「さつま白波」や「神の河」などで知られる本格焼酎の蔵元・薩摩酒造が、地元の魅力を生かした個性派の新商品を発売しました。その名は「燻枕崎(いぶしまくらざき)」。枕崎で燻す、と聞けば和食好きの人にはピンとくるのではないでしょうか。特徴や味わいを中心に、レビューしていきましょう。
焼酎の匠とかつお節の名手が郷土愛を込めて生み出した
薩摩酒造は1936年から続く老舗で、その拠点が鹿児島県の枕崎市。薩摩半島の南部に位置し、約2万人が暮らす海沿いの港町ですが、潮風とともに流れるのがスモーキーな香りです。それは、枕崎が「かつおのまち」として全国でも有数の名産地だから。
1年間で枕崎に揚がるかつお(鮮魚)の数は、人口の約1100倍(年間水揚量:約7万トン)。人よりもかつおのほうが多く、かつお節に関しては全国で鹿児島県がダントツのシェアを誇り、その中心地が枕崎なのです。
一方、鹿児島県のお酒といえば芋焼酎であり、この地で長年酒造りを営んできたのが薩摩酒造。そこで「枕崎の空気を詰め込んだ本格焼酎を届けたい」との強い思いから、地元で60年以上の歴史を持つかつお節の造り手「金七商店」と協業。約2年の試行錯誤を経て「燻枕崎」が完成したそうです。
金七商店も屈指の名手で、2016年には4年に1度の鰹節類品評会で「一本釣鰹本節」が農林水産大臣賞の栄誉に。モーツァルトの楽曲を聴かせて作る「クラシック節」も全国的に有名で、その妥協なきクラフトマンシップはNHKで放送されている「プロフェッショナル仕事の流儀」でいっそう広まりました。
そんな「燻枕崎」は、どんな味わいなのか。グラスに注いで飲んでみました。