キンコン西野「関係者全員バカ」!? 350万再生動画『下町ロレックス』書籍化インタビューで相方愛炸裂

ink_pen 2025/7/31
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キンコン西野「関係者全員バカ」!? 350万再生動画『下町ロレックス』書籍化インタビューで相方愛炸裂
馬渕信彦
まぶちのぶひこ
馬渕信彦

和酒を厳選して提案するユニット「富士虎」のひとり。日本酒関連のイベントを多数企画する。

キングコングのYouTubeチャンネル『毎週キングコング』から生まれた、再生回数350万超えの伝説動画『下町ロレックス物語』が待望の書籍化! ストーリーの語り手のひとりである西野亮廣さんに、書籍制作を担った下町編集部がインタビュー。相方・梶原雄太さんの「普通すぎる話」が多くの人を笑わせ、今もなお愛され続けている理由を聞きました。

まさかの実在!?「下町ロレックス」の“架空ラーメン屋”を本気で取材してみた話

――西野さん、実は見ていただきたいものがありまして……。

西野 なんすか、これ? ラーメン?

――YouTube動画「下町ロレックス物語」の前編で、「山梨にある山下さん親子が切り盛りするラーメン屋」という西野さんの発言があったので、編集部で調べまして。

西野 あっ! ほんとにあった?

――はい。「山梨 山下さん ラーメン」で検索すると、「蓬莱軒」というお店がヒットしたので、はるばる取材に行ってきたんですよ。で、これは土産用に販売しているラーメンでして。

西野 やばっ……。あの話って、完全に僕の作り話ですから。蓬莱軒さんも何のために取材に来たのか、よくわかんなかったんじゃないすか?

――よくわかっていませんでしたが、取材企画書をお送りしたら快諾いただけたので、甲府まで行ってきたんですよ。そしたら日本で支那そばを復活させたという名店でして。

西野 えっ、すごい!

――さらに店主の奥様がキングコングの大ファンで。20年くらい前、山梨大学の学園祭に出演されたときも観に行ってたそうです。

西野 嬉しい! まさかのご縁があったんすね。

↑書籍『下町ロレックス』にも、ラーメン屋「やま下」が登場。

――はい。そんな架空と現実が交差する「下町ロレックス」が書籍化されることに対して、西野さんはどう思いましたか?

西野 やっぱり、この本に関わっている人全員、バカなんじゃないかって(笑)。

――編集部としては大変な誉め言葉なので、嬉しいです(笑)。

西野 いやでも、笑いましたね。ポジティブに捉えると、今ってわからないことは全部AIが教えてくれる時代じゃないですか。だからAIで生成できないものは何かって考えるんですけど、やっぱ「バカなノリ」にこそAIには絶対に作れない価値があって、そこが面白くなってくるのは間違いないと思うんです。

――けんすうさん(※)はSNSで「下町ロレックスはAI時代のコンテンツづくりの教科書になる」という主旨の発言されていましたね。

西野 悪ふざけっしょ。それはもう、けんすうさんの悪ふざけっすよ。おっしゃってる意味はわかりますよ。言ってることは間違ってないですけど、けんすうさんは絶対にふざけて書いてると思いますけどね。

面白くない話なのに笑える理由――“勢いだけ”が生む新時代コンテンツ

――我々もYouTube動画『下町ロレックス物語』が最高に面白かったので、これは書籍化するかしないだろうと半ば見切り発車したわけですが……あの話って何でこんなに面白くなったんですかね?

西野 エピソードが何ひとつとして面白くないのに、梶原さんが「堂々と喋っている感じ」がやっぱ面白いっすよね。何の中身もなく、スタープレーヤーが一人もいないエピソードを、よく胸張って喋れたなと。正直、勢いだけですやん(笑)。

――西野さんから見ても、そこが梶原さんの凄さなんでしょうか。

西野 だと思いますよ。面白い芸人さんはたくさんいらっしゃいますけど、あんな普通のことを堂々と喋る人ってあんまいないじゃないすか。みんな大体おもろいこと喋るんで。ちゃんとオチがあってとか。

――そんな梶原さんのキャラを西野さんがしっかり受け止めて、面白い話に仕上げた感じもあると思います。

西野 そうでしたっけ? 僕、ただ梶原さんの言ったことを繰り返して喋ってただけな気がしますけど(笑)。

――さっきの蓬莱軒の話もそうでしたけど、チームカジサックのメンバーが山梨にある工務店の社員って設定も話を面白くしましたよね?

