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2020/11/13 18:45

手ブレ・傾きが意識から消えていく―― 「GoPro HERO9 Black」を使ってわかった“ジンバル要らず”の実力

アクションカムの代名詞とも言うべきGoProシリーズだが、昨今のVlogブームから乗り遅れていた機能がある。自撮り用の前面液晶画面だ。以前から要望が多かった機能ではあるが、HERO8では「ディスプレイモジュラー」という形でアクセサリーでの対応となった。

 

そのディスプレイモジュラーを待ち望んでいたユーザーも多かったと思うが、今年新たに登場したのが「GoPro HERO9 Black」だ。パッと見でわかる最大の特徴は、ライブビューやステータス表示が可能な1.4インチカラー LCDの前面スクリーンが搭載されたこと。これによりGoProで自撮りが容易になるだけでなく、その他にもVlogを意識した新機能が盛り込まれている。

↑GoPro HERO9 Blackでは、ライブビュー表示も可能な1.4インチカラー LCDの前面スクリーンを採用

 

表示をカスタムできる前面スクリーンを搭載

本体寸法は71.8×50.8×33.6mmで重量は158g。HERO8よりも少し大きく重くなった。これはバッテリーの大容量化と前面カラースクリーン搭載によるところが大きいだろう。なので従来のアクセサリー類では使えないものなども出てくるので注意が必要だ。

 

前面スクリーンは画面中央部分をクロップして映し出す「フルスクリーン」と、画面全体を表示してくれる「実際の画面」を選ぶことができる。また非表示にしてバッテリー消費を抑えたり、従来通りのステータス表示も可能だ。個人的にはフレームのバランスを気にしたいので「実際の画面」にして使っていたが、被写体を常に中心に置いておきたい場合や自撮りで表情を気にしたい方はクロップした「フルスクリーン」画面で表示するとよいだろう。

↑前面画面表示はカスタマイズ可能

 

静止画/動画ともに基本の画質性能が向上

では基本性能を確認していこう。

 

まずは画質の違いについて。写真の解像度がHERO8の12メガピクセルから20メガピクセル(5184 × 3888px)へとかなり向上した。

↑動画のイメージの強いGoProだが、HERO9 Blackでは静止画の画質も大幅に向上

 

画角は狭角、リニア、広角の三段階で変更可能。広角とリニアではズームもできるので、スマホとはまた違った感じの写真撮影を楽しめる。

↑画角比較

 

動画もより高解像度な5K@30fpsでの撮影が可能となった。動画の画角は狭角、リニア、広角、さらにSuperViewの四段階に変更可能。従来から定評のある手ブレ補正機能もHyperSmooth 3.0となり、よりスムーズで安定した映像を記録できる。HyperSmoothをオフにすればリニアと広角ではズームも可能。

 

カメラ単体で機能する「水平維持」が非常に強力

そして新たに搭載された「リニア+水平維持」モードが非常に強力。従来は撮影後にGoProアプリでの処理が必要だった水平維持が、カメラ単体で撮影できるようになった。これによりカメラが多少斜めになってしまっても記録映像は常に水平を維持してくれるので、ジンバル要らずのスムーズな映像をカメラ単体で撮影できる。

↑水平維持機能を本体内で適用できるのが非常に便利

 

これが思った以上に快適だった。斜面や階段などの足場の悪い場所でも手ブレを気にせずに足元に注意して移動撮影できるし、車載映像もコーナーでの傾きや路面の凹凸に関係なくとてもスムーズに撮影できた。

<レビュー動画01/手ブレ補正や水平維持機能>

※0秒~手持ちでの手ブレ補正、音について
※34秒~自撮り、光線状態の違いによる描写(逆光/順光/日陰)
※1分30秒~画角の違い
※1分48秒~水平維持機能

 

「Max レンズモジュラー」でさらにパワーアップ!

さらに新登場のアクセサリー「Max レンズモジュラー」を使用すると、Max HyperSmoothによるさらに強力な手ブレ補正と水平維持機能で、360度どんな角度でも常に水平を維持してくれる。これは同社の360度カメラ「GoPro MAX」のHEROモード(※360度撮影ではなく、通常のHEROシリーズと同様の画角で撮影できるモード)の水平維持機能がそのまま使えるようなイメージだ。自撮り棒などで上下に動かすだけで、無理なく簡単にクレーンショットも可能となる。

↑新登場のアクセサリー「Max レンズモジュラー」。直販価格は1万1900円

 

<レビュー動画02/Max レンズモジュラー>

※0秒~Max レンズモジュラーの装着・設定
※20秒~強力な水平維持機能
※52秒~クレーンショット
※1分1秒~Max SuperView

 

だったらGoPro MAXでもよいのでは? と思う方もいるかもしれない。しかしGoPro MAXはあくまでも360度撮影の機能を重視しており、HEROモードでは1440p@60fpsまでしか撮影できず、ハイスピード撮影にも対応していない。全天周撮影できる利点は大きいが、アクションカメラとして考えるとちょっと物足りなくなってくるのだ。

 

撮影時間を設定できる新機能も追加

そしてもうひとつ新たに加わったのが「スケジュールキャプチャー/デュレーションキャプチャー」機能。これにより撮影開始時刻や録画を停止するまでの時間を設定できるようになった。

 

撮影開始後に放置しておいても設定した時間に停止してくれるし、朝日が昇るタイムラプスもその時間に起床せずに自動的に撮影できる。これらもまたVlog用途として活用できるのではないだろうか。

 

その他の撮影機能は概ねHERO8から引き継がれており、スローモーションやタイムラプスなどの撮影も可能。単なるアクションカメラとしてではなく、日常の記録や旅の思い出などもより印象的に表現できるだろう。

<レビュー動画03/スローモーション&タイムラプス>

 

【まとめ】自撮り含めたVlog用途でもかなり便利に使えるようになった

実際に使用してみると、やはり前面スクリーンがあるのは自撮り撮影にとても便利だ。従来は「広角で撮影しておけば画角には入っているだろう」といった使い方になってしまい、映像としてはちょっとルーズな感じが否めなかった…。

 

そこに追加された「リニア+水平維持」機能で自撮りでも表情をハッキリ撮影できるし、何より余計なことに気を取られることなく移動時の足元や障害物に気を配れるし、ナレーションにも集中できるなど利点は多い。要望の多かったVlog用途でもかなり便利に使えるようになった印象である。

 

GoPro.comでは現在期間限定の価格となっており、HERO9単体で4万8800円、ハンドグリップなどが付属する「HERO9バンドル」パッケージで5万4800円。ただし、クラウドストレージの利用や交換補償などの特典が得られる「GoProサブスクリプション」に登録すると「HERO9バンドル」パッケージは4万3800円で購入できる(※1年間の登録が必要/1年間で6000円)。GoProを頻繁に使用する人にとっては、同時にサブスクリプションに登録して購入することを検討してもよいだろう。