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2021/12/10 18:00

五輪先導車の技術をフィードバック! パナソニック「XU1」はスピードを出しても安心のe-Bike

パナソニックといえば家電メーカーというイメージが強いですが、実は昔から自転車を製造・販売してきたメーカーでもあります。ケイリンに使用する本格的な競技車両も手掛けてきただけに、スポーツタイプの電動アシスト自転車であるe-Bikeに積極的に取り組んでいるのは言わば必然だと言えるでしょう。

 

そんなパナソニックが作るクロスバイクタイプのe-Bike「XU1」がモデルチェンジされました。オリンピックのケイリン競技で先導車を提供したノウハウを反映し、大きく進化した新型モデルの乗り味を体感してみました。

↑パナソニック「XU1」25万1000円(税込)。全長1840×全幅590mm、車体重量は24.5kg。カラーラインナップはシャインパールホワイト(写真)とマットロイヤルブルーの2色

 

ケイリン先導車の低重心フレームを採用

パナソニックは電動アシスト自転車の国内トップメーカーですが、スポーツタイプのe-Bikeは「Xシリーズ」として展開しています。「XU1」はそのシリーズの売れ筋モデル。クロスバイクタイプではありますが、太めのタイヤに前後フェンダーやキャリアを装備するなど長距離ツーリングも視野に入れているのが特徴です。

↑前後のタイヤは700Cと呼ばれる大径で、50mmという太いものを履いています。衝撃吸収性が高く、快適な乗り心地

 

↑前後にはフェンダーを装備し、雨天でも泥はねを防いでくれます。リアにはバッグなどを装着できるキャリアも標準装備

 

e-Bikeの心臓部であるモーターとバッテリーはともにパナソニック製。自社で車体からモーター、バッテリーまで製造できるのがパナソニックの強みです。ママチャリタイプの電動アシスト自転車とは異なり、アシストの出力軸とペダル(クランク)の軸が一体となった1軸式の「スポーツドライブユニット」を採用しているのがe-Bikeの特徴。ペダルの回転数(ケイデンス)を上げてもスムーズなアシストが得られます。バッテリー容量は8Ah(36V)で最大82kmのアシスト走行が可能。充電時間は約3時間です。

↑外観もスッキリしていてコンパクトなのがスポーツドライブユニットの特徴。アシストも力強くスムーズです

 

↑バッテリーはフレームに沿った形状のセミインテグレーテッドタイプを採用

 

↑ハンドル中央部にディスプレイを装備し、アシストパワーや速度、バッテリー残量など8項目を表示できます

 

モデルチェンジで大きく変更されたのがフレームの設計。ケイリン競技の先導車はバンクのついた競技場で時速50km以上で先導する必要があるため、高速域でも安定して走行できるように低重心化されています。そのノウハウをフィードバックし、新型「XU1」は従来モデルに比べてフレームの跨ぐ部分が40mm下げられていて、重心を下げるとともに跨ぎやすさも向上しました。適応身長は159~178cmとなっています。

↑新設計となったフレームはスタンドオーバーハイトと呼ばれる跨ぐ部分の高さが40mm低くなっています

 

↑サドルは細身なルックスですが、クッション性が高く疲れにくいものを採用

 

↑ハンドル幅は590mmで歩道を走ることのできる普通自転車の枠に収まっています

 

変速ギアはリアのみの9段。フロントには変速機構を搭載していないのは、近年のe-Bikeには共通する傾向です。ブレーキは油圧式のディスクで24.5kgの車体をしっかり止めることができます。バッテリーから給電されるライトなど、日常で便利な機能も装備。

↑変速ギアはシマノ製の「ALIVIO」グレード。9段で最大ギアは36Tが付いています

 

↑フロントのチェーンリングは41T。チェーン外れを防ぐガードが両側に装備される

 

↑シマノ製の油圧ディスクブレーキを前後に装備。少ない力で高い制動力を得られます

 

↑グリップは手のひらを受け止めるエルゴノミック形状。ブレーキレバーは2本指で操作するタイプ

 

↑フロントにはバッテリーから給電するタイプのライトを装備。かなり明るく暗い道でも安心感が高い

 

↑サイドスタンドを標準装備。しっかりした作りなので、車重のあるe-Bikeも安定して駐められます

 

オリンピック先導車から継承された安定性を実感

700×50Cというタイヤはかなり太めなので、見た目には漕ぎ出しが重そうにも見えるかもしれませんが、実際に走り出してみるとアシストが強力なのも手伝って、あっという間に速度が伸びます。e-Bikeは一般の電動アシスト自転車に比べてスムーズなアシスト感が特徴ですが、モーターを手掛けるメーカーによってそれぞれ特徴あります。パナソニック製は割と出だしから強力にアシストする傾向なので、e-Bike初心者にもアシストの恩恵が実感しやすいと言えます。特に登り坂では、アシストの強さを感じやすいはずです。

↑結構斜度のある坂道もアシストを活かしてグイグイ登って行くことができます

 

スピードが乗るサイクリングロードも走ってみましたが、オリンピックの先導車からフィードバックされたという安定感はさすが。横風が吹き付けるような状況でも振られることなく安心してスピードをキープできます。アシストが効く時速24km以下で走るのが快適ではありますが、それを超えた速度での巡航でも不安感はありません。低重心化されたフレームと、フロントフォークの角度が少し寝た安定性重視のセッティングとなっているのが効いているようです。反面、曲がるときは普通のクロスバイクに比べて慣れるまでは大回りする傾向が感じられました。

↑高速巡航での安定感が高いので、サイクリングロードのようなところを走るのが気持ちいい

 

クロスバイクやロードバイクというと細いタイヤを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、太いタイヤはエアボリュームが大きく振動の吸収性が高いので、長距離走ったときに疲れにくいという特徴があります。近年はロードバイクなどでも太めのタイヤが見直されてきていますが、e-Bikeは漕ぎ出しの重さをアシストで補えるので、メリットだけを享受することができます。

 

安定性重視のフレーム設計と相まって、走行中の気持ち良さは格別。乗っていると遠出がしたくなってきます。e-Bikeであれば、体力に自信がない人も帰りの疲れを心配する必要もないので、安心して長距離ツーリングに出掛けられます。少し長い距離の通勤などにももちろん対応できるので、リモートワークでたまの会社への出社はe-Bikeで、といった使い方にも良さそうです。

 

撮影/松川 忍

 

 

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