あなたの運転は大丈夫? 〜〜JAFシニアドライバーズスクール(東京会場)〜〜
高齢ドライバーが運転するクルマの事故が目立ってきている。痛ましい事故も多い。誰にでも忍び寄る身体の衰え。まもなく高齢にさしかかるシニア世代の人たち本人や、家族、社会はどのように対応していくことが必要なのだろうか。
JAF(日本自動車連盟)では、50歳以上向けに「シニアドライバーズスクール」という有料講習を各地で開いている。このスクール、どのような講習なのだろうか。どのように役立つのだろうか? 1日密着して、その効果を探った。
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【はじめに】社会の高齢化とともに突きつけられた交通事故の現実
まず全国の交通事故件数を年齢別に見ていこう。
最も事故率が高い運転者の年齢層が20〜24歳の4万6435件。全体の10.4%となる(警視庁交通局「平成29年度中の交通事故の発生状況」より)。65歳以上を見ると、65〜69歳は8.2%、70〜74歳が5.7%、75〜49歳が4.1%と、年齢が上がるにつれて事故件数と、その割合が減っていく。
65歳以上の年代よりも、むしろ40〜44歳が9.4%、45〜49歳以上が9.5%と、事故件数だけを見ると、20〜24歳に次いで40歳代の発生率が高い結果となっている。
20歳〜24歳の構成率が高いのは、やはり運転免許を取得してから、日が浅く運転技術の未熟さがあげられるだろう。さらに“若気の至り”という言葉もあるように、無理な運転をしがちなということもあるのだろうか。
次いで40歳代が多いのは、働き盛りで、クルマで走らせることが多い年代ということもあるのだろう。一方、65歳以上の率が減っている理由としては、運転者が免許返納するなりして、全体では運転する人数が減っていっているということがあげられるだろう。
とはいえ、高齢ドライバーによる交通事故が新聞、テレビで報道されることが多い。最も多いのが、アクセル(ペダル)とブレーキ(ペダル)の踏み間違い。止まるべきところで、ペダルの踏み間違いをしたことによる暴走事故。運転をしなければ、防げた事故ということで、やり玉にあげられてしまう。
70歳以上になると、運転免許の更新時に「高齢者講習」が義務づけられている。一方で、その年齢まで達していないシニア向けの運転講習は、残念ながら機会があまりない。悲劇を招かないためにも、自分の運転技術の衰え具合、そして至らなさを客観的に知る機会が必要だと思われるのだが。
そうした現状の中で、貴重でもあるシニア世代向けの運転講習が開かれている。JAFの「シニアドライバーズスクール」がその催し。昨今の高齢者の事故が問題視されるようになり、注目を浴びるようになっている。
【注目ポイント①】JAFの「シニアドライバーズスクール」とは?
オーナードライバーの権益を保護する目的で生まれた一般社団法人日本自動車連盟。略称の「JAF」の名で親しまれている。会員数は約1956万人(2019年9月末時点)とされ、自動車に関するさまざまな業務を行っている。全国で行われているロードサービスには、お世話になったドライバーも多いことだろう。
JAFではざまざまな交通安全イベントを開いている。エコトレーニング、セーフティトレーニング、そして「シニアドライバーズスクール」だ。
シニアドライバースクールとは、50歳以上のドライバー向けの講習会で、自己所有のクルマを持ち寄り参加する。長年にわたり運転してきたことにより身に付いた、自己流の運転を見直して、今後の予防安全に役立ててもらいたい、と開かれる運転講習会である。参加費用は会員が2096円、一般は3143円となっている(消費税10%込み・昼食代込み)。
各都道府県につき年1〜2回の頻度で開かれているが、募集する定員数が30名と少ないこともあり、毎回、抽選で参加者を絞るといった状況だ。
10月20日、東京・鮫洲で開かれた「シニアドライバーズスクール」。募集人員は30人だったが、当日に集まったのは25人(うち女性は10人、5人が欠席)だった。参加者の平均年齢は61歳。50歳から79歳という幅広い年齢の人たちが参加した。
昨年も都内でシニア向けドライバーズスクールを催したが、倍率は4倍ぐらいだった。ところが今年は応募人数が250人にもなり、およそ8倍と、かなり高倍率となった。高齢ドライバーによる事故が注目され、自分の運転の仕方で大丈夫かなという思いが、シニア世代に生まれてきているということなのだろう。文字通り狭き門をくぐり抜けた“ベテランドライバー”たちが集まった。