西野 みんなでロレックス買いに行こうやっていう、おのぼり感がよかったっすね。だって梶原さんも21(歳)くらいで東京に出て来てるんで、もう20年以上は東京住んでるはずなんすよ。でも、まだ東京に馴染めてないって雰囲気を出せるの、あれは最高っすね。

――つまり、芸人さんとしても珍しいタイプであると。

西野 はい。いま喋っててキングコングの武道館ライブ(2022年2月)のことを思い出したんですけど、僕もいろいろ準備してステージに立ってるのに、なぜか梶原さんだけが『頑張ったね』って褒められるんすよ。ぶっちゃけあの人、武道館で何もしてないんですよ。準備もなんも。ただ当日来てステージ立って、何か知らんけど泣き出して……(笑)。それだけで『頑張った!』って評価になる。そこが彼の魅力だと思いますね。みんなが自分の甥っ子を見守ってるような感じで、梶原さんは愛されてると思いますね。僕にはそういうの絶対にないですから。

――毎週キングコングのコメント欄を見ていても、梶原さんとファンの方との距離感って独特ですよね

西野 近いっすよね! もう芸能界に入って25年くらいになるんで、ちょっと距離ができそうなもんなのに、いい意味でお客さんにナメられてる(笑)。それがいいんすよ。最近もカジサックのYouTubeチャンネル観てたらメンバーオーディションがあって、「該当者なし」の結果だったんです。そしたらコメント欄でお客さんが梶原さんをタコ殴りにしてるんすよ。そんなことあります? 自分のことを応援してくださっているファンの方に、かなり上からマウント取られて……。すげぇ珍しいタイプの人なんすよ。

――そう考えると、西野さんと梶原さんはまったく別の生き物ですね。

西野 だから逆に僕は憧れてますよ、梶原さんに。基本的に表に出る芸人としては、梶原さんみたいな方が絶対にいいっすね。応援されやすいし、共感を誘うし、素晴らしいと思います。ただまぁ、梶原さんはテレビでの打率はめっちゃ低いですけど(笑)。

――下町ロレックス物語のYouTube動画でも、『この勢いをゴッドタンで出せないんですか?』って爆笑のくだりがありましたよね。

西野 テレビがほんと下手っすよね。その辺もいいんすよ。テレビでは力を出せないけど、家に帰ってきて威張ってるみたいな(笑)。そんな人間味が梶原雄太の愛おしさであって、下町ロレックスの面白さなんやと思います。

「ゴールデンゆうた」に50万円!? 西野亮廣も苦笑いの“無駄遣い”制作秘話

――下町ロレックスの話題から少し脱線しますが、西野さんはどんな腕時計を愛用しているんですか?

西野 いや僕、しないんですよ、時計。全然しない。似合わなそうなんで。装飾品と呼ばれるものを一切しないっす。

――たしかに、リングもブレスもしていませんね。

西野 しないっす、しないっす。今まで髪を染めることも、そっち系のことは一切してこなかったので。

――その「似合わなそう」というのを具体的にうかがっていいですか?

西野 僕、手首が細いんすよ。だからダサそうだなと。人が着けてるのを見てるとかっこいいなとは思いますけど。

――いつも隣で梶原さんがロレックスを着けているわけですよね。その姿を見て、西野さんはどんな思いですか?

西野 いや、嬉しいっすよ。ロレックスが成功の証なのかはわかんないすけど、チームのみんなでロレックス買ったって(※一人オメガだが……)、ひとつ目標を達成しての行為なわけじゃないすか。やっぱり梶原さんが沈んでた頃もよく知っているの、やっぱ嬉しいっすね。

――そんな下町ロレックスの制作も終わり、7月31日に無事発売されます。西野さんには「ゴールデンゆうた(※)」のアイディアまで頂戴しまして、本件では本当にお世話になりました!

西野 アイディアってほどでもないですけど、まさか本当にやるとは思わなかったすよ。一冊30万円の下町ロレックス(笑)。

――実はここだけの話、かなりコストがひっ迫して、儲からなそうなんです。

西野 えっ? コストって何にお金かけてるんですか?

――やっぱりゴールデンゆうた用の表紙をデザイナーさんに作ってもらわなきゃいけませんし、撮影するのにカメラマンさんを手配したり。あとは撮影用のスタジオ手配するのもシャワー付きのスタジオじゃないとダメだよな~とか言ってるうちに、経費がそこそこかかってしまいまして……。

西野 だから……無駄にお金かけすぎなんすよ、これ。ゴールデンゆうたにシャワーなんていらないですから!

――完全に見積もりを間違えましたけど、面白かったのでいいかなと(笑)。

西野 やっぱり、この本に関わっている人全員、バカでしたね(笑)。

■西野亮廣/プロフィール
お笑いコンビ「キングコング」としてブレイク後、絵本作家・映画監督・舞台演出家など多彩な分野で活躍。ブロードウェイ作品を共同プロデュースするなど世界進出も果たしている。

↑『下町ロレックス』(原作:梶原雄太、漫画:塚沢サンゾ夫)。


・注釈
※けんすうさん:新たなテクノロジーの活用によってクリエイティブ活動が加速する世界の実現を目指す「アル株式会社」代表取締役。下町ロレックス関連では、様々な形で〝勝手に″巻き込まれている。*けんすうインタビュー記事リンク*
※ゴールデンゆうた:書籍「下町ロレックス」の販促に悩んでいる梶原に対して、西野が捧げたアドバイス。「全身金塗にて、30万円の本を一冊だけ作ったら?」。このアドバイスを編集部も全力で受け止め、誕生したのが「ゴールデンゆうた」である。

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