清潔・手間なし・電気代安い!これは究極の加湿器じゃない? カドー「STEM 500H」を家電ライターが1か月使ってわかったこと

ink_pen 2025/12/29
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清潔・手間なし・電気代安い!これは究極の加湿器じゃない? カドー「STEM 500H」を家電ライターが1か月使ってわかったこと
倉本 春
くらもとはる
倉本 春

テクニカル・フリーランスライターとして、家電製品の紹介と解説を中心に執筆。PC誌編集経験を生かし、テクニカル面からの製品紹介を得意とするほか、カフェのオーナーシェフの経験を生かした調理家電の使いこなし術やレシピ提案も得意とする。

室内の空気が乾燥すると喉や肌が不調になったり、インフルエンザや風邪がひきやすくなったり、ホコリが舞い上がりやすくなるなど、さまざまなデメリットが生じます。加えて、湿度が下がると体感温度が低く感じられ、エアコンの設定温度を高めにしがち。適切な湿度を保つことは、快適性の向上だけでなく、結果として省エネにつながります。

ということで、やはり冬は加湿器が必要なのですが、現在は驚くほど多くの加湿器が登場し、「どれを選べばいいのか分からない」と感じている人も多いのではないでしょうか。そんな中、家電ライターの筆者が今シーズン注目しているのが、超音波式の扱いやすさに清潔性を両立させた、カドーのオートクリーン加湿器「STEM 500H」。今回は気になる本製品を約1か月にわたってわが家で試してみました。

↑「空気をデザインする」という独自のデザイン哲学を貫くカドー。「STEM 500H」も特徴的でスタイリッシュな意匠。カラーはクールグレー、ホワイト、ブラックの3色展開。今回はグレーをチョイス

カドー

オートクリーン加湿器「STEM 500H」

定価:3万3000円(税込)

加湿器は大きく3タイプあるがいずれも一長一短

加湿器には大きく、気化式(フィルター式)、スチーム式、超音波式の3タイプがありますが、それぞれ得意・不得意が異なります。

気化式は、水を含ませたフィルターに風を当てて水分を気化させる方式。加湿しすぎがなく、空気中に放出される水の粒子が小さいため、仮にタンク内の水に菌が繁殖しても空気中に拡散しにくいのが特徴です。さらに、省エネ性が高いというメリットも見逃せません。一方で、定期的に加湿用フィルターの手入れが必要になる点はやや手間。また、気化式にはフィルターにヒーターで温めた温風を当てる「ハイブリッド式」もあり、こちらは加湿力が高い反面、ヒーターを使うぶん、消費電力が高くなりがちです。

スチーム式は、水を沸騰させて発生する蒸気を空気中に送り出すというシンプルな方式。水を高温加熱させるため雑菌が繁殖しづらく、構造が単純なぶんメンテナンスが手軽で、加湿力が高い点も魅力です。ただし、電気代が高くなりやすいほか、蒸気口が高温になるため火傷の危険性があり、過加湿になりやすいといったデメリットもあります。

そして、今回試用したSTEM 500Hは超音波式。超音波振動でタンク内の水をミスト状に細かく砕き、空気中に拡散させる方式です。省エネな上に立ち上がりが早く、加湿スピードが速いのが特徴。そして、構造がシンプルなぶん、日常的な掃除が比較的手軽なのもメリットです。その一方で、蒸気よりも粒子の大きい「霧(ミスト)」を放出する構造上、タンク内の水が汚れていると、雑菌などを含んだまま空気中に拡散してしまうという弱点も指摘されてきました。そこでSTEM 500Hでは、約70℃で水を加熱除菌するクリーンヒート機能を搭載。超音波式で懸念されがちな「雑菌を空気中に拡散させる」不安を軽減しています。

↑超音波式を採用しているSTEM 500H。本体サイズは直径約245×高さ約315mm、質量約3.1kg
↑本体部分(左)には水をミスト化する超音波ユニットや除菌用ヒーターを内蔵。水タンクは装着したまま給水できるほか、取り外してシンクの蛇口から直接給水することも可能

パワフル、安全、長時間使える

STEM 500Hは加湿能力が500mL/h。木造8.5畳、プレハブ14畳の適用床面積の比較的パワフルな加湿器です。タンク容量も5Lと大きく、弱モードであれば一度の給水で最大約33時間の連続運転が可能。わが家では24時間オートモードで常につけっぱなしにしていましたが、朝起きてタンクの水を替えれば、あとは追加で給水することなく利用できました。「気付いたら水が切れていた」という場面はありませんでした。

