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2019/10/1 22:30

ブレなさすぎて恐ろしい…! 「GoPro HERO8 Black」を“振動激しめ系”アクティビティで試してみた【レビュー動画あり】

2019年10月1日、GoPro(ゴープロ)がアクションカメラの最新モデル「GoPro HERO8 Black」(以下、HERO8 Black)を発表。今回、ひとあし早く実機を触る機会を得ることができたので、さまざまなアクティビティで試した動画とともにレビューをお届けしたいと思います。

↑国内では10月25日より発売開始予定のGoPro HERO8 Black。国内正規販売価格は5万5880円(税込)

 

使い勝手の不満を解消するハード面の進化

8月某日、GoProのプレスツアーで招かれたのは、なんとGoPro本社のあるアメリカ・サンフランシスコ。これはかなり力が入っているなと期待が膨らみます。むしろ、「ハードルが上がりすぎてない…?」とこちらがいらぬ心配をしてしまうほど。というのも、昨年登場した従来機「GoPro HERO7 Black」は驚異的なブレ補正機能「HyperSmooth」を搭載し、「もはやジンバルは不要!」と高らかに宣言するなど圧倒的なインパクトを残していたからです。正直なところ、今年はマイナーチェンジモデルかなあ……とさえ思っていました。

↑GoProの本社に到着。まずはここで新製品のプレゼンを受けた後、さまざまなアクティビティで実際に試す、というスケジュールでした

 

↑入館証もHERO8 Black仕様。手が込んでいます

 

まずはGoProの本社にて、新製品のプレゼンテーションが行われました。その冒頭、HERO8 Blackのプロモーションムービーが流れたのですが、特に参加者がどよめいたのは、意外にも「ボディ(外観)」の紹介部分。GoProといえばアクセサリーの豊富さも大きな魅力なので、その互換性の保持のためにも大胆なボディ形状の変更はできない……と思っていましたが、これは予想外でした。なんと、マウンティングフレームが不要になったのです! GoProユーザー以外の方には「??」という感じかもしれないですが、ユーザーが大半を占めた会場は大盛りあがり。

 

改めて説明しますと、これまでGoProの豊富なアクセサリーを利用するためには、専用のマウンティングフレームを装着する必要がありました。ただ、このフレームを着けたままだとバッテリーの交換ができず、それが従来ユーザーの大きな悩みだったそうです(動画撮影はバッテリー消費が激しいですし)。また、以前にGoProを使用した際、フレームの着脱、特に外す際にかなり力を入れねばならず、壊れそうでヒヤヒヤしたことを覚えています。

↑HERO7 Blackまでは、アクセサリーを使用するためには上の写真のようなフレーム(ケース)に入れる必要がありました。ケース底面の出っ張り部分にアクセサリーを接続します

 

しかし、HERO8 Blackは本体底面に2つの折り畳み式マウントフィンガーを内蔵することにより、アクセサリーの装着を可能にしています。フレームが不要になったため、当然ながらバッテリーの交換もスムーズ。また、アクセサリーを使用しないときは底面が平らになるよう収納できるので、ケースを使っていたときのような煩わしさがありません。

↑フィンガー収納時(上)とフィンガー使用時(下)。見た目の印象よりずっと強度がしっかりしてるように感じます

 

↑試しにミニ延⻑ポールマウントを装着してみました。HERO8 Black用のスリーブにはフィンガーパーツ部分に穴が開いており、スリーブを装着したままでもアクセサリーの着脱が可能

 

そのほかにも、フロントマイクの搭載やレンズ強度のアップ(従来比2倍の耐衝撃性!)など、ボディ本体に関するトピックが続きます。今年のウリはハード面の改善なのかと思っていたら、プレゼンが進むにつれ、中身の進化も相当なことがわかってきました。むしろ、新規ユーザーやライトユーザーはそちらが要注目です!

