〜〜乗りたい&行きたいローカル線車両事典No.3〜〜
これまで、鉄道の旅に行きたくとも我慢していたという方が多いのではないだろうか。緊急事態宣言がようやく解除され、気軽に旅することができそうだ。
この1年半にわたるコロナ禍で、ローカル線は疲弊の度合いが増しているように思う。そこで、乗って少しでも営業に貢献したいと考え、今回は房総半島を走る2路線を乗り継ぎ、気になる車両観察の旅に出た。
【関連記事】
〝七車七色〟の115系!行きたい!乗りたい!「越後線」「弥彦線」
【はじめに】小湊鐵道の路線も10月中旬には全線復旧の予定
JR内房線の五井駅と上総中野駅を結ぶ「小湊鐵道」。一方、「いすみ鉄道」はJR外房線の大原駅と上総中野駅を結ぶ。上総中野駅で接続しており、乗り継げば房総半島を横断することができる。ちょうど日帰り鉄道の旅にうってつけな距離の路線である。ちなみに両社共通の「房総横断記念乗車券」は1730円とお得になっている。
そんな2つの路線だが、今年の7月3日の集中豪雨の影響で、小湊鐵道の路線が不通となってしまった。10月初旬現在も光風台駅〜上総牛久駅間が不通のままとなっている。この区間の代行バスの運行が行われているものの、時間が余分にかかり、半島横断もスムーズにできない。
そんな不通区間も、小湊鐵道の発表によると、10月中旬には復旧の見込みとされている。新しい車両の運行も始まり注目度が高まっているだけに、路線が復旧されるのに合わせて、秋の旅を楽しんでみてはいかがだろう。
房総半島の鉄道旅。まずは2社の列車に乗る前に内房線、外房線を走るJRの車両から見ておきたい。普通列車には、長らく209系が使われてきた内房線、外房線だが、新しい車両の導入が行われた。
○JR東日本E131系
新しい電車はE131系で、2021(令和3)年3月13日から内房線、外房線、鹿島線に2両編成の車両が導入されている。今後、このE131系は、相模線、宇都宮線、日光線などに導入の予定だ。
房総半島に導入されて半年あまりの新しい車両に乗車して、外房線の大原駅を目指し、いすみ鉄道に乗り換えて房総半島を横断した旅の最新レポートをお届けしよう(取材・撮影日は10月3日)。
【乗ろう!いすみ鉄道①】普通車両の中で気になるのがキハ20
いすみ鉄道の大原駅はJRの駅に隣接して駅舎とホームが設けられている。さて、この日にホームに入線していたのは、肌色と朱色の〝国鉄一般色〟に塗られたキハ20。正式にはキハ20-1303とされている。
いすみ鉄道では普通列車用の車両が5両導入されているが、キハ20は1両のみ。〝写真映え〟するこの車両が大原駅のホームに停車していると、ついカメラを向けたくなる。キハ20に巡りあうと今日は幸先がいいな、とつい思ってしまうのである。
そんないすみ鉄道の車両を紹介しよう。まずは在籍する普通列車用から見ていこう。
○いすみ300形(301号車・302号車が在籍)
いすみ鉄道開業以来24年ぶりの新車として2012(平成24)年に導入された。ローカル線向け軽快気動車で新潟トランシス製、中央に貫通扉がある最新気動車のごく標準的な顔立ちをしている。座席はセミクロスシートでトイレ付きだ。
○いすみ350形(351号車・352号車が在籍)
2013(平成25)年に導入された。基本設計はいすみ300形と同じだが、正面の形は国鉄の気動車キハ20形にそっくりな姿形をしている。塗装は黄色ベースのいすみ鉄道色ながら、レトロな趣だ。座席はロングシート、トイレはない。
運用の傾向を見ると朝夕の混雑する時間帯や、観光シーズンなどの増結用に使われることが多いようだ。
○キハ20-1303
2015(平成27)年に導入された車両。キハ20形といえば、国鉄を代表する気動車で、全国の非電化路線の無煙化に役立った車両だ。そんな旧国鉄のキハ20形を彷彿させる姿と、そのものずばりの「国鉄一般色」と呼ばれる塗装で、〝新しいけれど懐かしい〟車両として登場した。導入時はキハ303、キハ20-303といった形式名が考えられたが、他社の既存車両の数字と重なるなどの理由から、キハ20-1303となった経緯がある。
座席はセミクロスシートで、トイレ付き。キハ20-1303の導入により、古いいすみ200形が全車両引退となり、新車両への切り替えが完了した。
現在、普通列車用の車両は計5両だが、やはり鉄道ファンから注目を浴びる車両はキハ20-1303であろう。訪ねた時にこの車両が走っている・走っていないでは、乗る・撮る気合いの入り方が不思議と違ってくるのである。