ハサミにこだわりがある人は、それなりに多い。そういう人は当然ながら、きちんと贔屓(ひいき)の製品を指名買いをすることになる。その代表と言えば、やはり知名度最強のプラス「フィットカットカーブ」シリーズで、売れ行きも10年連続1位と圧倒的。が、そんな中でも意外と(というと失礼だが)固定ファンが多い印象なのが、スコッチブランドのハサミである。
価格は全体的にちょっとお高めだが、その分ガッチリとした作りのものが多く、切れ味にも頼りがいがある、というイメージらしい。そのスコッチハサミシリーズに、新たに開梱用ハサミがラインアップされたという。いったいどう使うものなのか? 性能はどれほどか? その辺りを実際に使って試してみた。
最新のハサミは普通に見えてサクサク開梱
開梱用ハサミというのは、ようするに「ダンボールを開梱するカッター機能を持つハサミ」のこと。コクヨの「ハコアケ」シリーズがその元祖だが、2023年になって各社から似た方向性の製品が発売されたことにより、グッと注目度が上がってきたジャンルだ。
この7月に発売される3M「スコッチ 梱包開封シザーズ」も、そのひとつ。ラインナップは全長7インチ(約178mm)/8インチ(約211mm)の2サイズと、それぞれにノーマル刃/シリコンコート刃が設定されている。
3M
スコッチ 梱包開封シザーズ
左:7インチ ノーマル刃 1200円/シリコンコート刃 1740円
右:8インチ ノーマル刃 1600円/シリコンコート刃 2140円(すべて税別)
ざっと眺めたところとくに変わったところはなく、いたって普通のハサミという感じ。しかし、よく見ると、刃と刃の交点であるカシメ部分がスライドして動きそうな雰囲気だ。
そこで、実際に動刃(親指側)のハンドルを手前に引いてスライドしてみると、カコッという強めのクリックとともに、動刃ハンドルと刃が後退して固定された。これは開封モードと呼ばれるもので、後退せず残った静刃の先が5mmほど長く突き出している状態である。
この約5mmの刃が開梱カッターとなるので、梱包の合わせ目に貼られたテープにサクッと突き刺して引き切ると、スムーズにテープが切れてダンボールが開けられる、という流れだ。
開梱カッターとしての切れ味は充分すぎるほどで、作業はとてもスムーズに行える。5mmという刃長は開梱カッターとしてはやや長めだが、その分合わせ目にしっかりと入り込んでくれて、脱線しづらいように感じた。もちろん、これぐらいならダンボールの中身に切り込んでしまう危険性はほぼないだろう。
刃とハンドルの固定に関しては、静刃のハンドルからフックのようなパーツが生えている。これが動刃ハンドル下部の穴に入りこんだままでスライドされることによって、開閉ロックがかかるという仕組みだ。シンプルな機構なのでミスロックなどは発生しにくそうだが、スライドの動きがやや固いことと、ロック時に強く握るとハンドルがギシギシときしむのがちょっと気になった(特に問題にはならないと思う)。
お値段やや高めだけど、ハサミとしての性能はさすが!
さて、ハサミとしての性能はどうかというと、切れ味や剛性感などは、いつも通りのスコッチのハサミだな! という高い安定感である。特に大型の8インチは、ダンボールなどの硬いものもザクッザクッと気持ちよく切り込んでいけるので、1本備えておくとかなり万能に使えそう。
ちなみに2タイプの刃に切れ味の明確な差は無かったが、粘着テープなどを切ることが多いのであれば、ベタつき防止加工のシリコンコート刃を選んでおくのが無難だろう。
また、スコッチのハサミではお馴染みの立体的なハンドルだが、こちらも従来通り指にフィットして、力を無駄なく刃先に伝えてくれる感じだ(このハンドルが好き、というファンも多い)。
内側の黒い部分の材質はある程度の柔らかさがあるエラストマーなので、力を入れて切ったときに指が痛くなりにくいのも注目したいポイントだ。
使ってみた印象として、少なくともハサミとしてスコッチファンがガッカリすることはないように感じた。それに加えてきちんと実用性の高い開封モードがついているのだから、お買い得ではないだろうか。