本・書籍
2020/6/30 21:45

「集中力」なんていらない。だからこそ長続きするのだ

僕は、比較的原稿の締め切りを守るタイプのライターだ。20年以上この仕事をしてこられたのも、原稿がうまいとか個性があるとかではなく、「締め切りを守る」という当たり前のことを続けてきたからだと思っている。僕が編集者なら、どんなにいい原稿を書いても締め切りを守らないライターはあまり使わないだろうなと思う。

 

「ながら勉強」が「ながら仕事」に

「締め切りを守る」と言うと、なんだかバリバリ仕事をこなすビジネスマンのような印象だが、実際はまったくの逆。「明日できることは明日やる」といった感じで、基本的にはとてもだらけた人間だ。原稿を書くときも、いつもアニメや動画を見ている。どうもひとつのことに集中するのが苦手なようなのだ。

 

子どものときも、勉強をする際にテレビをつけていることが多かった。自分の部屋がなく、いつも茶の間で宿題をしていたからだろう。それが習慣化してしまい、メインのタスクのほかに別なこともするのが当たり前になっているようだ。

 

僕の周りのライターや編集者を見ていると、周囲の音などが気になって集中できないという理由で、耳栓をして仕事をしたり、ヘッドホンで音楽を聴いたり、フリーアドレスの会社なら一人で別な場所で仕事をするという人も多い。そのほうが集中できるらしい。

 

僕は「集中力がない」と自覚しているが、それが何か不都合だと考えたことはなかった。なぜなら、人間は1時間も2時間も同じ作業をするということができないものだと思っているからだ。

 

「発想」にじゃまなものが「集中」

集中力はいらない』(森 博嗣・著/SBクリエイティブ・刊)は、小説家である著者が集中力について記したもの。著者は1日1時間しか原稿を書かないことで有名。だから「とても集中して原稿を書いている」と思いがちだが、実はそうでもないらしい。

 

本書によると、著者は10分ほどしか集中できないとのこと。全然集中力ないじゃん……。10分ほど原稿を書いたら、何か別のことをするそうだ。そして、そちらに飽きたらまた原稿に戻る。その繰り返しなのだそう。

 

小説家のような職業の場合、一番大事なことは「発想」だ。これは僕が原稿を書くときでも同じ。どんなことを書こうかと思いついたら、あとは書いていけばいい。著者はこの「発想」には「集中」が逆効果であると述べている。

 

むしろ、別のことを考えていたり、あれもこれもと目移りしていたりするときの方が発想しやすいことを、僕は経験的に知っていた。あえて言葉にすれば、「ヒントはいつも、ちょっと離れたところにある」からだ。一点を集中して見つめていては、その離れたものに気づくことができない。

『集中力はいらない』より引用

 

これは大いに思い当たる。バンドをやっていたときに、「よし、曲を作るぞ!」と思い机の前に座ってギターを抱えていても何も浮かばない。逆に、お風呂に入っていたり友達と遊んでいたり、電車に乗っているときのほうが思い浮かぶ。なので当時はメモ帳は常に持ち歩いていた。

 

つまり、集中していてはいいアイデアが降りてこないのだ。

 

 

やる気はあとからついてくる

また、本書には「やる気をコントロールする」ということについて書かれている部分がある。

 

やる気なんてものは、やり始めれば自然にでてくる、つまりエンジンがかかってくるものではないでしょうか。

『集中力はいらない』より引用

 

これも僕が常日頃思っていることだ。僕は、原稿を書くときに気分が乗らなくても、とりあえず何か書き始めてみることにする。すると、なんとなくエンジンがかかってきて、結果的に原稿が終わっている。というか、「始めないと終わらない」からとにかくやる、という感じだ。

 

あれこれ考え込んでしまったら、とにかく手を動かす。すると自然と集中してきて、ある程度は形が見えてくることもあるということなのかなと思っている。

 

 

集中なんてしなくていい

「集中力がある」ということは素晴らしいことだと思いがちだが、よほど同じ作業を1時間2時間3時間とやり続けなければならないような機械的な作業以外は、集中なんてしなくていい。本書を読んで、自分が集中できないことを肯定されたようで、とてもうれしかった。

 

これからも、アニメを見ながら原稿を書いたり、長いテープ起こしに飽きてすぐベッドで横になったりしようと思う。多分20年以上そのスタイルで仕事をしてきたから、僕にとって一番合っているのだろう。

 

 

 

【書籍紹介】

 

集中力はいらない

著者:森 博嗣
発行:SBクリエイティブ

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