据え置き型(卓上)食洗機は、賃貸でも工事いらずで導入しやすいのが魅力。パナソニックは“スリム”、“タンク式”、“1人用”まで網羅し、用途別に選べます。本稿は選び方の判断基準と最新4モデルの違いを簡潔に解説します。

目次
【この記事で取り上げるモデル一覧】
モデル | 価格(税込) | 食器点数 | 給水方式 | サイズ(幅・奥行・高さ/mm/約) | 主な機能 | おすすめ世帯人数 |
NP-TZ500 | 10万4940円 | 40点 | 分岐水栓式 | 550×344×600 | ・液体洗剤自動投入 ・おまかせコース ・ナノイーX ・ストリーム除菌洗浄 ・80℃すすぎ | 5人+ |
NP-TSK2 | 7万9200円 | 24点 | 分岐水栓式 | 550×290×500 | ・リフトアップオープンドア ・エコナビ機能 ・スピーディモード | 2-3人 |
P-TSP1 | 8万8110円 | 24点 | タンク式 | 550×290×500 | ・リフトアップオープンドア ・エコナビ機能 ・スピーディモード | 2-3人 |
NP-TML1<SOLOTA> | 3万7620円 | 6点 | タンク式 | 310×225×435 | ・フロントオープン ・送風乾燥 ・ストリーム除菌洗浄 | 1人 |
食器洗いの実情
家事の多くが家電に置き換わっている中、いまだに多くの人が家電を使わずに食器洗いを自分の手で行っています。
内閣府の「消費動向調査」(2024年3月実施調査報告)によれば、食洗機の普及率は2024年3月時点で37.3%(2人以上世帯)にとどまっています。
パナソニックが同年に実施した意識調査では、6割の人が「自分でできる家事はなるべく自分でしたい」と考えており、その筆頭が「食事の用意」で27.8%、「食後の食器洗い」は4位で16.8%になりました。
しかしその一方、これから効率化したい家事の筆頭に食後の食器洗い(15.4%)が挙がっており、嫌いな家事ランキングでも食後の食器洗いは28.6%で3位になるなど、食器洗いはできればやりたくないと思っていることが分かります。
設置問題を解消する最新据え置き型

食洗機の導入を阻んでいる理由として多く聞かれるのが「置き場所がない」「賃貸だから水栓工事ができない」といった設置に関する悩み。
しかし近年、メーカー各社はこの悩みを解消すべく、小型でスリムなモデルや、水栓工事が不要なタンク式モデル、1人暮らし用など、家族構成や住居形態に合わせたラインアップを増やし、食洗機導入のハードルを下げる努力をしています。
その中でもおすすめの食洗機が、「据え置き型」(卓上型)と呼ばれるタイプ。
欧米ではシステムキッチンに組み込む「ビルトイン型」が一般的ですが、食洗機の普及が遅れている日本では、大掛かりな施工が必要なビルトインはまだハードルが高く、DIYの経験があればユーザー自身でも設置できる据え置き型が人気となっています。
据え置き型のメリット・デメリット
据え置き型のメリットとデメリットを表にまとめました。
メリット | デメリット |
自分で取り付け可能(対応蛇口の場合) | 容量が限られ、大きな鍋やフライパンは入らないこともある |
買い替え・入れ替えが簡単 | ワークトップの作業スペースが一部減る |
モデルが豊富で、家庭に合ったサイズを選べる | 状況によっては電気や水道工事が必要(特にタンク式以外) |
比較的安価で導入しやすい(3〜10万円程) | キッチンに圧迫感が出ることがある |
パナソニック製品の特徴
このような据え置き型食洗機の中でリーダー的存在なのが、パナソニックです。
日本では食洗機の普及がなかなか進まなかったため、据え置き型市場から撤退するメーカーが相次ぎましたが、そのような中でも同社は開発を続けてきました。
パナソニックは住宅設備部門でビルトイン型も生産を続けており、両ジャンルで長年培った技術と信頼性があります。
そんなパナソニック製品は、ユーザーニーズに沿った最新技術と豊富なラインアップが特徴です。
最新技術①液体洗剤自動投入
ここからは同社注目の技術を見ていきましょう。まずは液体洗剤の自動投入機能。ドラム式洗濯乾燥機から始まった洗剤自動投入機能がいよいよ食洗機にも投入されました。
従来の食洗機は運転のたびにユーザー自身で食器の汚れ具合を見極め、洗剤のキャップや計量スプーンで計量して手動投入してきました。しかし、この自動投入機能により、その手間が省けます。

