世の中には、企業や個人がSNSを運用するノウハウが紹介された書籍はたくさん販売されています。ただ、どういう気持ちで向き合うのが良いのか、社内で相談できないときはどうしたらいいのかなど、ノウハウだけではわからないこともいっぱいありますよね。
この春から、SNSを運用するように言われたけど……とか、テレワークでどうやって広報活動したらいいんだろう……など前例のない事態で戸惑っている方も多いでしょう。そんな方におすすめしたいのが『寄り添うツイッター わたしがキングジムで10年運営してわかった「つながる作法」』(キングジム公式ツイッター担当者・著/KADOKAWA・刊)です。
運営10年、フォロワー37万2000人! @kingjim のTwitterアカウント
こうやって数字だけ見るとものすごい規模だなーと思ってしまうのですが、キングジム公式ツイッター担当者さんの文章は、全然驕っていなくて、フォロワーさんたちから「姉さん」と呼ばれる人柄が伝わってくる素敵な一冊でした。
まさに「寄り添うツイッター」そのものっ! 2010年2月に社長さんの一声で始まったキングジムさんの公式Twitterですが、当時の姉さんは右も左もわからぬままでも「細く長く続けよう」と覚悟を決めて運用スタート。
キングジムさんは、失敗を恐れない社風なんだそうで、Twitterの運営を任されたときにも「自由にやっていいよ〜」と一任されたんだとか。今では当たり前になったSNS運用という仕事ですが、10年やってきた姉さん曰く、数字で「毎日○○回ツイートする」とか「毎月1000人フォロワーを増やす」なんて数字で目標をたてるよりも、大切にすべきことがあるんだそうです。
注力すべきことは、量より質です。数字よりも、「本当に必要とされている情報は何なのか」きちんと吟味することをお勧めします。
見る人が楽しめる、見る人に役立つ情報を送っていれば、信頼感が醸成され、結果として数字にも結びつく。
エンゲージメントなどの好感度の指標も、自然に上がっていくでしょう。
(『寄り添うツイッター わたしがキングジムで10年運営してわかった「つながる作法」』より引用)
本当に必要とされている情報は、アカウントごとに異なりますよね。そこをどうやって考えたらいいの? と思ったら『寄り添うツイッター わたしがキングジムで10年運営してわかった「つながる作法」』を読めば大丈夫! なるほどなぁ〜と思わずしみじみしてしまうようなコツがいっぱい掲載されています。
「数字より」とは言っても、最初は覚えてもらうために投稿数を増やした方がいいとか、どうやって生活者に寄り添うかとか、マニュアルは作っていないとか、敬語投稿からタメ口投稿にかわった瞬間とかとか。ファンとして読むのはもちろん、これからSNS運用をしていこうと思っている方、広報のお仕事をされている方、新しいジャンルのビジネス書を読んでみたいなという方にもおすすめです。
Twitterがなければ実現しなかった? 井村屋さんとのコラボ
Twitterならではのことといえば、企業の公式アカウント同士のコラボというのも楽しみのひとつですよね。運用されている人たちが本当に楽しそうで、「え、こんなことしちゃうの?」とか「真面目な会社だと思ってたのに!」なんて人もいっぱいいるのではないでしょうか。
5年ほど前になりますが、あずきバーでお馴染みの井村屋さんとキングジムがコラボするきっかけになった出来事をご紹介します。
井村屋さん、放課後に体育館の裏にお越しください。RT @IMURAYA_DM 正しい漢字はこう「姐」 ですよ。 RT @takaratomytoys: (´Д`).。oO(な、なんか、ご、ごめん、姉ちゃん…)https://t.co/QwNowz2VNO …
— キングジム (@kingjim) May 28, 2015
このツイートで、井村屋さんが「正しい漢字はこう「姐」 ですよ。」と言ったことがきっかけで、姉さんが怒って体育館裏に呼び出し(笑)。お詫びに……と井村屋さんから大量のあずきバーが送られたんだそうです。
これだけでもオンラインとオフラインが繋がったクスっと笑えるエピソードですが、ナントこれがきっかけとなり、コラボレーションした「あずきバーキングファイル」を作成し、ファンの方にプレゼントするキャンペーンにまで発展したのです!
(絶対わかってたハズだ。姐妹でクスクスしてたんだ。絶対わかってたハズだ。姐妹でクスクスしてたんだ。絶対わかってたハズだ。姐妹でクスクスしてたんだ。)https://t.co/V9cuIgnjR7
— 井村屋(株)公式アカウント(´∀`) (@IMURAYA_DM) February 14, 2018
Twitterがなかったら実現していないと思うと本当すごいですよね。ちなみにこのキャンペーンは大成功だったそうですよ!
キャンペーンは大成功に終わりました。100名当選に対して、3万人もの応募が殺到するという過去最高の反響。井村屋さんがノリノリで、商品開発やツイート協力してくださったこともこの結果に繋がりました。その後、井村屋の東京事務所の入り口には、代表商品に並んでこのファイルが唐突に展示されていたそうです。
(『寄り添うツイッター わたしがキングジムで10年運営してわかった「つながる作法」』より引用)
すごい……! いろんなPR方法や企業戦略もあると思うのですが、本人たちが楽しそうにやっていることってファンにも伝わるんですよね。昨今は、殺伐としているというか、暗い話題が多いTwitterですが、こういう良さもあることは忘れたくないですね。
Twitterは「売る」道具じゃない
ついついTwitterを活用しよう! と思うと、売り上げアップとか、集客に使いたいとか、お金と結びつけがちですが、キングジム公式ツイッター担当者さんによると、広報と広告宣伝は別だから、Twitterを広告宣伝に使うのではなく、広報ツールとして使う方がいいと考えていると書かれていました。
私も以前、自社の企業アカウントを3年ほど運用していたことがありましたが、全くフォロワーも増えず(笑)、「こりゃ難しい……」と断念し、運用しなくなってしまったことがありました。振り返れば、きっと「広報」ではなく、「宣伝」を必死にやっていたからなのか……と腑に落ちました。
新年度の始まる時期なので、『寄り添うツイッター わたしがキングジムで10年運営してわかった「つながる作法」』で勉強しようという方、テレワークで自宅勤務の休憩中にちょっと一冊というのにもキングジム公式ツイッター担当者さんこと姉さんの優しい言葉に癒されるはずですよ!
【書籍紹介】
寄り添うツイッター わたしがキングジムで10年運営してわかった「つながる作法」
著者:キングジム公式ツイッター担当者
発行:KADOKAWA
担当者1人、ノウハウなし、予算ゼロ。逆境のなかで探り出した、みなに愛されるための答えは「安心感と親近感」。誰も教えてくれなかった「広報としてのSNS」がわかる本。
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