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2023/1/26 21:15

働き世代こそ「ウォーキング」すべき理由と最新ウォーキングシューズ

近年、若年層の間でも「ウォーキング」を楽しむ人が増えています。以前は、膝に負担がかかるとランニングを躊躇する中高年に、無理せずできるフィットネスとして支持され、20〜30代にはランニングの方が人気だったのですが、コロナ禍以降、状況が変わりつつあります。スポーツシューズメーカーからも、若者向けのウォーキングシューズがリリースされたり、通勤時に履くシューズに体を整える機能をもたせたりといった取り組みが続々。

 

「90歳になってもハイヒールの履ける人生を」というスローガンを掲げ、6万人以上にウォーキング指導をおこなう日本DFWALK協会代表の山口マユウさんに、ウォーキングの効果から最新のウォーキングシューズまで教えていただきました。

 

20代の2人に1人はウォーキングが習慣化! 若い世代の人気が高まる理由とは?

↑ニューバランスジャパンが、2022年7月29日〜7月31日に全国の男女25歳〜49歳600人を対象に行った調査

 

「ウォーキング」とは、健康増進や生活習慣病予防のためなど運動を狙って歩くことに加え、趣味としての散歩、意識しての徒歩移動の選択などを指します。ニューバランスジャパンの調査によると、20代の2人に1人が「月に一回以上習慣的にウォーキングを行っている」と回答。ウォーキングが若者に浸透してきていることを山口さんも実感しているそう。

 

「4〜5年前頃から、ウォーキング指導を受けにいらっしゃる方の年齢層が若くなっています。スニーカー女子を意味する “スニ女” という言葉も生まれました。健康寿命を上げるために、政府や大手企業がスニーカー通勤を推奨し始めたことも影響しているでしょう。

 

以前は根強かった『足をきれいに見せるならパンプス』という概念が、『足や健康のためにはスニーカーが一番』と浸透してきたのがうれしいですね。私のスクールでも、『90歳になってもヒールを履くために、移動はスニーカーでしましょう』とお伝えしています」(日本DFWALK協会代表・山口マユウさん、以下同)

 

「また、ウォーキングシューズのデザインがかわいくなったことも大きな要因だと感じます。20年前は、ランニングやゴルフウェアは全身カラフルで可愛いのに、ウォーキングファッションは野暮ったく、ウォーキングシューズの色は黒、茶色、ベージュ、レンガ色くらいしかありませんでした。以前スポーツショップにしか置いていなかったスニーカーが、今では女性のファッション売り場にもあり、カラフルなスニーカーを購入できるようになりましたね。こうした背景が、若者にウォーキングをするよう後押ししているようです」

 

【関連記事】1回7分以上・1日8000歩まで! パンプスでもできる「通勤ウォーキング」の実践法

 

【痩せる・引き締まる・きれいになる】+【体の基礎が整う】
女性にうれしいウォーキングの効果

山口さんによると、ウォーキングの効果は【痩せる・引き締まる・きれいになる】の3点に加え、【体の基礎が整う】ことが挙げられるそう。ウォーキングは、筋トレやハードなスポーツに比べ、効果を実感しにくいと思う人もいるのでは? そんな思い込みを覆す驚くべき効果を教えていただきました。

 

1.痩せる

「アメリカの研究では、1日30分以上歩くと基礎代謝が上がり、食生活は変えなくても太らないという結果が出ています。30分で歩ける距離はだいたい2kmです。1日30分以上歩いた上で食生活も見直したり工夫をすれば、必ず痩せるということになります。また、女性の歩くスピードは平均時速3kmですが、おしゃべりが好きな女性におすすめなのは、お友達と一緒に時速5kmで歩いてみること。強度が上がるので痩せやすくなります。時速5kmまでだったらおしゃべりを楽しみながら歩けるんですよ。それ以上の速さになると本気のスポーツ系のウォーキングになるので、おしゃべりは難しいですね」

 

2.引き締まる

「ウォーキングには、ただ痩せるだけでなく、体を引き締めて理想の体型を手に入れることができるメリットがあります。引き締めるためのウォーキングの3つのポイントと効果は以下の通りです」

 

■ 引き締めるためのウォーキングのポイント

POINT1 後ろの足の足指で地面を蹴って進む

↑「片方の足を前に出してかかと着地をする直前のタイミングで、後ろの足をぐっと踏み込んで地面を蹴る力で前に進むようにします。歩幅も広がり、運動量も上がります」

 

