学校の教科書というものは、それほどおもしろいものではない。勉強嫌いの子どもにとっては、教科書を開くということが苦痛に感じることもある。だっておもしろくないもんね。
最近では、マンガで解説する参考書や、うんこが出てくるドリルなど、勉強にエンターテイメントの手法を取り入れたものが増えてきている。文字だらけの教科書に比べれば、はるかにとっつきやすいだろう。
ドラクエの世界を算数の力で冒険
そんなエンタメ系学習教材のひとつが『ドラゴンクエストゆうしゃドリル 小学校低学年向け算数編 』(スクウェア・エニックス・編集/刊)だ。推奨学年は小学校2年生となっている。超有名なRPG『ドラゴンクエスト』の世界を、算数の力を使って進んでいき、ラスボスのりゅうおうを倒すというストーリーになっている。
主人公はドリルガルド王国の勇者。この世界を支配するりゅうおうを倒すために冒険に旅立つ。相棒は人間が大好きなモンスター、はてなスライムだ。
タシザーン、ヒキザーン、サンスーラという町や村で数々の算数の問題を解くだけでなく、武器屋や道具屋で買い物をするときにも算数問題が登場。もちろん、森や洞窟などを抜ける際にもさまざまな算数問題を解いていく必要がある。
ストーリーを進めていくと、徐々に問題も難しくなっていく。単純な足し算引き算だけではなく、つるかめ算や図形問題、単位問題なども出てくる。ここ最近算数などに触れていない大人の筆者は、途中からかなり考え込んでしまうこともあった。頭が固くなっているようだ……。
家族の力を合わせて解く問題もある
本書は、クリアしたマップにシールを貼っていくなどの仕掛けがあるため、子どもならばゲームをクリアしていく感覚で進められる。また、ところどころに「家族でちょうせん!」というコーナーがある。これは少々ハイレベルな問題となっているため、子どもだけではなく保護者や兄弟などと一緒に考えるようになっている。たとえばこんな問題だ。
1Lの オケを 持った人が 4人、1dLの オケを 持った人が 6人、1mLの オケを 持った人が 30人います。みんなが 2回ずつ オケで 水を くんだとき、水は どれだけ くめるでしょう?
『ドラゴンクエストゆうしゃドリル 小学校低学年向け算数編 』より引用
このような問題が随所に登場するため、子どもだけではなく家族全員で取り組めるというのも本書の特徴と言える。ドラクエでいえばパーティ攻撃のようなものだ。
まるでドラクエの世界を歩いている気分
ドラクエの開発メーカーであるスクウェア・エニックスが監修しているとあって、ドラキーやぐんたいガニ、ゴーレム、スノードラゴンなどなど、実在(?)するモンスターがそのまま登場する。呪文もドラクエそのままだ。実際にドラクエをやったことがある子どもならば、まるでドラクエの世界を歩いているような感覚になるのではないだろうか。
筆者の子どものころは、こんな楽しいドリルはなかった。もしこんなドリルがあったら、もっと算数を勉強していただろう。確定申告だって喜んでやる大人になっていたかもしれない。
子どもの勉強嫌いは、無理強いしても治るものではない。怒ったりしても逆効果。それならこのドリルのほうが高い効果が得られるだろう。
ちなみに、大人がやってもなかなか骨がある問題が多い。お子さんと一緒にやってみるのもいいだろう。
【書籍紹介】
ドラゴンクエストゆうしゃドリル
著者:スクウェア・エニックス(編)
発行:スクウェ・エニックス
『ドラゴンクエスト』の世界を題材にした算数の問題を解きながら冒険する、楽しく学ぶ学習ドリル!