文房具
筆記用具
2022/1/31 20:30

なめらかボールペンの金字塔「ジェットストリーム」「ジュースアップ」に登場した多色ボールペンがその名に恥じない傑作だった

振り返れば2021年は、間違いなく「ボールペン超大豊作の年だった」と言えるだろう。特に下半期は、「ユニボールワン F」(三菱鉛筆)や「サラサナノ」(ゼブラ)、「カルム」(ぺんてる)など、画期的な新製品が立て続けに登場したため、今多くの文房具ファンが「さて、どれから使おうかな」と贅沢な悩みを抱えている状態にある。

 

と、冒頭からあえて“豊作”ではなく“超大豊作”と表現したのには理由がある。実は2021年下半期は、“単色”だけでなく、“多色ボールペン”まで豊作だったのだ。

 

普段は単色の影に隠れ、やや目立たないポジションにある多色ボールペンとはいえ、手帳やノート用に「多色じゃないと困る」という熱烈なファンも多い。つまり、単色・多色ともに最新アイテムに注目が集まっている現状は、文房具業界にとって非常にワッショイ感の高い状況なのである。

 

あの人気ゲルボールペンが待望の多色化!

そんな中でも特に筆者が注目しているのが、パイロットのゲルインクボールペン「ジュースアップ」の多色化だ。細字にも関わらず潤沢なインクフローを実現したシナジーチップによる快適な書き味で、筆者も含めファンの多いボールペンだけに、これまでにも多色化を希望する声はかなりあっただろう。

 

そして、これがまさに、みんなが待ち望んでいた通りの「ジュースアップの多色」に仕上がったのである。


パイロット
左:ジュースアップ4
右:ジュースアップ3
600500円(ともに税別)ボール径0.4mm

 

まずは、ビジュアル。黒・赤・青の3色タイプと、それに緑を追加した4色タイプがラインナップするが、どちらもウッカリすれば単色ジュースアップと見間違うレベルでそっくり。クリップや口金もほぼそのままで、ノックノブ周りを見ない限りは、とっさに判断できないかもしれない。「ジュースアップ」はシャープなデザインもポイントなので、見た目をしっかり継承してくれているのは、ファンとしてありがたいところだ。

↑上から「ジュースアップ」(=単色)、「ジュースアップ3」、「ジュースアップ4」。多色ノックのデザイン的主張が薄いのは、単色と見た目を揃えるためじゃないか? と思うぐらいによく似ている

 

しかも、3色タイプは軸径も約10.7mmと、単色とほぼ同じサイズ(単色は約10.5mm)。とてもじゃないが、3本のリフィルが入っているなんて思えないスリムさである。

 

スリムということは、手帳のペンホルダーに挿しやすい、ということになる。小型サイズ手帳の細いペンホルダーにも確実に挿せる多色ペンは、それだけでも価値があるのだ。パイロットは、以前にも油性ボールペンの「スーパーグリップG多色」で単色同様のスリム軸を作っているため、そのあたりのノウハウはしっかり蓄積されているのだろう。

↑ビジュアル面での最大の違いは、多色はグリップ部が短く、半透明というところ。うっすらと中のリフィルが透けて見えるのが面白い

 

見た目はそっくり。では書き味はどうだ?

↑0.4mmという細いボール径でもインクがダクダクと出るシナジーチップ。これこそジュースアップ、という書き味だ

 

そしてなにより、書き味がびっくりするぐらいそのまんま「ジュースアップ」なのである。多色ボールペンは構造上、リフィルがわずかにナナメに出てしまうというネガティブがある。これは細字になるほど筆記時の違和感として現れやすいのだが、多色ジュースアップにはそれがかなり少ないのだ(ゼロとは言わないけれど)。

 

あくまでも筆者の体感的な印象にすぎないが、もしかしたらシナジーチップのたっぷりフローによって、ペン先の傾きに伴う書き味の低下をある程度は打ち消せているのかもしれない。

↑そもそも選択肢の少ない非カスタム系のゲル多色だが、そんな中でも選ぶ価値あり! と感じられる優秀さだ

 

見た目や書き味は単色に近く、でも3色/4色が使える。要するにメリットしかないわけで、これは間違いなく優秀な多色ボールペンと言える。これまで単色ジュースアップを使っていた人は、なんならそのまま多色に移行しちゃっても問題ない、かも!?

 

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