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2020/2/13 20:45

縦折りスマホ「Galaxy Z Flip」をパタパタしてきた。手に収まるコンパクトさの“古くて新しい”良スマホだった

縦型の折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Flip」に触れるため、米国サンフランシスコの発表イベント「Galaxy Unpacked 2020」に行ってきました。

 

↑「Galaxy Z Flip」。日本ではauから2月下旬に発売予定

 

13年前に初代iPhoneが発表されて以来、スマホといえば棒型が当たり前になっているなか、最近では画面が折りたためる「フォルダブル」というジャンルの製品がでてきています。このフォルダブルをいち早く発表したのがサムスンで、今回のGalaxy Z Flipは2世代目の製品になります。

 

画面が“折りたためる”という特徴は、昨年2019年に発売されたGalaxy Foldと同じですが、スマホとしての使い勝手は全く違います。

 

今度のZ Flipは「小さくたためる」のが特長。普段はたたんでコンパクトに持ち運び、使う時はサッと広げて普通のスマホのように使えます。そう、スマホの前はみんな持っていた「折りたたみケータイ」のスタイルです。

 

↑昨年auから発売された「Galaxy Fold」は広げると大画面で使えるスマホだった

 

たたんだ状態では手で握れるくらい。コンパクトではあるのですが、スマホに買い替える前に使っていた折りたたみのケータイに比べると、横幅があり、小さな手鏡に近いイメージ。たたんだ状態では手でギュッと握ればちょうど持てるくらいで、「手の平にスッポリ収まる」という感じではありません。

 

たたんだ状態からシャキッと開くと、縦長のスマホの画面(画面サイズ6.7インチ)がニュッと現れます。

 

↑たたむとほぼ正方形に。手鏡と見間違えそう

 

 

↑厚みは「薄型スマホ2台分」といったところ

このスマホならではの使い方も……

広げた状態での使い方は普通のスマホと同じ。横幅はiPhone 11と同じくらいで、さらに縦長(縦横比2:1)になっています。手のひらに当たる角の部分の丸みはあたりがよく、背面はしっとりとした素材で手触りも良好です。つやっぽい色合いですが、指紋がついても布で拭えばすぐ落とせるコーティングになっています。

 

ただ、やはり現代のスマホの画面幅なので、片手にすっぽり収める持ち方は難しく、基本は片手持ちでキーボードを小さめに表示してフリック入力するか、両手持ちで使うかになるでしょう。

 

このモデルでは折りたたみの画面としてははじめての「カバーガラス」が採用されていて、見た目もさらにスマホに近づいています。画面を被うのがプラスチック製のフィルムから超薄型のガラスに代わったことで、光の反射が目立たなくなっていますし、画面傷つきにくくなっています。

 

↑横幅はiPhone 11(左)と同じくらい。WebサイトやSNSも広く表示できる縦長画面

 

さらに面白いことに、このスマホは半分だけ開いた状態でも使えます。たとえば半分だけ開いたところでカメラアプリを起動すると、プレビュー画面がにゅっと上半分に移動します。

 

↑フリーストップ構造。つまり好きな角度で止められる

 

Galaxyのカメラにある「手のひらシャッター」機能を使うと、机におけば、手でかざしただけでセルフィー(自分撮り)も撮れます。これも実際試してみたのですが、スマホを置くだけで場が盛り上がります。スマホに興味がない人でも、飲み会などでこのスマホを持ち込めば、盛り上げながら思い出を残せるかもしれません。

 

↑半分だけ開いてカメラを起動するとプレビュー画面が上部に移動

 

ほかにも、たとえばキーボードで文字を入力するときはちょうど下半分に広げることができたり、Androidの2画面機能を使えば、ちょうど半分ずつで違う画面を表示できたりします。また、YouTubeアプリや会議通話アプリのGoogle Duoでは、上半分に動画が広がるようになっています。下半分の画面でコメントを打ち込んだり、チャットで連絡したりといった使い方ができるようになっています。

 

閉じればなにもできないかというと、そんなことはありません。1.1インチの小さな画面が用意されていて、メールやLINEの通知をみたり、着信に対応したりもできます(開かず応答した場合はスピーカーフォンになります)。さらに、この小さな画面からカメラを起動して、セルフィーが撮れるというちょっと面白い機能も隠されています。

 

↑小さな画面で通知を確認できる

 

↑この画面、実はタッチパネル付き。セルフィーも撮れたりする

 

性能も折り紙付き。日本ではauから発売

このスマホを半分開いたかたちをみて、かつて一世を風靡した折りたたみ型のゲーム機を連想した方も多いのではないでしょうか。筆者もこのかたちで下半分に十字キーやABボタンのコントローラーがあったら、レトロゲームが遊びやすそうだな……と妄想してしまいました。発表時点ではこのスマホに特化したゲームアプリはないようですが、もしそういうアプリが登場すれば、ゲームの(古くて)新しいプレイスタイルが発掘されることになるかもしれません。

 

↑日本でのカラバリは光によって表情を変える「ミラー パープル」(手前)、なめらかな黒色「ミラー ブラック」の全2色

 

ところで、性能は……? と気にされてる方。ご安心ください。間違いなしです。スマホの性能を決めるCPUは2020年2月時点では最高クラスのSnapdragon 855+を搭載。メモリ(RAM)は8GB、アプリや写真を保存する内蔵ストレージは256GBとノートパソコンなみの大容量です。背面カメラもデュアルカメラで性能に不足はありません。強いて弱点を挙げるなら、防水性能がないことと「価格が高くなりそう」ということでしょう。

 

このGalaxy Z Flipは日本ではauが独占で販売します。予約開始は2月18日で、発売は2月下旬です。

 

au版は4G LTEに加えて、WiMAX2+も対応しているので、全国の津々浦々まで広がるネットワークで途切れることなく使えるでしょう。14日時点で価格はまだ出ていませんが、auは「国際版の価格とは大きく変わらない」としています。国際版は1380ドル(日本円換算で15万円強)ですので、おおよそ14万円〜17万円の範囲になりそうです。

 

最新iPhoneの上位モデルと同じぐらいの価格と考えると、少し高いようにも思えますが、「スマホなのに画面をたためる!」という斬新さは、今のところはこのスマホほか数機種でしか味わえません。

 

↑スマホの未来を先取りできる……!?

 

なにより、ただ開いて閉じる操作が楽しく、手に取ると無意味にパカパカと開閉して観察してみたくなります。しかし、性能は折り紙付きで「今のスマホをもっとコンパクトに運びたいんだけど……」と悩む人にも間違いなくお勧めできます。スマホの新しいかたちを一足早く見たいという人には、ぜひ手にとってみてもらいたいと思える1台でした。