POINT2 腕を真後ろに引く

↑「腕を真後ろにしっかり引き込んで歩くと歩幅を広げる助けになります。また、上半身のトレーニングにもつながります」

 

POINT3 一本線上に足を出す

■ 正しい歩き方によって得られる引き締め効果

【ヒップアップ】
「後ろの足指で地面を蹴ることでヒップアップ効果が期待できます。お尻からグッと足を前に持っていくことで、お尻の筋肉に力が入ります。前の足の体重が足の甲に乗るところまでいっても、後ろの足をギリギリまで地面か離さないようにする。そうすると、一歩ごとにお尻の筋肉がポコッポコっと動き、ヒップアップにつながります。お尻が上がることで足の長さも出ます。逆に力を抜くとお尻の幅が出てしまい、同じ服を着ていても太く見えてしまうので注意が必要です」

 

【美脚】
「ウォーキングには、美脚効果もあります。ヒップが上がることで足が長く見えるということもありますが、後ろの足指で地面を蹴って歩幅が広がると下半身の運動量が増えるので、蹴り込んでいる後ろの足のヒップライン、太ももライン、ふくらはぎ、足裏まで足全体が使われて引き締まります。また、足を一直線上に出すことで、体の軸が内側に戻り、内ももを鍛えることができます」

 

【ウエストのサイズダウン】
「クラシックバレエやソーシャルダンスの動きは重心がほとんど上の方にあります。ウォーキングも同様に、姿勢を正して上へ持ち上げられるベクトルと、足指で下へ蹴り込むベクトルとで引っ張り合うので、ウエストまわりがすっきりします。どこも意識せずになんとなく歩くと、外側にベクトルが働いてももとふくらはぎの外側が発達して足が太くなり、内側がやせ細ったりぜい肉がついて体型が崩れたりしてしまうことがあります。一本線上に足を出すことを意識することで、内ももとお尻に力が入り、骨盤を支えている内転筋、骨盤と連動している下腹も使えるため、下腹もぺったんこになる効果が期待できます」

 

【二の腕痩せ】
「一歩ごとに腕を真後ろにぐっと引き込んで歩くことで、二の腕の運動になり、引き締まります」

 

3. きれいになる

「実は、ウォーキングは一瞬で痩せ見えを叶えます! 普段私たちは、頭から全身の重さを全部、膝や足裏で受けてしまいがちです。上半身は腹筋と背筋で支え、胸襟を開いて下腹に力を入れてお尻を閉めて歩くことで、2kgくらいは痩せて見えるのです。例えば、服を買いにショピングモールに行けば、試着のためにフィッティングルームに入りますよね。新しい服を着て鏡を見るときって、自然とシャキッとした姿勢になる。きれいに見せるためにはこうした姿勢をしたほうがいいと私たちはわかっているので、その姿勢を日常的におこなえばいいだけです。そして、正しい歩き方でウォーキングを継続して体が引き締まってくると、周りからの声も変わります。『最近痩せたね』『スタイルが良くなったね』と言われると、結果が出ていることを実感し、気持ちもワクワクして、心にも体にも好循環が生まれてきます。女性ってあれもこれも欲しい『欲張りちゃん』だから、それを全部叶えてくれるのがウォーキングかもしれないですね。通勤は一人で黙々と歩く、ショッピングは友達と一緒に姿勢を正して『モデル・タレント気分で歩こう』と決めるなど、わざわざウォーキングをしに出かけなくても、日常の中できれいになることができます」

 

4. 体の基礎が整う

「痩せる・引き締まる・きれいになるの他に、歩いて基礎代謝が上がり血行が良くなることによって、全体的に健康な体に整っていきます。主に期待できる効果をご紹介します」

 

【肩こり解消】
「腕をまっすぐ後ろに引いて歩くことで、二の腕の筋トレ効果があるだけでなく、肩甲骨まわりのコリが解消します。凝り固まっている人は腕を後ろに引くたびに『ゴリッゴリッ』と音がしますが、だんだん『コリッコリッ』という音に変わって軽やかになり、最終的には音が鳴らなくなります。そうすると、肩まわりが楽になってきます」

 

