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2019/8/6 21:45

声優になれるのは約1%? 大物有名声優が書く声優業界の話が生々しい

関智一という男性声優をご存知だろうか。国民的アニメ「ドラえもん」の骨川スネ夫、「機動武闘伝Gガンダム」のドモン・カッシュ、「昭和元禄落語心中」の与太郎、「STEINS;GATE」の橋田至(ダル)、「のだめカンタービレ」の千秋真一などなどなどなど、数々のアニメで主役級を演じてきた声優だ。

 

キャリアはすでに27年とベテランの域に達している彼が書いたのが『声優に死す 後悔しない声優の目指し方』(関 智一・著/KADOKAWA・刊)だ。

 

1%の狭き門

本書は、声優養成所の講師を10年以上務めた関が、声優を目指す若い人たちのために記したとのこと。声優とはどんな仕事なのか、どんな資質が必要なのか、そして現在の声優業界の仕組みなのか、かなり赤裸々に記されているのが特徴だ。

 

本書によると声優を目指す人は年間3万人に及ぶとのこと。

 

1年あたりの志望者3万人のうち、どこかの事務所に所属が決まり、協同組合日本俳優連合(日俳連)の新人にあたる「ジュニアランク」に登録されるところまで到達するのはわずか200人しかいません。確率的には、志望者の1%にも満たない人数しか声優になれないのです。

(『声優に死す 後悔しない声優の目指し方』より引用)

 

現在はアニメ番組も数が増えている上、スマホのアプリゲーム、テレビゲームなどもあるため、声優の需要は多い。しかし、いくら市場が広がっても、養成所や専門学校に通い、その後プロの声優になれるというのはほんのごく一握りだけのようだ。

 

 

声優のギャラはランク制

本書では、著者本人がどうやって声優になったのかという自伝的なパートもあるが、どちらかというと声優にとって必要な気構え、そして声優という仕事の本質などについて語られている。また、声優のギャラの面なども赤裸々に記されており、参考になる。

 

プロになり日俳連に登録したジュニアランクは給料は1本1万5000円。これは映像の長さには関係ない。そして、ジュニアランクでいられるのは3年間と決められている。

 

その後も声優を続けるのであれば、事務所と相談の上でランクを自己申請して「ランカー」となります。一番低い「ランク15」は、30分のアニメ作品であれば1本1万5000円。「ランク16」は1本1万6000円と、以降1000円刻みのランクは「45」まであり、その最上位は「ノーランク」と呼ばれ、ギャラは案件ごとの自由交渉になります

(『声優に死す 後悔しない声優の目指し方』より引用)

 

また、30分を超える作品に関しては、時間ごとに割増になるとのこと。人気作品でも深夜アニメでもギャラは同じなのが特徴だ。

 

声優にランクがあるのは知っていたが、具体的な数字やランクの仕組みについては初めて知った。ただし、声の仕事以外(テレビ出演や雑誌での原稿執筆など)はこれに関係ないため、都度交渉となるようだ。

 

実力派ゲス声優のまじめな一冊

本書はかなりシリアスな内容だが、声優を目指す人にとっては役立つだろう。

 

しかし、僕が一番驚いたのは、「あの関智一がまじめに語っている!」ということ。彼は、声優業界やそのファンには「ゲス声優」として有名。

 

ニコ生番組などに出演している彼は、たいてい女性声優にセクハラ発言をしているし、なんなら脱ぎ出したりもする。隙さえあればぶっ込んでくるので、要注意人物なのだ(それはそれでおもしろいのだが)。本書にも「ゲス声優と呼ばれて」というパートがあるので、興味のある方はご一読を。

 

そういうキャラが定着しているのだが、演技に関してはホンモノ。だから、本書の内容の説得力がある。声優を目指している人はもちろん、アニメファン、声優ファンが読んでもおもしろい一冊だ。

 

【書籍紹介】

声優に死す 後悔しない声優の目指し方

著者:関 智一
発行:KADOKAWA

キャリア25年、講師歴10年。クズなりに伝えておきたいこと。自分は声優を目指してもいいのか。勝算はあるのか。養成所や専門学校には入るべきなのか。何を学ぶのか。プロになったのになぜ仕事がないのか。どう生き残るのか。志望者・後輩に遺す声優論。“いつも”の関智一な、おまけ袋とじ付き!!

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