使い方は、約30回分の液体洗剤が入るタンクにあらかじめ洗剤をいれておき、「おまかせコース」を選択するだけ。食べたメニューの汚れの質と量をセンサーが検知して洗剤の量と洗浄工程の時間を自動で調節するのです。
予洗いで着色汚れの量を判断し、多いときには洗剤を多めに投入。洗浄行程後に再度センサーがチェックして油脂汚れの落ちが不十分と判断したら洗剤を追加投入して洗浄工程を自動で延長します。
これにより、どんな汚れでもスッキリきれいに落とすことが可能になりました。また、洗剤を計量することで洗剤が手についたり、シンクにこぼしたりして、いちいち手で拭き掃除をする必要がなくなるのもうれしいポイントです。
最新技術②ナノイーX
ナノイーXは空気清浄機やエアコンに搭載されているパナソニックの独自イオン技術で、食洗機庫内のニオイを抑制し、除菌効果もあります。
食洗機は毎日強力な洗剤で洗い、高温水ですすいでいるとはいえ、長く使っているとどうしても庫内のプラスチック素材にニオイが蓄積されます。庫内洗浄用洗剤を使って定期的にお手入れしても、独特のニオイが残ってしまうのです。
しかしナノイーXによって、このニオイはほとんどなくなります。朝の食器をそのまま夜まで庫内に留め置き、夕食と一緒に洗った後、そのまま庫内で食器を保管してもニオイはなく、清潔さがキープされます。
強力な洗浄力とすすぎ力
洗浄力も強力です。高さ約2mに達する高圧かつ50℃以上の高温水流を洗浄工程とすすぎ工程に採用した「ストリーム除菌洗浄」で食器の汚れをしっかり落とし、除菌します。

家族構成・住居形態で選べる豊富なラインアップ
パナソニックのもう一つの特徴は、豊富なラインアップ。洗剤自動投入・ナノイーX全部入りのフラグシップモデルから、賃貸住まい小世帯向けスリムモデル、水栓工事不要のタンク式モデル、そして1人暮らし用の小型タンク式モデルと、家族構成・住居形態で最適な1台を選べるようになっています。
タンク式とは、食洗機本体に水タンクを内蔵し、食器を洗う前にケトルなどでユーザーが給水した水を洗いとすすぎに使う方式。食洗機の前側の下部にタンクを設けることで給水しやすくなっており、水栓工事ができない賃貸住まいでも食洗機を導入するハードルを下げています。
パナソニックの据え置き型食洗機4モデル
パナソニックの据え置き型食洗機を見ていきましょう。
1: 洗剤自動投入・ナノイーXなど全部入りの最上級モデル「NP-TZ500」

使い勝手にとことんこだわった、全部入りの最上位モデル。液体洗剤自動投入、おまかせコース、ナノイーX、ストリーム除菌洗浄を搭載。加えて、高温でさらにすっきりした仕上がりになる80℃すすぎ、乳幼児の食器など耐熱温度60℃以上のプラスチック製食器も洗える低温洗浄、2・4・8時間後の予約タイマーおよびボタン長押しで1~8時間後まで1時間刻みで設定できる予約機能も備わっています。
食器点数は約5人分の40点。10万4940円(税込)。
2: スリム設計でヤングファミリー向きの「NP-TSK2」

食器点数約4人分・24点のファミリータイプながら、設置スペースが幅約550×奥行約290mmとスリム。2人分の食器ならフライパンとまな板もセットできる。
ドアが上に開くリフトアップオープンドアを採用しているため、ドアが水栓・蛇口にあたりにくく設置の自由度が高い。AIが自動で節電運転を行うエコナビ機能、軽い汚れや水洗い後に最適なスピーディモード、仕上げをよくする80℃すすぎなどを搭載。分岐水栓式。7万円9200円(税込。2025年10月17日発売)。
3: スリム+タンク式で設置場所選ばない「NP-TSP1」

