2020年は「ペン型ハサミ」というジャンルが生まれて、ちょうど10周年。だから、というわけではもちろんなかろうが、この春は新製品が立て続けに登場している。
先行して発売されていた3製品に関しては、この連載でも3月に紹介したが、それに加えてもうひとつ、発売は前3点に少し遅れたが、新製品が登場していた。
どれが切れる?どう使う? 最新ポータブルハサミ(ツイッギーポーチ/サクサポシェ/G-SLIM)を使い比べてみた
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実は、正直なところ「立て続けにハサミばっかり紹介してもしょうがないし、これはひとまず置いとくかなぁ」と考えていたのだ。しかし、あれこれ使い比べてみた結果、個人的には「もしかして、これが本命!?」とすら思えてきたのである。
これは取り上げないわけにはいかなさそうだ。ということで、この春の遅れてきた本命こと「スティッキールはさみ AKERUNO」を紹介したい。
切れ味鋭くダンボール開梱もおまかせ「スティッキールはさみ AKERUNO」
サンスター文具の「スティッキール」シリーズといえば、プラス「フィットカットカーブ・ツィッギー」、レイメイ藤井「ペンカット」と並ぶ、“日本三大ペン型ハサミブランド”と呼ばれている!(いま初めて呼んだ)
その「スティッキール」シリーズ最新版にして、ペン型ハサミ初の“開梱モード”を持つ「スティッキールはさみ AKERUNO」(以下、「AKERUNO」)だ。
サンスター文具
スティッキールはさみ AKERUNO
800円(税別)
携帯時は長さ136mm・最大径13mmと、ペン型ハサミとしては普通~やや長めぐらい。立つペンケースなどに収納しても出し入れしやすい、ほどよいサイズ感だ。
そこで、いざ使ってみようとキャップを外すと、刃先が妙なことになっているのに気付くはずだ。それがこちら。
写真で見ると、下の刃に対して上の刃が5mmほど飛び出しているのがお分かりいただけるだろうか?一見、これでハサミとして切れるの? というような特異さである。
この状態ではロックがかかっており、刃の開閉はできない。そこで、親指側のハンドルを押し込むようにスライドさせると、刃先が上下ちょうど揃ったところでロックが解除され、チョキチョキと開閉できるようになる。
刃先5mmでダンボールをスパッと開梱
翻って、先に述べた“開梱モード”というのは、キャップを外してすぐの、刃先がズレた状態のことを指すのだ。
使い方としては、梱包テープで貼り合わされたダンボールの合わせ目に、ズレた刃先をズブッと刺して切り開くだけ。ズブッと刺してズバッと切る。以上である。
長めのハンドルを握って切り開くので、感覚的にはペーパーナイフを使った開梱に近い。が、こちらはきちんと切れる……というか、かなり切れ味の良い刃がついているため、作業はかなりスムーズ。
このとき切れる部分が、“飛び出している刃先5mm分”というのが絶妙なのである。
まず、ダンボールの中には刃が届かず、ダメージを与えにくいこと。カッターナイフなどの刃物でズバズバ開梱していると、うっかり梱包された中身まで切ってしまう。例えばダウンジャケットを切ってしまって羽毛が飛び出したとか、米袋を切ってしまって米があふれ出したとか、悲しい話は多いのだ。
とはいえ刃が短すぎると、刃先がダンボールの合わせ目に潜り込めず、うまく開梱できない場合もある。そういう点でも4~5mmという刃先は、開梱にジャストと言えるだろう。
切れ味と長いハンドルで硬いPPバンドも負担なくカット
普通に開梱用のオープナーとして使うだけでもこの通り優秀だが、もちろんハサミとしても満足のいく性能を持っている。
何度も言うが刃の切れ味が良いので、コピー用紙なんかは言うまでもなく、さらに梱包用の硬いPPバンドですら、サクッと切ることが可能なのだ。ペン型ハサミでこれができるのは、かなりレア。
植木バサミのようにハンドルが長いのも、切りやすさにつながっている。テコで言うところの力点・支点間距離が支点・作用点距離よりも長くなるため、刃に力が入りやすい。つまり厚物もグイグイと切り進めていけるということである。
また、全体が四角柱なので、バネ式のハンドル面が広くフラットに取れるのもポイント。親指が滑りにくいため、さらに力を入れやすいのだ。切れ味の良い刃と、力を入れやすいハンドルの組み合わせは、そりゃまあ良く切れて当たり前と言える。
ペンケースはもちろん自宅に常備したくなる頼もしさ
スリムで置き場所を取りにくく、さらにオープナーとしてもハサミとしても優秀と、かなり満足度が高い。
ペン型ハサミといえば、ペンケースに入れて携帯するのが基本的な用途だが、これは主用途をオープナー、ハサミはサブと考えて自宅に常備し、運用しても何の問題もないだろう。実際、今のところ玄関横のキートレーに置いて、宅配で届いたばかりの荷物をサクサク開けるのに使っているが、快適のひと言だ。
あえて欠点と言えるのは、「キャップの開閉が面倒」「刃渡りがやや短い」ぐらいか。キャップ開閉に関しては、ほとんどのペン型ハサミに共通することだし、なによりロックされていても刃が飛び出している構造上、まぁ仕方ないところだ。
筆者は今のところ、取り回しを優先して、キャップを外したままで置いているが、これはあくまでも自己責任。基本的にはマネをしないように要注意でお願いしたい。
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