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イヤホン
2025/1/8 11:00

早くも2025年の本命か!? テクニクスの最新完全ワイヤレスイヤホン「EAH-AZ100」レビュー…サウンドから通話機能まで驚くべき結果が

テクニクスから待望の新フラッグシップ完全ワイヤレスイヤホン、「EAH-AZ100」が発表されました。完全ワイヤレスイヤホン市場はすでに成熟しており、最近は機能面でのサプライズが難しくなってきています。そんななかで、EAH-AZ100は同社らしいサウンドへのこだわりに加え、これまでにない新たな機能を用意してきました。その進化ポイントを詳しく見ていきましょう。

テクニクス
ワイヤレスステレオインサイドホン「EAH-AZ100」
オープン(予想実勢価格39,600円前後・税込)
2025年1月23日発売予定

 

フラッグシップ有線イヤホンのドライバー技術を採用

まずは製品の概要から。テクニクスの完全ワイヤレスイヤホン初代機は2020年4月登場の「EAH-AZ70W」。そして2023年6月には、現行の最上位モデル「EAH-AZ80」が発売されました。モデル名を見ると数字が10刻みでステップアップしていることがわかりますが、今回は一気に3桁の「100」となったことからも、その力の入れようが窺えます。

↑コンパクトな充電ケースは高級感ある仕上がり

 

販売予定価格は税込39,600円前後で、EAH-AZ80の税込36,630円と大きくは変わっていません。ですが、ユーザーから寄せられた要望に応えてさらなる改良が施されており、特にドライバーまわりは“別モノ”と呼べる設計になっています。

 

具体的には、完全ワイヤレスイヤホンとして初めて「磁性流体ドライバー」を搭載。これはフラッグシップ有線イヤホン「EAH-TZ700」のドライバー技術を活用したもので、磁性流体と極薄エッジ、アルミニウム振動板の組み合わせによって、低域再生能力を高めるとともに、歪みのない自然な再現性を実現するとしています。

 

また、完全ワイヤレスイヤホンとしてのハウジング形状の制限があるなかで、アコースティックコントロールチャンバーやハーモナイザーなどの内部パーツの配置を工夫し、よりEAH-TZ700に近い音質の実現を目指した設計となっているようです。

 

さらに、音声データが伝送される際の音質劣化を防ぐ「ダイレクトモード」の搭載や高音質コーデックLDACへの対応、新規格のLE Audioをサポートするなど、高音質再生へのこだわりが満載されています。

 

イヤホン本体の小型・軽量化で装着感を高めたことに加え、イヤーピースには特許出願中のEAH-AZ100専用品をXS/S/M/ML/Lの5サイズ用意。多くの人にフィットするよう配慮されているのもポイントです。

↑特別に開発された3層構造のイヤーピースは、音を外に逃がすことなく鼓膜に届ける役割を担っています

 

自分だけでなく、相手の声をクリアにして通話できる新機能

機能面では、業界最高クラスのノイズキャンセリング性能を実現(2024年10月31日現在、同社調べ)。電車や飛行機内などのノイズや、人の話し声の帯域をより強力に除去できるようになっています。さらに、周囲の騒音状況やユーザーの耳の形状にあわせて最適化するアダプティブ・ノイズキャンセリング機能を新採用。外音を取り込むアンビエントモードも、周囲の音がよりクリアに聴こえるように強化されています。

 

実際にそのノイズキャンセリング性能はかなり強力で、近くで稼働する空気清浄機の音を完全に抑え込むことができました。そして、それだけ効果があるにもかかわらず、再生音への影響がほとんど感じられないのも嬉しいところ。ノイズキャンセリング機能は常にオンにして使用するのがオススメです。

 

そして面白いのが通話性能の向上です。ビームフォーミング技術や音声解析技術などの組み合わせによる独自の通話音声処理技術「JustMyVoice」が、AIによって進化。通話時に自分の声をクリアに届けるだけでなく、相手の声をノイズ除去してクリアに受け取ることもできる業界初の新機能「Voice Focus AI」を搭載しました。

↑イヤホン本体にはノイズキャンセリング・通話用のフィードフォワードマイクとフィードバックマイク、そして発話検知用マイクを左右合計で6つ搭載しています

 

イヤホンを通してハンズフリー通話する際には、たしかに自分の声がちゃんとキレイに届いているかは気になるところですが、実際の使い勝手としては相手の声がはっきり聴こえることが重要です。そこに着目したのは画期的なアイディアではないでしょうか。

 

また、Dolby Atmos(ドルビーアトモス)による空間オーディオに対応したのもトピック。イコライザーの調整バンドも増えており、それぞれの機能は「Technics Audio Connect」アプリから設定することができます。

↑「Technics Audio Connect」アプリから細かな設定が可能。Voice Focus AIの確認として、自分の声が通話相手にどう届くかを確かめることもできます

 

このほか、バッテリー持続時間も改善されていて、イヤホン本体のみで約10時間、充電ケース併用で約28時間となりました(ともにノイズキャンセリングオン/AAC再生時)。3台マルチポイント接続も踏襲するなど、前モデルから良いところを引き継ぎながら、使い勝手の面もしっかり進化させています。

 

試聴結果は…圧倒的な解像度で楽曲の魅力が際立つ

それでは、いよいよEAH-AZ100のサウンドを確認していきましょう。特徴的なのは、極めて高解像度であること。そして、いわゆるS/Nの良いサウンドであり、「音源に収録されている音しかしない」とでも言うべき再現性です。

↑LDAC接続でサウンドをチェックしました

 

どの帯域も過不足のないバランスの取れたサウンドキャラクターで、色付けのないフラットな表現はモニタライクとも言えますが、豊かな情報量と余裕ある抑揚表現によって、ずっと聴いていたくなるような深みのある鳴り方をしています。

 

Mrs.GREEN APPLE「ライラック」では、イントロのギターソロとカッティング、ベースラインが明瞭に描き分けられ、その時点でEAH-AZ100の解像度が同価格帯の完全ワイヤレスイヤホンのなかでも頭一つ抜けていることが伝わります。Aメロに入ってもボーカルをむやみに目立たせるようなことはせず、どの音にも満遍なくスポットが当たっているかのように耳に飛び込んできます。

 

この表現力によって、楽曲の魅力がポジティブな意味で際立つように感じます。たとえばAQUA TIMEZ「ALONES」では浮遊感のある電子音が存在感を増して、サビの疾走感がより高まります。その一方、骨太な中低域が下支えすることで、浮遊感に引っ張られて楽曲の印象が軽くなってしまうことを防いでいます。おかげで楽曲の持つ力強さとポップさが、良いとこ取りで感じられるようになっています。

 

基礎的な再生能力が非常にハイレベルなので、苦手なジャンルというものがありません。音数の多い現代的な楽曲からクラシックまで、それぞれの楽曲の旨味を堪能させてくれるはずです。あえて個人的な好みを挙げるとするならば、tuki.「晩餐歌 (弾き語りver)」やPEOPLE 1「紫陽花」といった静けさのあるボーカル曲は、EAH-AZ100のS/Nの良さと解像度が活かされて楽しめるように思います。

 

さすがはテクニクスと言うべき注目の完全ワイヤレスイヤホン

↑マルチポイント対応など使いやすい機能を備えた高音質な完全ワイヤレスイヤホンに注目

 

このようにEAH-AZ100は、全方位に弱点のない、流石はテクニクスのフラッグシップといった仕上がりになっています。

 

2025年のはじめから、いきなり今年の完全ワイヤレスイヤホンランキングの上位候補が現れました。オーディオ好きなら見逃せない一品、ぜひチェックしてみてください。