アシックスは1月24日、「ASICS WALKING PRESS MEEETING SS20」と題したイベントを都内で開催。アメリカ・ラスベガスの電子機器見本市CESに出展発表していた、センサー付きランニングシューズ「スマートシューズ」を日本で初披露しました。フットウェア好き編集部員・野田がレポートをお届けします。
デジタルテクノロジーを活かした新たな世界観のフットウェア
まず、アシックスの投資子会社であるアシックス・ベンチャーズが、足の動きをデータ化するセンシングソリューション“ORPHE TRACK(オルフェトラック)”などを開発するスタートアップ企業のno new folk studio(ノーニューフォークスタジオ)に出資することが発表されました。
no new folk studioは、内部にセンサーなどを組み込み動きに応じて音や色が変化するスマートシューズ“ORPHE(オルフェ)”を開発した企業です。今回発表されたスマートランニングシューズは同社の技術力を活かし、アシックス・ベンチャーズと協同製作されたシューズ。2020年内の発売を予定しています。
スマートランニングシューズは履いて走るだけで、ランナー走り方の特徴を分析し、最適なトレーニング方法などを提案します。アシックスは近年、ITやビッグデータを活用するデジタル分野のサービス開発に力を入れており、ランナーとの接点を増やしてファン拡大を狙うと言います。
走行中の距離や歩幅だけでなく、脚の運び方、走行の安定性、接地の時間・分布などのデータを収集し、これまでアシックスが収集してきた膨大なデータと掛け合わせ、それぞれのランナーの特徴に合わせたフィードバックを専用のスマートフォンアプリでリアルタイムで確認することができます。実際、女性モデルのデモンストレーションがありました。
下の写真は、スマホやPCモニターに映るグラフィック。スマートシューズをゲームコントローラーのように使い、靴が仮想空間の中を旅に出ます。ランニングマシンの上をただ走り続ける味気なさを、ゲーム感覚にする事で楽しさも与えてくれます。
ランニング終了後、総合評価、ランニングタイプ、効率、上下運動、キック力、着地安全性などの項目が表示されます。それによってユーザーがどういうスキルを持っているか、現状の走り方だと怪我のリスクがどの程度あるのか。自分のスキルを上げるためには、どこを鍛えればいいのか。さらには踵から着地したのか、中足部から着地したのか、つま先から着地したかなど、足の着地点も分析できます。特に着地点は、多くのランナーが気にしている点でそこが改善できるかもしれないというのは嬉しいポイントです。
今回発表されたセンサー内蔵版はまだプロトタイプでした。「1番の目標はみんなが歩き続けられる社会を作ること。健康状態の問題で歩けない人が日々のウォーキングのデータを計測し、改善することでソリューションを与えられると思います」と話したno new folk studio代表の菊川裕也さん。
また、2020年春夏シーズンのアシックスウォーキングシューズの展示も行いました。今シーズンは“原点回帰”をテーマ。“走れるビジネスシューズ”がコンセプトの男性向けの「RUNWALK(ランウオーク)」と「PEDALA(ペダラ)」ではスポーティなタイプを企画したほか、女性向けシューズのペダラではニット素材を採用したスニーカータイプと、さまざまなシーンに対応できるラットタイプを用意。
このスマートシューズのセンサーがランニングシューズだけでなく、後々ウォーキングシューズにまで活かすことができると言います。そうすれば走り方だけでなく、普段の歩き方も改善されます。センシングされた情報から健康促進、アンチエイジングへと繋げることも可能になり、より人間の暮らしはスマート(かつ快適)なモノになるでしょう。最後に、no new fork studio代表 菊川さんの「靴は最小単位の乗り物」という言葉が印象的でした。さまざまな革新的なモビリティが発表されていますが、アシックスはまさに足元からイノベーションを起こそうとしているわけです。
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