプリで、レシピ検索や調理の設定ができるIHクッキングヒーター「火加減マイスター」
最近は料理本を見るよりも、スマートフォンでレシピを検索している人が増えているという。そういった背景をふまえて、新製品のIHクッキングヒーター「火加減マイスター」HT-L350Tシリーズは、Wi-Fiに接続できるようになりました。
スマートフォンでスマートフォンの専用アプリにて300種類のレシピ(IH調理80種類、オーブン料理220種類)が簡単に検索でき、Bluetoothで接続された本体に選択したレシピの火加減や加熱時間などの設定を送信することで、調理するまでの操作が手もとで簡単に行えます。
難しい火加減も自動で調整してくれるので、失敗が少なく、料理初心者でも美味しくできるといいます。また、調理の進行状況をリアルタイムにスマートフォンへ表示することもできます。あと何分で加熱が終了するか、スマートフォンで確認できるようになりました。
電圧は単相200V、総消費電力は5.8kW。カラーはプレミアムブラックのみ。実売予想価格は、トッププレート幅75cmのHT-L350KTWF(K)が46万2000円、幅60cmのHT-L350KTF(K)が44万2000円。
うるおい冷気と冷温2℃保存で鮮度が長持ちする冷蔵庫「真空チルド」HWシリーズ
真空(約0.8気圧)と密閉構造で食品の参加や乾燥を抑制する「真空チルド」を搭載した冷蔵庫は、日立の白物家電の中で特に人気製品です。新しい大容量冷蔵庫「真空チルド」HWシリーズは、冷却システムの構造を大きく見直した「冷蔵室独立冷却システム」が採用されました。
日立の調査によると、ユーザーは買ってきた総菜や準備した料理にラップして、次の食事までチョイ置きしたり、作り置きしている総菜を使いながら一週間程度保存したりする方が多かったとのこと。
そこで、冷蔵庫全体を1つの冷却器とファンで冷却する従来の構造を取りやめ、冷却器とファンを冷蔵庫専用と冷凍庫・野菜室専用に分けて2つに。従来構造では冷却器の温度が低くなるため、除湿され乾燥した冷気となっていましたが、新冷却システムでは冷蔵室用冷却器の温度を高くできるので、除湿量を抑えられるとのことです。
さらに、冷蔵庫にたっぷり入れても乾燥を抑えてしっかり冷やす「うるおい低温冷蔵」モードが搭載されました。こちらは、湿度の低下を抑え、庫内を約2~4℃に保つため、まとめて作った料理や惣菜が、鮮度を損なわずに保存できます。カレーなどの鍋を温かいまま入れても、鍋周囲の温度上昇を抑えながら冷却できるメリットもあります。
引き続き、人気の「真空チルド」やプラチナ触媒効果で炭酸ガスの濃度を高め、野菜の気孔を閉じて眠らせるように保存できる「新鮮スリープ野菜室」なども搭載。まとめ買いをする共働き世代の要望を取り入れ、より使い勝手に配慮したモデルとなっていました。
幅68.5×高さ183.3×奥行73.8cmで定格内容積602LのR-HW60Jは市場想定価格が約37万円(2月下旬発売)、幅65cm×高さ183.3×奥行69.9cmで定格内容積520LのR-HW52Jが約32万円(3月下旬発売)。
今後は「周回遅れ」を解消するような独自サービスに期待
家電のコネクテッド化について、今後推進していくこと名言した日立。現状はスマートフォンからも簡単に操作できる点がメリットですが、今後はソフトウェアをダウンロードすることで機能の追加や使い勝手の向上が期待でき、社外のパートナーと連携しつつ、新たなサービスを提供していくとのことです。
ただ、正直に言わせてもらえば、すでにIoT家電は日本を含む世界中で広まりつつあり、今回の日立の宣言は「周回遅れ」の感が否めません。とはいえ、「日立の技術力を結集する」との意気込みには期待が持てますし、ビックデータの活用や外部連携による新たなサービスも開始するということで、そこから独自のIoTプラットフォームが生まれるかも。今後の動向に注目したいですね。