女の子なのだから、普通に育って、普通に結婚して、幸せな家庭を築いてほしい……、という親の願いはすでに過去のもの。
『幸せに自立できる女性に育てる、大切な6つのこと』(山村裕志・著/学研プラス・刊)は、教育研究家によるこれからの時代の子育て指南書だが、これによると、高収入の男性は、それなりの仕事に就いている女性の中から相手を見つける傾向があるそうだ。つまり稼げる者同士がカップルになるわけで、のんびりしていると専業主婦というポジションを獲得することも難しい時代になったのだ。いったん貧困女子という立場になってしまうと、簡単にはそこから抜け出せないという現実もある。
娘の幸せを願わない親はいない。だからこそ、時代にフィットしたしつけをしていく必要があるのだ。
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10歳からの女の子に大切な6つのこと
私もひとり娘を育てた。娘はすでに大学生になっているので、この手の本を読んでもすでに時遅しだとは思うのだが、自分の子育てがどうだったのか反省する意味でも興味津々で読み進めた。
女の子を育てる上では6つの大切なことがあるそうだ。
・やりたいこと、欲しいものを自分ではっきりと言えること
・自分に与えられた役割、責任をしっかり果たせること
・明るく、礼儀正しく、人と接することができること
・整理整頓がきちんとできること
・日記と読書を続けられること
・落ち込んでも引きずらない、強い心を持つこと
(『幸せに自立できる女性に育てる、大切な6つのこと』から引用)
女の子は10歳くらいから、少しずつお姉さんっぽくなっていくものだが、この頃から自分の好きなもの大切なものなど”価値観”が芽生えていく。こうした時期がきたら、将来のために親は”しかけ”を施していく必要があるという。
「どっちでもいい」という曖昧さを正す
最近は女性の間の格差がクローズアップされるようになってきている。ひと昔前の「女の子なのだからガツガツせず、穏やかに育ってくれればいい」という考えはもはや通用しない。男の子と同じように、将来に向かってきちんと稼げる人間に育てなければならないのだ。
もし、あなたの娘さんが何かにつけて「別にどっちでもいい」、「どれでもいい」と言い方をすることが多いとしたら、これを放っておいてはいけないそうだ。
「テストではぜったいに100点をとりたい!」、「高校に行ったら、海外留学したい!」など、
自分の希望や夢を実現する子に共通しているのは、こういった気持ちを強く持っていることと、それをはっきりと表現できていることなのです。目標をしっかり口に出す子は、必ずやり遂げる、という傾向が傍から見てもはっきりしています。
(『幸せに自立できる女性に育てる、大切な6つのこと』から引用)
ここで大切なのは親がしゃしゃり出ないこと。母親というのは私も含めつい「あれをやりなさいよ」、「これがいいんじゃない」と言ってしまいがちだが、そこはグッとこらえなければならない。
女の子は、自分で考えて決めたことに関しては粘り強く取り組む傾向にあるそうだから、常日頃から何事も自分で考えて決める習慣を身につけるよう導きたい。
娘はどんどん人前に出す
今現在に満足しているから、あえてそれ以上のものは必要ないし、求めない。また「日本を出るつもりはないから、英語なんてできなくてもかまわない」という”内向き志向”の子どもたちが増えている。が、これを放っておくと、将来に仕事を得る機会、間口はどんどん小さくなっていってしまう。
本書の著者・山村先生は、女の子こそ母親が率先して人前に出していくべきだという。たとえば、ママ友たちとの集まりやさまざまな社交の場に、可能な限り娘も参加させてしまうのがいいそうだ。
なぜなら、まず、あたり前に挨拶ができるようになります。そして、大人たちの社交というものを肌で感じ取ることができます。
(『幸せに自立できる女性に育てる、大切な6つのこと』から引用)
親に「ほら、挨拶しなさい」と言われなくても、自然に挨拶ができるように仕向けることが大切。また母親がきちんとした言葉づかいで話していれば、そういう話し方も次第に抵抗なく受け入れられるようになっていく。
また、最近は家族がそれぞれスマホを持っていて、家庭の固定電話を使う機会も減っているが、
「人前に出す」という考えなら、電話が鳴ったら、子どもに出させるのもいいそうだ。
礼儀正しい受け答えとか、敬語の使い方など、電話対応は練習にはもってこいなのです。
(『幸せに自立できる女性に育てる、大切な6つのこと』から引用)
防犯上の問題がある場合は、常に留守電にしておき、知っている人からの電話とわかった時点で子どもに取らせるというのがいいかもしれない。
落ち込みやすい子にダメ押しをしない
「あなたはできない子」と言われ続けたら、女の子はどんどん自信を失ってしまう。母親の期待値が高すぎると起こりがちなケースで、これは娘を伸ばすどころか、追い詰めていってしまう。
山村先生によると、母親はいつも明るく応援し続けることが大切だという。
もしもテストでよくない点を取ったとしても「大丈夫。この次がんばりなさい」と励ましてあげたい。そして小さなことでも、できたときには「できたよね♪ やったね♪」と明るく言葉をかけることこそ、その子の最強の自信になっていくのだ。
子どもが自分に自信を持つように働きかけること、そして日ごろから。明るくハキハキした態度を身につけさせること。
(『幸せに自立できる女性に育てる、大切な6つのこと』から引用)
これは、いじめから身を守る予防策にもなるそうだ。
その他、本書にはありとあらゆるケースの女の子のしつけ方法が書かれているので、とても参考になるだろう。
が、いちばんのポイントは「女の子は母親の背中を見て育つ」ということ。成人したわが娘は良くも悪くも私によく似ている。母親が日ごろ、何気なくやっている一つひとつの行動が、やがてあなたの娘に乗り移っていく、という山村先生の言葉は、その通りだと思うのだ。
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【書籍紹介】
幸せに自立できる女性に育てる、大切な6つのこと
著者:山村裕志
発行:学研プラス
“幸せのイス取りゲーム”はもう始まっている!これまでと同じ育て方では、心の優しい、すてきな女性にはなれても、自立できる女性になるためには、もはや充分ではありません。大人の女性になったときに、期待される役割にきちんと応えられるように、子どものうちから欠かせない素養や行動習慣を持たせておく。これは、女の子を持つお母さんにとって、とても大切なことなのです。