史上最高峰と思われた「ルンバ i7+」が2019年3月に発売されてからわずか1年。まだその衝撃が残るなかで、新たに進化系プレミアムモデルが登場するとは……。それが2月28日に発売された「ルンバ s9+」です。本体のフォルムが円形からD型に変更され、部屋の隅や壁際に強くなったうえ、吸引力も従来(600シリーズ)の約40倍と大幅にパワーアップしたといいます。実売価格はルンバ i7+(14万2868円)より約4万4000円高い18万6780円ですが、果たしてどれだけ違うのか? さっそく使用感をレビューしていきます!
ルンバ i7+の新機能を踏襲
ルンバ s9+について語るには、まずは昨年に発売されたルンバ i7+がどのようなモデルなのか知っておく必要があります。 i7+の大きな特徴は①ダスト容器のゴミを自動で排出する「クリーンベース」の搭載と、②部屋の環境を学習・記憶する「Imprintスマートマッピング」です。
ルンバ i7+がお掃除ロボットとしての利便性を格段に上げたのが、①のクリーンベース(充電台)の採用。掃除を終えて充電台に戻ってくるたび、ダスト容器に溜まったゴミを自動で吸い上げてくれるので、数週間以上はゴミ捨てをする必要がなくなりました。まさにルンバに一切手を触れることなく、日々の掃除が済ませられるようになったのです。
また②の「Imprintスマートマッピング」も、掃除の仕方を大きく変えてくれる機能でした。ルンバが掃除をするたび、部屋の環境を学習して記憶し、部屋から部屋へのルートを賢く判断。記憶した間取りはアプリ上で部屋の名前を登録することで、「今日はリビングとキッチンだけ」など、掃除したい部屋を指定できるのが便利です。掃除終了後は、間取り図をベースに掃除の結果が見られるので、ルンバがどこを掃除してくれたかチェックすることが可能。
さらに2019年10月のアップデートにより搭載された新機能として、アプリ上で「進入禁止エリア」が設定できるようになりました。例えばわが家の場合、ルンバが毎回玄関のたたきに落ちて登れなくなるため、玄関には近づかないでほしい、犬を飼っているので、水入れにぶつかるとこぼれるので近づかないでほしい、という要望があります。従来モデルでは赤外線を発する「バーチャルウォール」を置いて制御していましたが、これがアプリ上で設定するだけでOKに。格段に手軽になりました。
…と、ルンバ i7+でもこれだけの進化を果たしたのに、ルンバ s9+はこれらの機能を踏襲しつつ、さらなる進化を遂げたということになります。
ルンバ s9+最大の特徴は高性能センサーが実現したD型シェイプ
ルンバ s9+最大の特徴は、なんといってもこのD型のシェイプ(同社はこれをウルトラエッジデザインと呼んでいます)。ここにきて初代モデルから受け継いできた円形を変えてくるとは驚きでした。そもそもロボット掃除機のD型は、数こそ少ないものの、すでに採り入れているメーカーはいくつかあり、私も過去に試用したことがあります。ルンバまでD型になるとは、やはりこの形にはメリットがあるのか……。
ちなみに、なぜルンバはいままで円形にこだわってきたのかというと、円形は袋小路のような狭い場所でも旋回して抜け出しやすい、という利点があるからだそう。その点、ルンバ s9+は高性能センサーを搭載することで奥行きを検知することが可能。入り込んで抜けられなくなるトラブルも回避できるようになったため、D型を採用しても問題がなくなったというわけです。
D型フォルムにより隅のゴミにもアプローチしやすくなった
D型の大きなメリットは、隅までアプローチしやすいということ。まず前方が直線になったことで、壁際までぴたっとアプローチできます。同社はこのD型シェイプと高性能センサーにより、壁際までしっかり清掃できる技術を「Perfect Edgeテクノロジー」と呼んでいます。
またブラシも前方の直線部分に取り付けることで、ルンバ i7+よりブラシ幅が30%長くなり、一度に取れるゴミの量がアップ。ゴミをかき集めるコーナーブラシも3本から5本に増え、隅のゴミをかき出しやすいという26度の角度で取り付けられています。
このほかの進化ポイントとしては、高性能のクアッドコアプロセッサーを採用したvSLAMナビゲーションによる「Imprintスマートマッピング」で家の中の環境を詳細にマッピングし学習するほか、ルンバ600シリーズと比較して吸引力が40倍にアップしたとのこと。果たしてこの進化が実際のお掃除にどれだけ違いをもたらすか、気になるところです。