今回の「NEW VEHICLE REPORT」は「クラウン」の新機軸について特集。「クラウン」はトヨタのブランドのひとつだが、長い歴史に裏打ちされた伝統がある。その一方で歴史あるブランドを守り続けるからこそ、それ相応の変化も必要となる。トヨタ「クラウン」の新機軸に触れてみた。
※こちらは「GetNavi」 2023年02・03合併特大号に掲載された記事を再編集したものです
大変革の16代目は国際派へと転身か
【SUV】
トヨタ
クラウン・クロスオーバー
SPEC【RS アドバンスト】●全長×全幅×全高:4930×1840×1540mm●車両重量:1920kg●総排気量:2393cc●パワーユニット:直列4気筒DOHC+ターボ+電気モーター×2●最高出力:272(82.9/80.2)PS/6000rpm●最大トルク:46.9(29.8/17.2)kg-m/2000〜3000rpm●WLTCモード燃費:15.7km/L
大変革しながらも従来の機能の美点は継承
トヨタでは最長寿の乗用車ブランドにして、保守派高級セダンの筆頭格でもあったクラウンに大変革の大ナタが振るわれた。2022年7月の発表時には4種ものボディ形態が揃えられることも明らかになったが、その先陣を切って発売されたのが今回の「クロスオーバー」。外観はネーミング通りにセダンとSUVを融合させた個性的な佇まいが印象的で、先代から受け継いだ要素は感じられない。しかし、高級セダンとしての後席の空間作りや独立した荷室、そして後輪操舵の採用で実現した取り回しの良さといった機能上の持ち味はしっかり継承されている。
エンジンは、ガソリンの2.5L自然吸気と同2.4Lターボの2種で、いずれも前後にモーターを搭載。駆動システムはグレードを問わずハイブリッドの4WDとなる。また、後者では6速AT採用している点も目新しい。
その走りは、確かにクラウンが新時代に突入したことを実感させるものだ。たとえば、従来モデルは(一部例外はあったが)良くも悪くも路面から切り離されたようなライド感が特徴だったが、新型のそれは欧州車の風味付けに変化。一方、静粛性の高さは相変わらずで2.4Lターボでは高級車らしい操舵感やダイレクトなアクセルレスポンスも楽しめる。その意味で新型クラウンは、全般的に作りが国際派になったことが最大の変化と言えるかもしれない。
[Point 1]機能的でカジュアルな風情も演出
ハイブリッドらしく、インパネ回りの設計は多機能ディスプレイが主体。運転支援関連の装備も、当然ながら最先端レベルだ。内装のカラーについても豊富な選択肢を用意する。
[Point 2]外観は個性的でボディカラーの選択肢も豊富!
近年欧州車で流行のクーペ風SUVにも通じるテイストの外観は実に個性的。ボディカラーも大胆な塗り分けの2トーンが6色、モノトーンが6色の合計12色と豊富な選択肢を用意する。
[Point 3]セダンの機能を継承して荷室はキャビンから独立
荷室はキャビンから独立。容量は450Lで、後席中央のアームレスト部分にトランクスルー機能を備える。長尺物の積載も可能だ。
[Point 4]パワートレインは全車ハイブリッド4WD
エンジンはガソリンの2.5L(写真)と2.4Lターボの2種。いずれも前後に電気モーターを組み合わせたハイブリッド4WDとなる。
[ラインナップ](グレード:パワーユニット/ミッション/駆動方式/税込価格)
RS:2.4L+ターボ電気モーター×2/6速AT/4WD/605万円
RSアドバンスト:2.4L+ターボ電気モーター×2/6速AT/4WD/640万円
G:2.5L+ 電気モーター×2/電気式無段変速/4WD/475万円
Gレザーパッケージ:2.5L+ 電気モーター×2/電気式無段変速/4WD/540万円
Gアドバンスト:2.5L+ 電気モーター×2/電気式無段変速/4WD/510万円
Gアドバンスト・レザーパッケージ:2.5L+ 電気モーター×2/電気式無段変速/4WD/570万円
X:2.5L+ 電気モーター×2/電気式無段変速/4WD/435万円
【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】
文/小野泰治 撮影/市 健治、郡 大二郎