最近、何かと話題になる機会が増えている車中泊。なんと車中泊をテーマとしたTVドラマもスタートすることが決まっています。1月24日の深夜0時52分~1時23分からテレビ東京ほかで放送される「絶メシロード」がそれ。主人公の中年サラリーマンが週末だけ車中泊しながら、”絶滅しそうな絶品メシ=絶メシ”を楽しむという設定です。
主役を演じるのは映画『カメラを止めるな!』に出演し、第42回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞した濱津隆之さん。その濱津さんと、車中泊に詳しいライターがその魅力について語り合ってきました。
予想以上に快適な寝心地に驚く
ーー絶メシロードは主人公が1泊2日の車中泊を楽しみながら各地の絶メシを巡るというテーマですが、濱津さんは実際に車中泊をされたことはありましたか?
濱津 いえ、普段はクルマにも乗らないので、ドラマの話をいただくまでは車中泊がこれだけ盛り上がっているということも知りませんでした。初めて聞いたときも「クルマの横にテントを張って泊まるのかな」と思っていたくらい(笑)。クルマの中で泊まって、こんなに色んなことができるとは思っていませんでした。
ーードラマの中で使われているのはホンダのフリード+ですが、実際に泊まってみての印象はいかがでしたか?
濱津 見た目はそんなに大きくないのに、車内が広いことに驚きました。私は身長が175cmくらいなのですが、体を真っ直ぐにして寝ることができる。寝るスペースはフラットになりますし、クルマの中で寝ることのイメージが大きく変わりましたね。
ーーフリード+は2列目シートを畳むと、完全にフラットなスペースが作れますからね。実は私も同じ車種で1週間くらい車中泊生活をしたことがあるのですが、予想以上に快適でした。
コンパクトながら車中泊向きのフリード+とは!?
ホンダの「フリード」は3列シートのコンパクトミニバンだが、フリード+はシートを2列にすることでラゲッジスペースを拡大したグレード。「ダイブフォールダウン機構」を備えた2列目シートを畳むと、大人2人が寝られるフラットなスペースを作り出すことが可能だ。ミニバンにはシートをフルフラットにできる車種が多いが、ここまでフラットなスペースを作り出せるモデルは少ない。
車中泊グッズを使うと”秘密基地感”が高まる
ーードラマの中では、始めはヨガマットに寝袋で寝ていたのが、だんだん車中泊用のグッズも充実してきます。
濱津 そうですね。マットは車中泊用のインフレーターマットというんですか? 自動で空気が入るタイプを使ったら、非常に快適でした。それと、窓をシェードで塞いで、車内でランタンを灯すと、自分だけの秘密基地のような雰囲気になります。
ーーマットとシェードは絶対にあったほうがいい車中泊グッズですね。寝心地が全然違うので、次の日の体の疲れも少なくて済みますし、シェードで窓を塞ぐとプライバシーが守れるだけでなく、寒い季節だと車内の温度低下も防げます。
濱津 寒さ対策という点では、第7話で使った電気毛布とポータブルバッテリーも良かったですね。車内で電源が使えると、快適さが飛躍的に上がります。
車中泊時に用意しておきたいグッズは!?
窓をカバーして外から車内が見えないようにするシェードは車中泊時の必需品。メーカー純正のオプションとして用意されている車種もあるほか、サードパーティ品を購入することもできる。寒い時期には窓から熱が逃げるのを防いでくれるほか、暑い季節にも日光を防いで温度上昇も抑えられる。
寝袋とともに用意しておきたいのがマット。キャンプ用品などでも代用できるが、寝心地の良さを求めるなら車中泊用のマットがおすすめだ。メーカーがオプションとして用意している場合もある。
最近は車内で100Vの家庭用電源が使える車種も増えているが、ポータブルバッテリーを用意しておけば、エンジンを停止したまま電気製品が使える。写真はホンダのLiB-AID(リベイド)E500で、電気毛布なら夜通し使えるくらいの容量を持つ。
車中泊で旅することの魅力とは?
ーー実際に車中泊を体験されて、どんなところが魅力的だと感じましたか?
濱津 観光地や絶景スポットの現場まで行けることですね。宿に泊まると、どうしても朝起きてから行きたい場所まで移動する必要がありますが、車中泊は泊まれる場所さえあれば行きたい場所までゼロの距離まで行ける。しかも、そこまで自分の家を持って行ける感覚なので、朝起きたらそのまま絶景が拝めたりするのが贅沢ですよね。
ーー確かに車中泊を体験すると、時間や距離の感覚が変わりますよね。ご自分でもプライベートでやってみたいと思いましたか?