上記NP-TSK1のタンク式モデル。前面下部に給水口があるので水を注ぎやすい。リフトアップオープンドアによりドアスペースを大きくとる必要がなく、賃貸の狭いキッチンでも設置しやすい。賃貸のため分岐水栓を取り付けたくない2〜3人家族に最適。8万8110円 (税込)。
4: 1人暮らしにぴったり「NP-TML1<SOLOTA>」

大皿・中鉢・茶碗・汁椀・小皿・コップ各1個、合計6点の食器が入る1人分1食用の食洗機。食器を入れなければ鍋やボウルなど大きな調理器具も入れられる。分岐水栓取り付け不要のタンク式で、設置スペースは幅310×奥行225mmとほぼA4サイズ。
コンパクトながら50℃以上の強力水流と食洗機専用洗剤で手洗いよりもきれいに洗浄でき、除菌もできる。1回あたりの標準使用水量は2.5Lと手洗いの約1/8。3万7620円(税込)。
まとめ: パナソニックの据え置き型で食洗機生活を始めよう
ここ数年、据え置き型食洗機市場に新規参入が増えています。庫内にステンレスを多用してニオイを抑えるモデル、UVライトで除菌するモデル、小型タンク式モデルも登場しています。
しかし、フラグシップから1人用までフルラインアップを持っているのはパナソニックだけ。また、1960年代から長きにわたって開発を続けてきたのもパナソニックだけです。初めての1台は、実績に裏付けされた信頼性と選べるラインアップを持つパナソニックがおすすめです。
FAQ
Q1: パナソニックの食器洗い乾燥機が他ブランドと異なる主な特徴は何ですか?
A: フラグシップモデルのみの搭載となりますが、「ナノイーX」はパナソニック唯一無二の機能です。食洗機は水垢や油汚れの蓄積、洗剤の溶け残りなどで、どうしてもニオイが発生します。ナノイーXは庫内を除菌し、このニオイを抑制します。
また、ひとり暮らし用からビルトインまでフルラインアップを取り揃え、家族構成・住居形態・ニーズに合ったモデルを選べるのもパナソニックのみです。
Q2: パナソニックの食器洗い乾燥機は運転中、静かですか?
A: 機種にもよりますが、運転音は最大で43dB程度です。それなりに運転音はしますが、LDKのキッチンで運転しているときでも、リビングにあるテレビの音声は音量を上げずとも聴こえ、会話も声を張ることなく通常通りにできます。
Q3: パナソニックの食器洗い乾燥機で使用推奨される洗剤の種類は何ですか?
A: 食洗機専用洗剤であれば、液体洗剤、タブレット、粉末洗剤のどれでも使用できます。台所用洗剤の使用は故障の原因になりますので絶対にやめましょう。なお、自動投入機能は液体洗剤のみとなります。
Q4: パナソニックの食器洗い乾燥機はどのくらいの頻度で清掃すべきですか? また、最適な清掃方法はありますか?
A: 残さいフィルターを週1回、排水口カバーを月1回程度、ブラシで水洗いする必要があります。加えて、月1回、パッキン部やドアのふち、庫内全体をよく絞った柔らかい布で拭き掃除することで、カビの発生や水漏れを防ぎます。
汚れやニオイが気になるときには、通常の2倍の量の専用洗剤を投入し、お手入れコース、または、汚れレベル5で運転します。ニオイやカビの発生、汚れの定着を防ぐためにも、定期的なお手入れは必須です。
Q5: もし故障したらどうすればよいでしょうか?
A: 購入された販売店、または、パナソニック修理ご相談窓口にお問い合わせください。
パナソニック修理ご相談窓口 0120-878-554【受付時間】 9:00〜18:00 年中無休
Q6: パナソニックの食器洗い乾燥機の平均的な寿命はどのくらいですか?
一般的に、据え置き型は6~7年と言われています。
【解説者】

近藤 克己
IT・家電フリーエディター/ライター。パソコン流通専門誌編集、家電流通専門誌編集長を経てフリーランスに。過去に、家電量販店の顧問も務めていた。現在、IT・家電を中心に編集・執筆を行うが、防災・防犯に関しても取材・執筆・編集を多数行っている。