↑6畳の書斎で利用したところ、湿度28%だった室内が約30分で部屋の端まで湿度50%になっていました。このスピーディーなパワフルさは超音波式ならでは

実際に使ってみて、これはいい!と感じたのが安全面。スチーム式加湿器では、蒸気口が高温になり、子どもやペットの火傷が心配になることがあります。STEM 500Hもヒーターを利用した加熱除菌をするためこの点は気になっていたのですが、加熱中に吹き出し口に手をかざしても人肌程度の暖かさしか感じません。これなら小さな子どもやペットがいる家庭でも安心して使えそうです。

↑本体中央上部からミストを吹き出す構造。手をかざすとヒンヤリとした感覚。加熱中はややぬるい温度のミストが吹き出します

そして、なんといっても本製品の特徴であるクリーンヒート機能。水を約70℃で加熱除菌することで細菌、酵母、カビなどの雑菌を99.9%抑制します。正直、実際に菌が繁殖しているかどうかはユーザーには分からないのですが、超音波式特有の「水に繁殖したカビや菌をミストとして空気中に放出するリスク」を気にしなくてよいのは精神衛生上ありがたかったです。

なお、約70℃で加熱と言っても、水タンク全体を加熱しているのではなく、必要なぶんだけの水を加熱しているため、電気代はスチーム式の約1/6と低く済むとのこと。さらに、運転停止時にタンク内に水が残っている場合でも、12時間に1回の割合で自動的に加熱して水槽内を除菌します。

ちなみに、超音波加湿器のほとんどは、雑菌の繁殖のしやすさから毎日の水交換と、週に一度のタンクや超音波振動子などの掃除が推奨されます。しかし、本製品は水を毎日交換することを推奨しているものの、クリーンヒート機能によりなんとしっかりとした掃除は1シーズン(約90日間)に一度でOK。ズボラな筆者にとって、これは本当にありがたい!

↑タンクを外した本体内部の水槽。左右にある四角いパーツが除菌用ヒーター。1週間ほど加湿器を使わない期間があったが、再使用時に水槽を触っても放置した水特有のヌメリがなかった

メンテナンス性と安心感を加味するとハイコスパじゃない?

とはいえ、超音波式にヒーターを組み合わせた加熱除菌機構を採用している以上、やはり気になるのが電気代。一般的な超音波式に比べると、ヒーターを使うぶんだけ消費電力は増えるはず。そこで今回は、実際にわが家で使用しながら消費電力量もチェックしてみました。ちなみに、電気代は1kWhあたり31円で計算しています。

↑STEM 500Hの消費電力を1時間ごとのグラフにした画面。約12時間ごとに消費電力が跳ね上がっており、加熱除菌を行っているのが分かります

まず、通常の加湿運転時(ヒーター非使用時)の消費電力量は、おおよそ11~15.6Wh。電気代に換算すると、1時間あたり約0.3~0.4円ほどで、これは一般的な超音波式加湿器と大きく変わらない印象です。わが家では24時間オートモードでつけっぱなしにしていましたが、加湿しているだけの状態であれば電気代はあまり意識する必要がありませんでした。

ただし、先程述べたように、STEM 500Hは約12時間に1回のペースでクリーンヒートによる水槽内の加熱を実行。1回あたりの加熱時間は水槽内の水量などにより変わりますが、およそ1時間から2時間半ほどでした。その際の消費電力量は1時間あたり80Wh~90Wh。電気代にすると1時間3円弱になります。意外に安い。

↑加熱運転中は電源ボタン上にあるLEDがオレンジ色に点灯(通常運転時は水色点灯)。運転停止中でも水槽内に水がある場合は12時間ごとに加熱運転をして菌の繁殖を抑えます

常にヒーターが動き続けているわけではなく、「必要なタイミングでだけ加熱する」という挙動のため、1日のトータルで見れば平均的な電気代は15円前後でした。スチーム式の加湿器と比較するとかなり割安な電気代、というのは本当でした。もちろんヒーターのない一般的な超音波式と比べれば電気代はやや高くなりますが、雑菌の繁殖を気にしながらこまめに掃除する手間や、清潔性への不安が、この程度の電気代で解消するならばむしろコストパフォーマンスは高いと言えるのではないでしょうか。