濱津 ぜひやってみたいですね! 自分で行くなら、クルマを海辺に駐めて朝起きたらテールゲートを開けてそのまま釣り糸を垂れるとかやってみたい。ほかの移動手段では、絶対にできない体験ですから。
ーー釣りなどの趣味を楽しむ人にも車中泊は人気のようですね。私の友人でもドラマのように金曜の夜に出発して夜釣りをしながら眠くなったらクルマで寝るという楽しみ方をしている人がいます。
車中泊なら休日を有効活用できる
週末に旅行やキャンプなどを楽しむ場合、土曜の朝に出発して渋滞を抜けて現地には昼過ぎについてチェックイン。その日はゆっくり泊まれたとしても、日曜は帰りの渋滞を気にして午後には帰路につくというパターンが多い。だが、車中泊できるクルマがあれば、金曜の夜のうちに渋滞を避けて出発し、現地で車中泊。朝から観光やアクティビティを楽しみ、日曜も早めに仮眠して渋滞の解消した明け方に帰るという選択もできる。限られた休みを有効活用できるスタイルだといえるだろう。
最も印象に残っている絶メシとスポットは?
ーードラマのように絶メシなどグルメスポットを巡るのも車中泊旅行の楽しみ方の1つだと思いますが、実際にロケで食べられた絶メシの中で特に印象に残っているものはありますか?
濱津 全部美味しかったんですけど、特に印象的なのはとあるお店の醤油ラーメンですね。私の好きな醤油ベースのラーメンで、具もシンプルなんですけどすごく美味しかったです。ドラマの中に登場する絶メシは全部実際に店主さんが作ってくれていて、お店に関する逸話も実話なんですが、その辺も含めて印象に残っています。
ーー車中泊した場所で良かったのはどこでしょう?
濱津 目覚めるとすぐに絶景スポットのとある高原は良かったですね。夜は本当に真っ暗なので、1人で泊まるのはちょっと怖いなと思ってしまいましたが。ロケのときはスタッフさんもいるので安心でしたけど(笑)
ーー確かに、地方に行くと夜は真っ暗になるところが多いので、ちょっと不安ですよね。ほかにも車中泊の人がいると、仲間がいるようで安心するというか。ロケで使われている場所は車中泊スポットとして知られているところが多いので、車中泊している人も多そうですが。
車中泊するなら場所選びも重要
実際に車中泊をする場合、気を遣いたいのが場所選び。観光スポットの近くでは車中泊が禁止されているところもあるので注意が必要だ。高速道路のサービスエリアや道の駅なども、基本的には休憩場所であり、テーブルなどを広げたり連泊するのはご法度だ。一番確実なのはこちらの記事(https://getnavi.jp/vehicles/456083/)でも紹介しているRVパークやCarstayのサービスに登録されている場所を利用すること。利用可能なトイレや電源などが用意されている場所もあり、安心して泊まることができる。
何もしないで景色を眺めていたい
ーードラマではキャンピングカー仕様の「ハイエース」に乗る車中泊のベテランと出会うシーンもありますが、ああいうクルマには憧れますか?
濱津 あのクルマはすごい快適でしたね。寝心地もいいし、中で料理もできるし何でも揃っていて。でも、実際に自分で車中泊をするとしたら、私はフリード+くらいが丁度いいですね。豪華な装備もいいですが、自分だけの空間があってコーヒーを淹れられるくらいで十分。あまり豪華なクルマだと、別荘のようで現場までゼロの距離に行ける車中泊の醍醐味が薄れてしまうような気がします。もちろん、豪華なキャンピングカーにも憧れますけどね。
ーー実際にご自分で車中泊に行かれたら、どんな楽しみ方をしたいですか?
濱津 どうでしょうねぇ……。結局、景色の良いところに行ってコーヒーを沸かすくらいで、あとは1日中ボーッとしているような気がします。何もしないで景色を眺めているような過ごし方が一番ぜいたくな時間のように感じますし。
ーー確かに、都会で暮らしていると静かなところで何もしないで過ごすというのはぜいたくですよね。そういう場所を見つけて泊まりに行けるのが車中泊の一番の魅力かもしれません。本日はありがとうございました。
車中泊時のマナーにも注意!
魅力の多い車中泊だが、泊まる際には最低限のマナーには注意したい。ドラマの中でも「車中泊の心得」として、禁止されている場所での車中泊はしないこと、アイドリングはしないこと、ゴミは持ち帰ることを掲げている。近年は車中泊人気が高まっている反面、マナーの悪い人たちが原因で、車中泊が禁止になるスポットもあるので、他人に迷惑をかけないことを心がけたいところだ。
■ドラマ25「絶メシロード」
1月24日スタート 毎週金曜深夜0時52分~1時23分
テレビ東京 テレビ大阪 ほか
撮影/篠田麦也
【フォトギャラリー(GetNavi webにてご覧になれます)】