【思考力アップ】
「腕を後ろに引いて歩く効果として、大胸筋を開くために脳への酸素供給がアップすることも挙げられます。脳に酸素が行き渡ることによって集中力が高まり、サクッと仕事を終わらせて遊びに行けるようになると思いますよ」

 

【体温や血圧が正常値になる】
「ウォーキングスクールのお客様の声から、体温や血圧が正常値になったという声もよく聞きます。歩くことで基礎代謝が上がるので、低体温だった方の体温が上がったり、高血圧・低血圧の改善が期待できます」

 

【冷え性の解消】
「下半身の中で一番大きな筋肉である太ももまわりをしっかり動かして基礎代謝が上がると、冷え性の解消につながります。足で地面を踏みしめて歩くと、第二の心臓と呼ばれるふくらはぎのポンプ運動も起こるため、血流が良くなることも冷え性を改善する要因ですね」

 

正しい歩き方に導く! 「ウォーキングシューズ」を履いた方がいい理由

1. 衝撃を吸収してくれるかかとのクッション性
「ウォーキングシューズはかかとにクッション性があり、歩行時の衝撃を吸収してくれる効果があります。それにより、長時間歩いても疲れづらく、膝や腰への負担も軽減されます」

 

2. 正しい歩き方に導いてくれる構造
「ウォーキングシューズはローリング歩行がしやすいよう、靴底に様々な工夫がされています。ローリング歩行とは、かかとから着地して、足の外側、内側、最後に親指に抜けていく、正しい歩き方のことです。最後に指で蹴り上げられるように靴底の指先が上がっていたりと、自然と望ましい歩き方に導いてくれます」

 

3. 足裏のアーチが整うインソール
「足裏にはアーチが5つあります。その中でも有名な横のアーチ1つと縦のアーチ2つが整うようにウォーキングシューズのインソールは作られている場合が多く、足裏が整うと足首もぶれづらくなります。私たちは体の全面積の2%しかない足裏で体全体を支え、たくさんの骨や筋肉などでバランスをとっているので、その足元をしっかり整えることで安定して歩くことができるのです」

 

■ ランニングシューズでの代用は可能?

「ウォーキングシューズをランニングシューズで代用することは可能だと思います。本来ランニングはつま先着地で、ウォーキングはかかと着地が主流なのですが、実は日本人に限ってはプロのランナーでもかかと着地の人が多いと言われています。日本で販売されているランニングシューズはかかと着地用に作られているため、ランニングシューズで代用できるとシューズ専門店の方もおっしゃっています。昔はランニングシューズの方が軽いと言われていましたが、最近ではウォーキングシューズも軽くなってきています。ただし、ランニング用、ウォーキング用と分けておいた方が目的がはっきりわかりやすいという点で、使い分けるのはいいですね」

 

自分の足に合うものが基本! ウォーキングシューズの選び方

歩きやすいよう工夫された様々な種類のウォーキングシューズが各メーカーから発売されていますが、洋服と同様に、試着をして自分の足に合うものを選ぶことが一番です。山口さんによると、自分の足に合ったシューズを履いて正しい歩き方が定着したら、どんな新作シューズでも履きこなすことができるそう。そのために、ウォーキング初心者は何を基準にしてウォーキングシューズを選べば良いか、3つのポイントをお聞きしました。

 

1. 足先が1cm〜1.5cm大きいサイズ

「ぴったりサイズのものではなく、足先が1cm〜1.5cm余裕のあるものを選びましょう。足の指が踊っているのがポイントです。足先に余裕がある靴を履くことで、指でしっかりと地面を力強く蹴ることができます」

 

2. かかとホールドが自分のかかとに合っている

「ウォーキングシューズのかかとホールドが自分のかかとの太さに合ったものを選ぶことが大切です。かかとをフィットさせることで、足首がぶれることを防ぎ、歩行が安定し足に負担がかかりづらくなります」

 

3. 靴紐で調整ができる

「足が靴の中で前後にずれると、足の指を圧迫して足の変形の原因になったり、かかとが動いて靴ずれができたりしてしまいます。靴紐で締め具合を加減することで、靴を足のサイズに微調整することができ、ウォーキングシューズと自分の足が一体化するので、足が靴の中で動いてしまうことを防ぎます。また、靴紐をきちんと結んで歩くことで靴が脱げる心配がなくなり、歩きやすさも大幅にアップします。気に入ったスニーカーの足幅が合わなくても、紐で調整できるのはうれしいですね」

