文房具
2020/5/5 19:00

続々発売の「ペン型ハサミ」に大本命現る!? 通販の箱を開梱できる「スティッキールはさみAKERUNO」

2020年は「ペン型ハサミ」というジャンルが生まれて、ちょうど10周年。だから、というわけではもちろんなかろうが、この春は新製品が立て続けに登場している。

 

先行して発売されていた3製品に関しては、この連載でも3月に紹介したが、それに加えてもうひとつ、発売は前3点に少し遅れたが、新製品が登場していた。

どれが切れる?どう使う? 最新ポータブルハサミ(ツイッギーポーチ/サクサポシェ/G-SLIM)を使い比べてみた
https://getnavi.jp/stationery/479866/

 

実は、正直なところ「立て続けにハサミばっかり紹介してもしょうがないし、これはひとまず置いとくかなぁ」と考えていたのだ。しかし、あれこれ使い比べてみた結果、個人的には「もしかして、これが本命!?」とすら思えてきたのである。

 

これは取り上げないわけにはいかなさそうだ。ということで、この春の遅れてきた本命こと「スティッキールはさみ AKERUNO」を紹介したい。

 

切れ味鋭くダンボール開梱もおまかせ「スティッキールはさみ AKERUNO」

サンスター文具の「スティッキール」シリーズといえば、プラス「フィットカットカーブ・ツィッギー」、レイメイ藤井「ペンカット」と並ぶ、“日本三大ペン型ハサミブランド”と呼ばれている!(いま初めて呼んだ)

 

その「スティッキール」シリーズ最新版にして、ペン型ハサミ初の“開梱モード”を持つ「スティッキールはさみ AKERUNO」(以下、「AKERUNO」)だ。

サンスター文具
スティッキールはさみ AKERUNO
800円(税別)

 

携帯時は長さ136mm・最大径13mmと、ペン型ハサミとしては普通~やや長めぐらい。立つペンケースなどに収納しても出し入れしやすい、ほどよいサイズ感だ。

 

そこで、いざ使ってみようとキャップを外すと、刃先が妙なことになっているのに気付くはずだ。それがこちら。

↑キャップを外すと、最初は刃先がズレたLock状態になっている。上側のハンドルを押し込むとUnlock(ロック解除)に
↑キャップを外すと、最初は刃先がズレたLock状態になっている。上側のハンドルを押し込むとUnlock(ロック解除)に

 

写真で見ると、下の刃に対して上の刃が5mmほど飛び出しているのがお分かりいただけるだろうか?一見、これでハサミとして切れるの? というような特異さである。

 

この状態ではロックがかかっており、刃の開閉はできない。そこで、親指側のハンドルを押し込むようにスライドさせると、刃先が上下ちょうど揃ったところでロックが解除され、チョキチョキと開閉できるようになる。

 

刃先5mmでダンボールをスパッと開梱

翻って、先に述べた“開梱モード”というのは、キャップを外してすぐの、刃先がズレた状態のことを指すのだ。

↑ズレた刃の先端を合わせ目に刺して切り開く。気持ち良く切れる上、表面はフッ素コートが施されているので、ベタつく粘着材の付着もほぼなく快適
↑ズレた刃の先端を合わせ目に刺して切り開く。気持ち良く切れる上、表面はフッ素コートが施されているので、ベタつく粘着材の付着もほぼなく快適

 

使い方としては、梱包テープで貼り合わされたダンボールの合わせ目に、ズレた刃先をズブッと刺して切り開くだけ。ズブッと刺してズバッと切る。以上である。

 

長めのハンドルを握って切り開くので、感覚的にはペーパーナイフを使った開梱に近い。が、こちらはきちんと切れる……というか、かなり切れ味の良い刃がついているため、作業はかなりスムーズ。

