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2020/5/12 21:30

新型iPhone SEは「ホームボタン派」最後の希望? 2020年に発売される意味をあらためて考えた

4月末に発表された新型iPhone SE、あなたは欲しいですか? 新品のiPhoneにしては破格の5万円弱からという値段がまず目を引きますが、「ホームボタンの復活」も歓迎すべきことです。

2020年版のiPhone SEは第2世代にあたります。「小型iPhone」として人気を博した初代モデルがその2年前に発売されたiPhone 6sの焼き直しであったのに対して、今回の第2世代モデルは「iPhone 8」のボディを流用して、中身を最新チップに入れ替えたものです。

 

画面サイズはiPhone 8と同じ、4.7インチ。小型iPhoneを求める人達には今回のiPhone SEはサイズがすこし大きくなってしまったところは、残念に思えるかもしれません(もっとも、iPhone 11シリーズより画面は小さく、上下のベゼルも太いです)。

↑2020年の今となっては小さく感じる画面。これでも初代iPhone SEより大型化しています

 

2年前のiPhoneと同じで中身だけ更新した考えると、微妙なアップデートに思えるかもしれませんが、中身のチップは最新フラッグシップのiPhone 11 Proと共通のA13 Bionicを搭載。動作で不足はなく、機能も最新鋭のiPhoneがお手頃な価格で手に入ると捉えると悪くはありません。

 

すでに別記事で機能の詳細について紹介しましたが、あらためてeSIMに防水、Suicaを含むApple Payなど、最新の最上位機種に劣らない機能を備えている点が魅力です。

↑eSIM搭載も強化ポイント。IIJmioのeSIMプランを追加してデュアルSIM運用もアリです

 

質感も価格以上のものがあります。前面のディスプレイこそ今となっては小さく感じるものの、背面の手触りの良いガラス素材は、2〜3年程度で古びるものではありません。同価格帯のAndroidスマホよりは明らかに質感が良く、ほど良い厚みで手にとった時の安定感も良好です。

↑素材感の良さはさすがiPhone。お値段以上です

 

機能以外で実はメリットが大きいと思っているのが、ケースのラインナップの豊富さ。筆者は以前にiPhone 7で使っていた任天堂の「イカのスマホケース」を装着して楽しんでいます。iPhone 7や8のユーザーなら、今使っているお気に入りのケースを機種変更後もそのまま使えるのはうれしいポイントでしょう。ただし、iPhone SEでは最新のiPhoneにあわせて、背面のリンゴマークの位置が中央よりに下がっているので、リンゴの部分をくりぬいたデザインのケースは装着すると不格好に見えるかもしれません。

↑任天堂のゲーム『スプラトゥーン2』のキャラクターがゲーム内で使っている「イカのスマホケース」。(素材を台無しにしている気もしますが)筆者のお気に入りのケースです

 

「ホームボタンがあるiPhone」が2020年に発売されたこと自体が価値

本記事はここからが本題。“iPhone 8そのまま”だからこそ良い点もあります。指紋認証「Touch ID」がiPhone 8以来の復活を果たしたことです。

 

iPhone 8と同時に発表された「iPhone X」ではホームボタンとTouch IDが廃止され、その代わりジェスチャー操作とFace IDが導入されました。その翌年のiPhone XSシリーズからは、ジェスチャーとFace IDがiPhoneの標準になっています。

 

Face IDも見つめるだけでロック解除できるのは便利な機能ですが、機種変更したいだけなのに、慣れていたボタン操作と指紋認証を手放すのはイヤだ……。そう思っていた人にとっては、iPhone SEは最後の希望となるかもしれません。

 

加えていうと、昨今の感染症の流行によって、外出時にマスクを装着するのが当たり前のマナーになりつつあります。Face IDではマスクの装着時も使えるようにアップデートが用意されているようですが、iPhone SEならマスクの有無も心配することなく問題なく指紋でロック解除できます。

↑マスクを付けたままでの支払いも大丈夫。そう、Touch IDならね

 

ホームボタンのクリック感もそのまま。ポケットから取り出すときも、ホームボタンの位置を指で確かめられるので、上下を間違えることもありません。処理の要となるチップセットが高速化したこともあり、指紋認証でのロック解除の速度も向上している印象です。

 

操作感は良くも悪くも、iPhone 7〜8シリーズと変わりません。ホームボタンをカチカチ押して、親指を起点とした小回りの良い操作が可能です。4.7インチという画面は、片手持ちで画面上部に配置された要素を押すには少し厳しいサイズですが、コントロールセンターの起動が「画面下から上スワイプ」になっているぶん、片手持ちですべての操作を行うのはiPhone 11シリーズよりは容易です。

↑左はiPhone 7、右はiPhone SE(第2世代)。なにしろ筐体はiPhone 8そのものなので、iPhone 7/8からの乗り換えはこれ以上ないくらいスムーズに進むでしょう

 

「ホームボタンがあるiPhoneが2020年に発売された」ことのメリットをもう1つ挙げるとするなら、OSのアップデートを今後長期に渡って受けられる可能性が高い点も見逃せないでしょう。アップルではiPhoneの標準的な利用期間を3年としていますが、iOSのメジャーアップデートについては、機種によって5〜6回に渡って提供している実績があります。

↑ホームボタン付きiPhoneはこれで最後になるかも?

 

もっとも、「iPhoneで指紋認証が使いたい」というだけなら、ここ1〜2年で「画面内指紋センサー」という新技術も実用化されてきたため、将来のiPhoneでは形を変えて指紋認証が復活する可能性もあります。ただし、現状の画面内指紋センサーの技術は高速とされる超音波式でも、物理的な指紋センサーよりもロック解除に時間がかかります。

 

いずれにせよ今後もiPhoneの標準が「ジェスチャー操作+Face ID」となるのは決定的なことでしょう。その中でiPhone SEは長期に渡ってサポートを受けられる最後のホームボタン+指紋センサー搭載のiPhoneになる可能性もあります。「今のiPhoneのホームボタンが好き。操作方法は絶対変えたくない!」という人は、新型iPhone SEを選んでおくことをオススメします。

 

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