 

進化が止まらない! 最新ウォーキングシューズ4選

1.柔らかさと高反発性を兼ね備えた新ソールを搭載

ミズノ「ME-03」8690円(税込)

 

柔らかさによってためた接地時のエネルギーを、ロスを少なく反発させるミズノ独自の高反ソール素材「MIZUNO ENERZY」が搭載されたウォーキングシューズ。ミズノが総合スポーツ用品メーカーとして培ってきた「反発性」に関する知見を集結させた技術を使い、従来のミッドソール搭載モデルと比較すると、柔らかさが約17%、反発性が約15%向上しています(※)。メッシュ素材で軽く、通気性が良い一足です。※設計などにより、効果や感じ方は異なります。反発性は鉛直方向に圧縮したときの比率になります。

 

「かかとは低反発で着地の衝撃を吸収してくれるため、足に負担がかかりづらいですね。ボディはメッシュ素材で通気性が良いので、長く歩いても熱がこもりづらいのもうれしいポイントです」

 

2.軽やかで弾むような履き心地

アシックス「GEL-RIDEWALK LIGHT」9900円(税込)

 

アシックスがランニングシューズで培った「GUIDESOLE」テクノロジーをウォーキングシューズに採用し、カーブ形状のソールがコロンと転がるような動きを生み出すことで、歩行時の足首部の負担を軽減した一足。ランニング用の「GUIDESOLE(ガイドソール)」のままでは転がりすぎて逆にエネルギーロスを発生してしまうため、つま先部分にフラットな領域「FLAT ZONE(フラットゾーン)」を設けることで転がりすぎを制御し、ウォーキングに特化したエナジーセービングをおこなえるよう工夫がされています。アッパー素材は環境に配慮した再生ポリエステル材を使用。

 

「ランニングシューズの構造を取り入れていて歩きやすさ抜群な上、足を入れる部分にも工夫がされているのでゆったりと履けます。本格的にウオーキングを楽しんでぐんぐん歩きたい方におすすめです」

 

3.スタイリッシュなデザインに充実の機能

ニューバランス「UA900」9900円(税込)

 

「いつでもどこでも “自分らしくスタイリッシュに快適に” 過ごせるウォーキングシューズ」として、どんなスタイルにも合わせやすいデザインに充実の機能を兼ね備えた「UA900」。外側にカーブしたヒールシェイプが脱ぎ履きを簡単にし、柔らかくフィットするインソールで疲れづらく快適に長時間の歩行をサポートしてくれます。爪先をしっかりガードしてくれる「NO SEW TIP」と、摩擦しやすいかかと部分の補強により、耐久性もアップ。柔らかく弾むような履き心地を実現したウォーキングシューズです。

 

「軽くてソフトなので、軽やかに歩きたい方におすすめです。見た目もスタイリッシュなので洋服にも合わせやすく、タウンウォークに最適な1足でしょう」

 

4.空気が循環するインソールで疲れ知らず

リーボック「デイリーフィット DMX ウォーク AP」8800円(税込)

 

インソールは、つま先、中足部、かかと部分に分かれた3つのエアポッドの中を空気が循環することで、足裏を刺激すると同時に土踏まずのアーチを自然な形でサポートしてくれる「DMX トリプルマックス ムービングエアー」を採用。柔らかなニット素材と伸縮性に優れた前足部分の構造により、快適な履き心地を実現しています。また、かかと部分を倒して後ろのストラップを足に引っ掛ければ、2WAYで楽しむこともできます。

 

「脱ぎ履きがしやすく、スタイリッシュなウォーキングシューズですね。空気が移動するDMXクッショニングを搭載しているので、通勤通学やショッピングも快適に歩けるでしょう」

 

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プロフィール

 ウォーキングスペシャリスト / 山口マユウ

一般社団法人「日本DF WALK協会」代表。証券会社勤務を経て、結婚。出産後、専業主婦から『VERY』『Como』『VOCE』『Domani』などの人気雑誌で読者モデルとして活躍し、プロのモデルに。モデルとしての活動をきっかけにウォーキングに興味を持ち、研究を重ね、ウォーキングスクールを始める。著書に『やせる3拍子ウォーク』(ダイヤモンド社)がある。
日本DF WALK協会 HP

 


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」