 

「ジンバル不要」は本当? 砂浜ダッシュでどれくらいブレないか実験してみた

中身の進化で特筆すべきは、画像安定化機能の向上です。HERO7 Blackで搭載された「HyperSmooth(ハイパースムーズ)」 機能が「HyperSmooth 2.0」に進化しました。これだけ聞くとバージョンアップ程度に思ってしまいそうですが、もとがすごいだけに、仕上がりも相当なもの。ピッチ軸の安定性改善を中心とした全体的な機能向上に加え、より安定性に特化したブーストモード(HyperSmooth Boost)を新たに搭載しました。実際に試してみると、ちょっと怖いくらいにブレません。論より証拠、実際に試した動画をご覧いただきましょう(早朝に撮影したので少し映像が暗いですが、その点はご容赦を)。

 

<安定化機能なし>

 

<HyperSmooth使用>

 

<HyperSmooth Boost使用>

 

上の動画は、滞在先の近くの砂浜で、HERO8 Blackをアクセサリーなしで手持ちしながら、そこそこ全力で走って撮影したもの。<安定化機能なし>の動画を見ていただくとわかるように、砂に足を取られていろいろな方向にかなり揺れてしまっています。これでは一発で酔ってしまって二度と再生しなくなりそう……。一方、<HyperSmooth使用>では大部分のブレが補正され、新搭載の<HyperSmooth Boost使用>ではもはや「すり足?」と思えるほどの安定ぶり。「ジンバル不要」の言葉にも頷けます。

 

プレゼンでは、何よりもビデオスタビライゼーションを優先したいときにはHyperSmooth Boostを、アクティビティの躍動感や迫力を伝えたいときにはHyperSmoothを、といったように、適切なスタビライゼーションの度合いを選ぶことができると説明がありました。「スタビライザーションは有るか無いかの2択というわけではありません」という製品開発の責任者・Pablo氏の言葉に、GoProの矜持を感じました。

 

また、HERO7 Blackでは一部制限のあったHyperSmoothですが、HERO8 Blackではすべてのフレームレート、レゾリューションでの使用が可能になりました。加えて、カメラが斜めになったまま撮影してしまった際に、アプリ上で簡単に真っ直ぐに補正できる新機能「Horizon Leveling(ホライゾンレベリング)」に対応。これは特に、ウェアラブルで撮影していてリアルタイムで映像を確認できないときに重宝しそうです。

 

前モデル・HERO7 BlackでHyperSmoothと並ぶ目玉機能として搭載された「TimeWarp(タイムワープ)」も進化。TimeWarpはひと言でいえば動きながらでも使えるタイムラプスといった機能で、簡単にハイライト動画のようなかっこいい映像を撮影することができます。こちもまずは実際の動画をご覧いただきましょう。

上の動画は、実は滞在先のホテルからスーパーに行くために少し歩いただけの動画。でも、なんとなくサマになっていませんか?

 

進化したTimeWarpでは、カメラの動きに合わせて適切なインターバル(撮影間隔)で撮影してくれるAutoモードが追加されています。また、「この瞬間だけスローで撮りたい!」というとき用に、TimeWarp中にタップした瞬間だけリアルタイムにスピードを落として記録する「Real Time」という新機能にも対応しました。

 

3つのアクティビティでHERO8 Blackを使ってみた

プレゼンのあとは、いよいよアクティビティ体験です。今回は3つのアクティビティでHERO8 Blackを使ってみました。

 

この日はあいにくの曇り空で、GoProにとってはやや苦手な条件。設定は基本的にプリセットの「標準」で撮影しました。安定化機能は、ブーストモードではない通常のHyperSmoothをオンにしています。記載があるものを除いて設定の細かな調整やアプリでの補正は行っていないので、そのあたりを考慮いただいたうえでご覧いただければと思います。

 

1つ目のアクティビティは、電動キックスクーター。余談ですが、サンフランシスコの街を歩いていると電動キックスクーターをよく見かけました。どうやらシェアリングサービスがかなり浸透しているようで、ちょっとした移動に便利なんだとか。

↑少し慣れれば運動不足の筆者でも乗りこなすことができました。実に爽快だったので日本でも広まってほしいですが、ある程度の歩道の広さがないと難しいかも……

 

以下が実際の動画です。手元の動きから振動していることが伝わってきますが、画面全体では効果的にブレが抑制されていることがわかります。

 

上の動画、ちょっと斜めになってしまっているのが気になりますよね。ハーネスに装着して撮影していたのですが、乗りこなすのに必死でカメラが傾いてしまっていたようです(アクションカメラあるある)。こんなときこそ、前述のHyperSmoothのところでちらっと紹介したHorizon Leveling(アプリ内水平維持機構)の出番! 上記の動画をGoProアプリに取り込み、角度を調整したのが次の動画です。特に、27秒あたりからを見比べていただくと、その効果が一目瞭然です。