超音波式ならではのデメリットも解消

ところで、超音波式の加湿器は手軽で扱いやすい一方、実は気をつけるべきポイントが多い方式でもあります。まず、蒸気よりも水粒子が大きいミストを空気中に拡散して加湿するため、水道水に含まれるカルキやミネラル分も水分と一緒に空気中へ放出されます。その結果、黒い家具や色の濃いカーテンの近くで使用すると白い粉が付着したり、電子機器に入り込むことで故障するリスクもあります。

そこで、STEM 500Hは水道水に含まれるカルシウムなどの成分をカットするフィルターカートリッジを搭載。ホワイトダストの発生を99%以上抑制できるそうです。実際に色の濃い紺色のプリーツカーテンの近くにあえて設置して使ってみましたが、白い粉が付着することはありませんでした。ちなみに、ホワイトダストの発生を抑えられるとはいうものの、STEM 500Hは設置時には周囲に約50cm、上部には約1mの空間を確保することが推奨されています。

↑水タンク下部に装着する、ホワイトダスト発生を抑制するためのフィルターカートリッジ

また、超音波式は一般的にミストの粒子が大きいため、遠くまで飛ばずに加湿器近くに垂れやすいというデメリットもあります。そのため、壁の近くに置くと壁が湿ったり、フローリングの床に直接置いて運転すると、裸足で歩くとペタつくように感じたりするケースも珍しくありません。そこで、STEM 500Hは吹き出し口にミストを反射・分散させる凹凸の多いリフレクター構造を採用。ミストを砕いて超微細な粒子にし、効率良く拡散させて素早く気化させることで、水の粒が床や壁に残りにくくなる仕組みになっています。

実際、加湿器の吹き出し口から20cmのところに30分間黒い樹脂フィルムを置いたところ、STEM 500Hはミストが当たりやすい一部が少し曇ったくらいでした。一方、他社製の一般的な超音波加湿器で実験したフィルムはフィルム全体が結露のようなものでビシャビシャになりました。

↑本体内には生成したミストを反射・分散させるために複雑な構造をしたリフレクターを内蔵。これによりミストが素早く気化するのだとか
↑左がSTEM 500Hのミストに当てたフィルム。右が他社製加湿器のミストに当てたもの。同じ超音波加湿器でもミストの「濡れにくさ」がまったく異なるのがわかります

給水がちょっと不便だがデザイン性でカバー

ここまで多くのメリットを感じた「STEM 500H」ですが、実際に使ってみて「やや惜しい」と感じた点もありました。それが、給水時の使い勝手。フタや水タンクにハンドルがないため、給水時はやや扱いにくく感じるのです。最近は「給水のしやすさ」を重視した製品が増えているだけに、この点は気になります。ただそのぶん、全体のデザイン性は非常に高く、こうしたハンドル類をあえて設けていないのは、外観の美しさを優先した結果なのだと感じました。

↑水タンクのフタ部分は中心に穴が空いた板形状。片手でサッと外すのに慣れが必要でした
↑水タンクもハンドルなどがないので両手で抱えて持つ必要があります。片手で持ち運べないので満水時は階段の上り下りが面倒になることも

とはいえ、給水以外の部分についてはかなり満足。超音波式加湿器につきまとってきた、雑菌の繁殖による空気汚染への不安や、ホワイトダスト、床や壁が過度に湿ってしまう問題に対して、しっかりとした対策が施されています。そして何より印象的だったのが、メンテナンスの手間の少なさ。加湿器という家電は水を扱う家電だけに、こまめな掃除が必要になりがちですが、その負担を嫌って使わなくなってしまう人も少なくありません。STEM 500Hは、水の交換こそ毎日必要なものの、しっかりとした掃除はワンシーズンに一度でOK。これは、忙しい人や掃除が苦手な人にとって、大きな魅力と言えるでしょう。

デザイン性と清潔性、そしてメンテナンスの手軽さ。これから加湿器を導入したい人はもちろん、これまで「手入れが面倒で続かなかった」「超音波式は不安で避けていた」という人にも、ぜひ一度チェックしてみてほしい製品です。

STEM 500H

加湿量:最大 500mL/h

運転モード:オート/ナイト/急速/マニュアル(3段階)

適用床面積(急速モード):木造和室8.5畳/プレハブ洋室14畳

タンク容量:5L

運転音:最小35dBA/最大39dBA

消費電力:最小20W/最大143W(加熱運転時)

サイズ・質量:直径約245×高さ約315 mm・約3.1kg

定価:3万3000円(税込)

カドー

STEM 500H

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