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2021/5/16 18:00

【レビュー】手帳用ボールペンは“激細油性”で決まり! パイロット「アクロインキ」採用の細軸&多機能ボールペン

すでに、この連載では繰り返し言っていることだが、とにかく今は、ボールペンが多様化していて面白い。なかでも注目すべきは、「低粘度油性インク」を使った「激細ボールペン」だろう。

 

そして今、“激細油性”を選ぶとしたら、代表的なものは2点。三菱鉛筆「ジェットストリーム エッジ」か、パイロット「アクロボール」シリーズの0.3mmとなる。

 

そこで気になるのが、両社の細さに対する考え方の違いだ。

↑激細(ボール径が0.3mm以下)の油性ボールペンを代表する存在が、三菱鉛筆「ジェットストリーム エッジ」(左)と、パイロット「アクロボール 0.3mm」(右)

 

そもそも激細油性ムーブメントの先駆けとなったのが、「ジェットストリーム エッジ」。世界初となる油性0.28mmで、しかも世界最細という自負もあるのか、三菱鉛筆はエッジをかなり特別な「超細く書ける凄いペン」として定義しているように感じられる。

 

それは、単色1000円、多色2500円という高めの価格設定からも、明らかだ。(リフィルサイズは今までのジェットストリームと同じなので、150円のプラ軸に装備もできるが。)

 

対してライバルのパイロットは、0.3mmを初手から150円の軸に搭載し、「普通に売っているボールペンの、一番細いやつ」程度の“身近”に置いてきた。ブランドとしても、単に従来からあるアクロボールの0.3mm、というだけの立ち位置。完全にアットホーム路線だ。

※価格は全て税別

 

当然ながら、どちらが正しいというわけではない。両方アリ。なんだけど、発展性があるのはやはり「普通の細いやつ」の方じゃないかなー、と。

 

そこで今回は、そんなアクロインキを採用した0.3mmの新製品2点を紹介したい。どちらも普通なのだが、なかなか面白いコンセプトをもっているのだ。

 

単色なのに“多色用リフィル”を搭載した、超スリムな「アクロ500」

激細油性の使い道を挙げるとしたら、やはりまずは手帳だろう。最近は、システム手帳の小型化ムーブメントもあって、ほぼ名刺サイズの紙面にあれこれ書く、なんていうことも増えてきた。であればそりゃ、激細の方が使いやすいよね、という話。

 

そんな小さな手帳にマッチするのが、パイロット「アクロ500」である。


パイロット
アクロ500
ボール径 0.3mm/0.5mm
各500円(税別)

 

シンプルだがチープさがなく品の良いルックスで、なかなか“お高そうなペン”の香りがする。でも500円(税別)。うーん、これは単純にお得っぽいな。

 

そして何より特筆すべきは、全長128mm/最大軸径9.6mmと、かなりスリム&ショートなボディサイズ。同シリーズの「アクロ1000」「アクロ300」はややスリムながら一般的なサイズなので、500だけが完全に別物といった印象である。

 

↑M5サイズの手帳カバーとセットにすると、こんな感じ。いいマッチ感と言える

 

手の小さな女性が握っても間違いなく細いし、今のところ最小のM5(マイクロ5)サイズのシステム手帳と合わせても、ほんの少しカバーからはみ出す程度。これなら充分に適正サイズだ。M5手帳は小さすぎて、ペンを合わせて携帯するのがなかなか難しいので、非常にありがたい。

 

実はこれ、リフィルに多色用の細くて短いものを搭載することで実現したサイズ感なのだ。

↑アクロ500が搭載するのは多色の「BVRF」リフィル。そしてノックバネの中に、何やら見慣れぬパーツが……?

 

とはいっても、単色ボディに多色リフィルを挿しただけで、はいスリムなペンができました! とはいかない。ノック用バネの位置が、単色と多色で異なるのが、問題なのである。

 

単色ボディはリフィルの前(口金の中)に、多色ボディはリフィルの後ろにバネがある。そのため、単色リフィルは前方にバネを受け止めるための段差や出っ張りが必要となる。つまり、バネ受けの段差や出っ張りがない多色リフィル(構造上、多色ボディは口金にバネが内蔵できない)は、よしんばサイズが合ったとしても、単色ボディには使えないのが常識なのである。

 

じゃあアクロ500はどうやってんだよ? というと、もちろん秘密がある。

↑この真鍮パーツ(バネ受け座)が、リフィル先端を受け止める構造になっている

 

口金を外すと、バネの先に真鍮(しんちゅう)製の見たことのないパーツがあるのが分かるだろうか? この“バネ受け座”と呼ばれるパーツが、リフィルの先を受け止め、バネの力を伝える役割を果たしているのだ。

 

こんな小さなパーツひとつで、単色ボディに多色リフィルが使えるようになるわけで、これはなかなかの発明と言える。

 

↑ブレのない安定感のある細さで、漢字も潰れず読める文章が5mm角に納まる!

 

ついでの話で、副次的に「このバネ受け座がリフィルを固定することで“ペン先のブレ”を抑制する効果もあるんじゃない?」というのも、ユーザーの中で話題となっている。

 

書いてみると、確かにペン先がぐらつかずピタッと固定されて、細かい字を書くのがかなりラク。筆記時の精度が欲しい激細だけに、この効果はけっこう大きい。ただしこのブレ抑制を、メーカーは公式には謳っていない。あくまでも、使ってみた印象の話である、念のため。

 

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