↑コクヨの元祖・開梱機能付きハサミ「ハコアケ」(下)との開梱刃比較。「AKERUNO」(上)の刃は深く刺さる分だけ、ダンボールの合わせ目からズレずに作業しやすい
↑コクヨの元祖・開梱機能付きハサミ「ハコアケ」(下)との開梱刃比較。「AKERUNO」(上)の刃は深く刺さる分だけ、ダンボールの合わせ目からズレずに作業しやすい

 

このとき切れる部分が、“飛び出している刃先5mm分”というのが絶妙なのである。

 

まず、ダンボールの中には刃が届かず、ダメージを与えにくいこと。カッターナイフなどの刃物でズバズバ開梱していると、うっかり梱包された中身まで切ってしまう。例えばダウンジャケットを切ってしまって羽毛が飛び出したとか、米袋を切ってしまって米があふれ出したとか、悲しい話は多いのだ。

 

とはいえ刃が短すぎると、刃先がダンボールの合わせ目に潜り込めず、うまく開梱できない場合もある。そういう点でも4~5mmという刃先は、開梱にジャストと言えるだろう。

 

切れ味と長いハンドルで硬いPPバンドも負担なくカット

普通に開梱用のオープナーとして使うだけでもこの通り優秀だが、もちろんハサミとしても満足のいく性能を持っている。

↑植木バサミのようなフォルムのハサミモード。開閉はバネの弾力で行う
↑植木バサミのようなフォルムのハサミモード。開閉はバネの弾力で行う

 

何度も言うが刃の切れ味が良いので、コピー用紙なんかは言うまでもなく、さらに梱包用の硬いPPバンドですら、サクッと切ることが可能なのだ。ペン型ハサミでこれができるのは、かなりレア。

↑硬い梱包バンドも簡単にサクッ。開梱ツールとして万能すぎ!
↑硬い梱包バンドも簡単にサクッ。開梱ツールとして万能すぎ!

 

↑もちろんコピー用紙もダンボールもサクサク
↑もちろんコピー用紙もダンボールもサクサク

 

植木バサミのようにハンドルが長いのも、切りやすさにつながっている。テコで言うところの力点・支点間距離が支点・作用点距離よりも長くなるため、刃に力が入りやすい。つまり厚物もグイグイと切り進めていけるということである。

 

また、全体が四角柱なので、バネ式のハンドル面が広くフラットに取れるのもポイント。親指が滑りにくいため、さらに力を入れやすいのだ。切れ味の良い刃と、力を入れやすいハンドルの組み合わせは、そりゃまあ良く切れて当たり前と言える。

↑フラットなハンドル面には、滑り止めのモールドも入ってさらに安定感アップ
↑フラットなハンドル面には、滑り止めのモールドも入ってさらに安定感アップ

 

ペンケースはもちろん自宅に常備したくなる頼もしさ

スリムで置き場所を取りにくく、さらにオープナーとしてもハサミとしても優秀と、かなり満足度が高い。

 

ペン型ハサミといえば、ペンケースに入れて携帯するのが基本的な用途だが、これは主用途をオープナー、ハサミはサブと考えて自宅に常備し、運用しても何の問題もないだろう。実際、今のところ玄関横のキートレーに置いて、宅配で届いたばかりの荷物をサクサク開けるのに使っているが、快適のひと言だ。

↑玄関は開梱ツールを置いておきたいポイントのひとつ。あると確実に重宝する
↑玄関は開梱ツールを置いておきたいポイントのひとつ。あると確実に重宝する

 

あえて欠点と言えるのは、「キャップの開閉が面倒」「刃渡りがやや短い」ぐらいか。キャップ開閉に関しては、ほとんどのペン型ハサミに共通することだし、なによりロックされていても刃が飛び出している構造上、まぁ仕方ないところだ。

 

筆者は今のところ、取り回しを優先して、キャップを外したままで置いているが、これはあくまでも自己責任。基本的にはマネをしないように要注意でお願いしたい。

 

「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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