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2019/11/28 19:00

AIが心臓発作のリスクを予測! でも人工知能による余命宣告ってきつくない?

テレビ番組などでは、全身の健康状態を調べてその人の寿命を医師たちが予測するという企画がよくあります。しかし、それと同じようなことをAIが行い、寿命を宣告する日がやってくるのかもしれません。アメリカで、心電図の結果から将来の心臓発作のリスクをAIが予測可能であることが発表されました。

 

11月にフィラデルフィアで開かれた米国心臓協会の学術集会で、不整脈の発症リスクや数年以内に死亡するリスクを心電図の結果をもとに予測するAIについての研究が発表されました。この研究を行ったのは、ガイシンガーという医療機関でイメージングサイエンス及びイノベーションの准教授を勤めるブランドン医学博士たち。この研究チームは、30年以上にわたりガイシンガーの医療機関に記録されてきた200万件以上の心電図のデータを使用し、その結果から将来不整脈などの疾患が起こる可能性を予測するようにAIに学習させました。

 

それと同時に彼らは、心臓発作や心筋梗塞には不整脈の一種である心房細動が関連していることから、心房細動が起こらない時点でそれを予測することができる深層学習モデルも開発。心房細動を示さない患者23万7000人の心電図110万件から、高度なハードウェアを使ってデータを15のセグメントに分類するこのモデルで最もリスクが高いと分類された上位1%のグループは、3人のうち1人が1年以内に心房細動を発症すると診断されました。また1年以内に心房細動が起きる可能性があると予測された患者は、25年後に心房細動が発症する割合がほかの患者に比べて45%も高い結果となったんですね。

 

さらに、この研究チームは約40万人の患者の心電図データ177万件を分析。その結果を学習モデルによる予測と比較したところ、1年以内の死亡リスクの予想について学習モデルの方が優れており、医師によって問題ないと診断された事例でも学習モデルは死亡リスクを把握することが可能だとわかったのです。

 

このAIはまだ試験が必要ですが、うまく行けば心電図の見方が劇的に変わるだろうと言われています。

 

今回発表されたように、将来の病気のリスクや余命について予測するAIの開発は、ほかの場所でも進められています。カリフォルニア大学ロサンゼルス校が開発したAIは、心臓移植が必要な患者に、臓器提供者の情報を組み合わせて、3か月後から10年後の生存率を予測することができ、最も最適な臓器提供者を判断する際に役立てられることが可能だと言います。

このように、AIには医師の判断を助けるというメリットがある一方、患者の気持ちは複雑でしょう。AIに余命を告げられるなんて、心理的に本当に受け入れられることなのか? AIが予測した根拠で納得できることなのか?

 

アメリカのスタンフォード大学では、余命を予測することができるAIが研究されていますが、その主眼はあくまでも残りの生活を患者がどうやって大切に過ごせるかどうかに置かれています。患者に余命を予測してショックを与えるのではなく、生活の質(QOL)の向上をめざし、病気による苦痛などをやわらげる緩和ケアに切り替えるきっかけにもつながると彼らは考えているんですね。

 

AIの発達によって医療分野でも大きな進歩が期待される一方、それは患者の心とAIがどう共存していくかという課題も突き付けています。この問題がAIだけでは解決できないことは確か。私たち人間の道徳や倫理観も問われています。

 

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