2016年、映像機器のジャンルでは新型ゲーム機「プレイステーションVR」の発売など“AR(拡張現実)”が大きな話題を呼びました。2017年も、ヒットの可能性を秘めるキーワードが多数。そこで本記事では、液晶モデルからの世代交代が期待できる「有機ELテレビ」といった映像関連に加え、一眼レフを超える合焦&連写スピードを持つ「爆速ミラーレス」など写真関連の最新トレンドを紹介します!
【トレンドその1】
市販化から10年! ついに液晶から世代交代する「有機ELテレビ」
LGエレクトロニクス
OLED 65E6P
実売価格84万6210円
大画面有機ELを先駆ける、同社有機ELテレビの65V型モデル。明暗部の輝度を拡張する最新鋭のHDR規格「ドルビービジョン」に対応し、映像本来の色を画面に再現します。ハーマンカードンとのコラボスピーカーが生み出す臨場感あるサウンドも魅力。こういった液晶を凌ぐ高画質が魅力の有機ELテレビが、2017年に10年ぶりに国内メーカーから登場する見込みです。低価格化が期待でき、ついにブレイクする!?
LG製パネルを採用してソニーやパナソニックが参入
高コントラストで視野角の広い有機ELテレビが、現在米国で開催中のCES 2017でパナソニックやソニーから出展され、国内メーカーによる有機ELテレビが、約10年ぶりに日本国内でも発売される見込み。AV評論家の藤原さんがその経緯を語ります。
「ソニーが2007年に11V型モデルを発売し、国内の各社は有機ELテレビの開発に注力しました。しかし製造技術が上がらず、低コストでの大画面化は困難に。そんななか海外でLGが大型パネルの量産化に成功し、日本市場にも投入。2017年の春にはLG製パネル採用モデルが国内メーカーから登場するといわれています」(藤原さん)
2メーカーの参入は、有機ELテレビ市場にどのような影響をもたらすのでしょうか。
「高精度の4Kアップコンバートなど、日本メーカーらしい繊細な画作りが期待できます。価格もこなれてくるでしょう」(藤原さん)
【有機ELの特徴】
①漆黒を表現できる
有機ELは、画素単位で発光をオン/オフできる自発光型ディスプレイ。消灯時には“完全なる黒”を表現できます。
②圧巻の薄さを実現
自発光の有機ELは液晶のようなバックライトがいらず、薄型化が容易。65E6Pの最薄部は、わずか約6.5㎜です。
【国内メーカー参入で市場が活性化!】
現在の国内の有機EL市場はLGが孤軍奮闘。「LGに加え東芝、パナソニックが参戦する17年は競争の時代となり、価格は1インチ=1万円を切りそうです」(藤原さん)
●有機ELテレビ市販モデルの歴史と発売当時の1インチあたりの価格
2007年:ソニーが世界初の有機ELテレビを発売
1インチ=約1万8200円(11V型)
↑11V型のソニー XEL-1
2015年:LGが65V55V型モデルをリリース
1インチ=約1万6600円(65V型)
2017年:東芝、パナソニック、LGによる競争が生まれ価格が下がり画質も向上!
1インチ=約1万円以下に!
【トレンドその2】
ついに現実世界と仮想世界が融合する!?「スマートグラス2.0」
エプソン
MOVERIO BT-300
実売価格8万9940円
現実世界に情報を重ねるAR(拡張現実)の表現が進化。2017年は、風景により馴染む形で情報を表示できる次世代スマートグラスが増えそうです。このBT-300は、グラス部分にシリコン有機ELを採用。有線接続の専用コントローラーで操作します。
シリコン有機ELで高輝度・高コントラストを実現。現実世界へ、より自然に情報を表示します。
ハーフミラー層を備えており、グラスに映っている映像は、ユーザーにしか見えません。
ARがよりリアルに! MRへの対応も進む
スマートグラスは、現実空間に情報を追加表示できるメガネ型デバイス。最新機種ではディスプレイの進化で、風景と情報の境目がなくなり、よりリアルなAR(拡張現実)表現が可能になっています。
マイクロソフトは開発者向けに現実世界と仮想現実を融合させるMR(複合現実)対応機を販売。新たな映像表現の登場に期待しましょう。
【Google Glassとのスペック表】
2013年2月発売のGoogle Glassは、現在、一般向けの販売を取りやめ、法人向けとして開発が続けられています。最新のBT-300は表示能力が高く、3Dも対応。
・Google Glass
●ディスプレイ:プリズム●解像度:640×360●操作:音声入力/タッチパッド●ストレージ:16GB●Wi-Fi:b/g●Bluetooth:○●3D対応:-●microSD/microSDHC:-●グラス質量:43g●バッテリー駆動時間:一般的な利用で約1日(※使用状況により大きく変化)
・MOVERIO BT-300
●ディスプレイ:有機EL●解像度:1280×720●操作:十字キー/タッチパッド●ストレージ:16GB●Wi-Fi:a/b/g/n/ac●Bluetooth:○●3D対応:○●microSD/microSDHC:○●グラス質量:69g●バッテリー駆動時間:約6時間
【マイクロソフトも参戦!】
日本マイクロソフト
Microsoft HoloLens
33万3800円〜 2017年1月発売予定(開発者および法人向け)
現実の目の前の世界と、3Dのホログラムの世界を融合させたMixed Reality(MR・複合現実)を体験できます。現在、日本の開発者および法人向けにプレオーダーを受け付け中。
【トレンドその3】
4Kを超える高解像度を誇る「8Kムービー&6Kカメラ」
【8Kムービー】
NHK
8Kパブリックビューイング
8Kムービーとは約3300万画素の超高精細映像。このNHKのイベントはスポーツや音楽ライブ、芸術などの多彩なコンテンツを8Kディスプレイで体感できます。これまでも全国各地で行われており、2016年末の「NHK紅白歌合戦」も東京、熊本などの会場で放送されました。
【6Kカメラ】
パナソニック
LUMIX GH5
価格未定 2017年春発売予定
2016年9月のフォトキナで開発発表されたミラーレス。秒間30コマの6K動画から写真を切り出して約1800万画素の高精細画像を残せます(動画記録不可)。
【トレンドその4】
“速度”問題を解決したミラーレス「爆速ミラーレス」
オリンパス
OM-D E-M1 Mark Ⅱ
実売価格23万5430円(ボディ) 発売中
速さにこだわったミラーレスモデル。高速の連写&AF性能だけでなく、レリーズタイムラグを約70%に短縮、再生コマ送りは従来機の3倍以上と動作面でも高速化しています。こういったミラーレスの弱点だったAFと連写の速度などの遅さを克服するモデルが、2016年9月のフォトキナで続々登場。2017年には市販化され、人気を博しそうです。
【OM-D E-M1 Mark Ⅱはどれくらい速い?】
E-M1 MarkⅡは新20M Live MOSセンサーと新画像処理エンジン TruePic VIIIの搭載により、ダントツで高速です。
AV評論家・藤原陽祐さん
AV専門誌やウェブサイトなどでレビューを寄稿。現在、山中湖畔にプライベートスタジオを建てるべく準備を進めています。