航空法の規制外であることから、比較的手軽に飛ばせるとあって人気が高い200g以下の「トイドローン」。本格的なドローンに比べると低価格で、持ち運びもしやすいトイドローンは、練習機や入門機としても人気なので、1機ほしいと思っている人も少なくないのではないでしょうか? 今回紹介するのは、小型の上にiPhoneケースに収めて持ち歩けるAEEの「SELFLY」という機種。実際に飛ばして操縦性なども体験してみました。
独自構造で新しい「持ち運びやすさ」を実現
この機体のいいところは、なんといってもケースを活用した持ち運びやすさ。別売りのiPhoneケース(iPhone X/XS用もしくはiPhone X Max用)に収めれば、文字通りスマホケースとして持ち歩くことができます。重量は約68g(ケースは別)と超軽量。飛ばしたい場所まで持って行ったら、素早く取り外してスマートに飛ばすことができます。
ケースから取り外したら、4つあるプロペラを展開し、本体の電源ボタンを押すだけ。プロペラにはガードを取り付けることも可能ですが、ガードはiPhoneケースに収めることができないので注意が必要です。
機体の正面に搭載されるカメラの解像度は、静止画で2560×1440ドット。動画では720pの撮影が可能です。トイドローンらしく、ジンバルは非搭載で角度の調整は上下方向のみ約70°となっています。
機体の操作は専用の「AEE SELFLY」アプリ(Android/iOS用あり)をインストールしたスマホで行います。コントロールモードは3種類あり、一般的なFly by Joystick(フライバイジョイスティック)モードのほかに、機体を三脚に取り付けられたカメラのように操作するFly Pod(フライポッド)モード、スマホ画面に表示される写真を操作するようにして動かせるFly by Picture(フライバイピクチャ)モードが搭載されているのがユニークなところ。
ほかにも顔認証によりその顔をフォローする機能や、ジェスチャーによるコントロールも可能になっています。また、アプリ単体で使えるフライトシュミレーター機能もあるので、ドローン初心者の人はこの機能を使ってある程度練習をしてから機体を飛ばすといいかもしれません。
ホバリング性能は高いが、微妙な操作にはコツが必要
実際に飛ばしてみました。軽量なトイドローンの場合、ホバリングしていても風などの影響で流されやすかったりするのが、SELFLYではそれほど流される感覚がありませんでした。操作に迷ったら画面から指を離せば、だいたい同じ辺りでホバリングしていてくれます。これはオプティカルフローのほかにも、気圧センサーや 6軸加速度センサーを搭載しているからでしょう。
操作に対するレスポンスも軽快ではあるものの、少しの動作で想定よりも進みすぎてしまったり「小型ならでは」の感覚に少し戸惑いました。ただ前述のように操作モードも色々あって、操作する方向とドローン視点で見たものにするか、逆に操作者の視点で見て左右を合わせるのかが選べるので、事前にフライトシュミレーター機能で試した上でやりやすいほうを選べばいいでしょう。
対応高度は最大15mとされていますが、スマホのWi-Fi圏内という制限もあるので、正直そこまで上げることはないかなという感じ。この小さな機体でそこまで上げると、風の影響もかなり受けそうですし。バッテリーの持続時間は4.5分というスペックになっていますが、バッテリーが減るとすぐに画面にアラートが表示されるため、実質的に飛ばしていられるのはその半分くらいという感覚でしょうか。バッテリー残量が10%を切ると、panic mode(パニックモード)になり自動的に着陸します。予備のバッテリーは1つ付属しますが、機体に搭載した状態でしか充電できないのが、ちょっと不便ですね。できれば、飛ばす前にバッテリーは2つともフル充電にしておきたいところです。
飛ばしてみた感触としては1万2100円という価格帯のトイドローンとしては、ホバリング性能が高いので「まずは飛ばしてみたい」という入門機としても向いてそう。この種のトイドローンは、屋外で飛ばすと風の影響を受けすぎてコントロールの練習どころではないものも存在しますが、SELFLYは変な言い方ですが”ドローンっぽく”いざとななれば自動ホバリングに任せてしまえる安心感があります。メーカーが「透明な三脚」と呼ぶように、スピードや高度をコントロールして楽しむというよりは、手軽に持ち歩いて家族や仲間の写真を撮ったりするのに向いていますが、そういう使い方をしたい人は結構多いのではないかと思います。
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撮影/篠田麦也