 

続いては、水上飛行機体験。……これはサプライズということで事前には知らされてはいませんでした。これまた余談ですが、筆者は絶叫系アトラクションや高いところが大の苦手。体験後、現地の方から満面の笑みで「気に入ってくれたかい?」と話しかけられた際、緊張と脱力のあまり妙なテンションで「エキサイティング!」と連呼してしまいました。

↑こんな機会でもないと一生乗らなかったであろう水上飛行機。びびりまくりでしたが、撮影に集中していたら意外となんとかなりました

 

以下が実際の動画です。ここで注目していただきたいのは、ブレの補正もそうですが、「音」について。途中でちらっと機内の様子が映っていますが、マイクとヘッドフォンを通じてでないと機長の指示も聞こえないほどの轟音でした。にもかかわらず、動画ではそれほど不快には感じません。プレゼンのなかでマイクのノイズ低減機能が進化したという説明があったので、その影響かもしれません。

 

↑一瞬だけ晴れ間がのぞいたので、写真でも撮影。やはり広角だと迫力が出ます

 

最後のアクティビティは、eバイク。ここでまずお詫びなのですが、筆者のミスで撮影があまりうまくいきませんでした。というのも、電動キックスクーターと同じくハーネスの胸の位置に機材をつけて撮影していたのですが、限界まで下げてもサドルが高く、常に前傾姿勢で乗っていた結果、完全に手元・足元しか映っておらず……。それでもブレの補正効果は実感いただけると思うので、動画を1つ載せておきます。

思った以上のスピードが出たeバイク。上の動画では舗装されていない道ということもあって体感的な振動は相当なものでしたが、見事にブレが抑えられています。ハンドルに取り付けるタイプのアクセサリーも用意されているので、こうしたシーンではそちらを使うと良さそうです。

 

【まとめ】使いやすい+ブレない=撮るのが楽しい!

新規メーカーの参入などもあり、まさに戦国時代と化しているアクションカメラ業界。超小型化や自撮り機能の強化など多種多様な製品が登場するなか、長らく業界の中心にいるGoProが新モデルで打ち出したのは、課題だった「使い勝手」の解決と、原点でもある「とにかくブレない」の追求だと感じました。

 

使いやすくてブレないとどうなるかというと、それはもう「撮るのが楽しい!」。これに尽きます。だいたいのものがスマホで撮影できてしまう今の時代、セッティングに時間がかかれば億劫になって使わなくなってしまうし、せっかく撮った動画がブレブレだったらテンションだだ下がりです。筆者も、いままではそんな感じでした。まあ、写真(静止画)でいいかなと。

 

その点、HERO8 Blackはストラップ付のスリーブに入れて首からさげておいて、面白そうなものと出会えばとりあえず撮る、くらいの手軽さです。操作も意外と簡単で、少し触れば説明を受けなくてもだいたい理解できるほど。今回撮影した動画をあとから見返すと、いろいろ情報がつまっていて、今後はもっと積極的に動画も撮影してみようという気になりました。それも撮影のハードルが低いからこそだと思います。

 

あえて不満点を挙げるならば、曇天や屋内、夜といった光量の乏しいシーンでの画質でしょうか。特に写真のほうではノイズが気になったので、このあたりは次回作での改善を期待したいところ。個人的には、旅行などの軽いアクティビティ用途なら、写真用に一眼カメラもしくはコンデジ、動画用に本機といった2台持ちでの利用がおすすめ。普段動画は撮影しないという人ほど、このHERO8 Blackはしっくりハマるはずです。

↑暗所は苦手なGoProですが、晴天屋外は大の得意。パリッと鮮やかな描写が目を引きます

 

↑より高品質なオーディオ性能を実現する「メディア モジュラー」、折り畳み式の1.90インチ前面/背面ディスプレイ「ディスプレイ モジュラー」、水深10mの防水性を備えた「ライト モジュラー」という3つのアクセサリーも同時発表。発表時点では、国内正規発売日程は未定

 

↑外観だけの展示で実際に触ることはできませんでしたが、HERO8 Blackよりさらに上の機能を搭載するというハイエンドモデル「GoPro MAX」も発表されました。デュアルレンズを搭載し、360度撮影も可能。国内正規販売店にて10月25日より販売開始とアナウンスされています