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2020/12/17 6:00

来年の初詣どうする? 賛否両論の「ハイテク参拝」が実利的な選択肢だ

現在、スマホ決済やICカードの普及によってキャッシュレス化が進んでいますが、この波は神社やお寺のお賽銭にも押し寄せています。いつもと違った年末年始が近づきつつあるなか、キャッシュレス参拝やバーチャル参拝できる神社やお寺について見てみましょう。

↑キャッシュレス参拝の最前線

 

京都駅から徒歩圏内にあり、数々の歴史的建造物が点在して見ごたえのある東本願寺は、京都観光では外せない人気スポットのひとつです。そんな東本願寺は2020年10月に電子決済のお賽銭を導入したことを発表しました。「御影堂(みえいどう)」や「阿弥陀堂(あみだどう)」などの境内6か所のほか、「渉成園(しょうせいえん)」と呼ばれる庭園などで、キャッシュレス決済を導入。また、QRコード決済の「J-Coin Pay」と「Union Pay」が印字されたパネルも設置し、参拝者はそれをスマートフォンで読み取り、好きな金額を入力して支払いすることができます。もちろん、これまで通りに現金でお賽銭を納めても構いません。

 

今回のキャッシュレス決済について、東本願寺は新型コロナウイルスに伴う「新たな生活様式」に基づき、安心して参拝できる環境を整え、利便性の向上も図ることを目的としていると述べています。キャッシュレスでの参拝は、既にキャッシュレス化が一般的になっている諸外国からの観光客が利用しやすいという利点もあるでしょう。

 

ただ、神社やお寺でのキャッシュレス決済に対して、賛成する声がある一方で反対する意見もあります。大きな懸念材料になっているのは、電子決済で収集された個人情報の漏洩。どこの神社やお寺に参拝したか、いくらの金額を支払ったかといった個人情報が明るみになると、個人の信仰や信教の自由が侵される可能性があります。また、キャッシュレスで参拝者からお金を集める行為は「収益行為」と指摘する声もあります。さらに、利用者側から考えても「なんとなくご利益がなさそう」「チャリーンという音が鳴るのも含めて参拝になる」など、“なんとなく腑に落ちない”と感じるところはあるかもしれません。

 

キャッシュレス参拝できる全国の神社・お寺

賛否両論の意見はありますが、政府がキャッシュレス推進政策を掲げていることや利便性を考えると、神社やお寺におけるキャッシュレス決済が今後まったく広まらないというのは考えにくいでしょう。実際、キャッシュレス参拝ができる神社やお寺はほかにもあるので、以下に挙げてみます。

 

東本願寺(京都)

先に紹介したように、2020年10月からキャッシュレスでの参拝が導入されています。

 

下鴨神社(京都)

世界文化遺産に登録され、パワースポットとしても人気の高い神社。下鴨神社ではVisa、Mastercardなどのクレジットカード、WAON、Suica、PASMOなどの電子マネーでの決済を2019年から導入しています。

 

日光東照宮(栃木)

日光市にある日光東照宮では2018年9月から、Suicaなどの交通系電子マネーで拝観券を購入できる取り組みを初めています。さらに境内ではWi-Fiが整備され、参拝者にとって便利な環境が整えられています。

 

バーチャル参拝&リモート参拝できる神社・お寺

毎年混雑が起きる初詣を2021年だけは避けておきたいと考える方も少なくないでしょう。そんな方にはバーチャル参拝やリモート参拝という選択肢がありますので、以下にリストアップしてみます。

 

東大寺(奈良)

東大寺は年間の拝観者が300万人を超える一大観光スポット。東大寺では3Dバーチャル参拝をウェブサイトで用意しており、自分の足で境内を進んでいるように大仏様を拝観することができます。

 

平等寺(徳島)

四国八十八ヶ所の第二十二番札所である平等寺。遠方の方や参拝できない方のために、リモート参拝のほか24時間本堂のライブ中継が行われています。

 

築地本願寺(東京)

築地本願寺も新たにオンラインでの法要参拝を始めており、大晦日や2021年正月にはオンラインで常例布教が配信されます。

 

どんなことであれ、新しい試みは賛否両論が起きるもの。お賽銭のキャッシュレス決済やバーチャル参拝にはデメリットもあるでしょうが、新型コロナウイルスへの心配がぬぐい切れないなか、このようなハイテク参拝は感染防止という観点からメリットが大きいかもしれません。