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2025/1/30 19:30

5.4億円超の支援が集まる鹿島建設のスピーカー「OPSODIS 1」を体験! 「凄い、としか言いようがない」ワケ

数々の高層ビルやダム、コンサートホールなどを手掛けてきた建設会社、鹿島建設が“スピーカー”を開発したことをご存知ですか?

 

そのスピーカーとは、立体音響技術「OPSODIS」(オプソーディス)を活用したもので、その名もズバリ「OPSODIS 1」! 現在、クラウドファンディングサービス「GREENFUNDING」にてプロジェクトを展開中です。

 

今回、GetNaviが運営する”モノ好きのための、モノ好きによるコミュニティー”、GetNavi Salonは、メンバー向けの限定イベントとして「OPSODIS 1体験会」を実施しました。その模様をレポートします。

↑鹿島建設にて行われた、「OPSODIS 1体験会」の様子

 

鹿島建設がなぜスピーカーを開発したのか

↑「OPSODIS 1」について説明してくれたOPSODIS LIMITED 事業統括推進部長の村松繁紀氏、そして営業統括部長の渡邊明彦氏

 

まず誰もが気になるのは、「なぜ国内大手建設会社である鹿島建設がスピーカー開発に乗り出したのか?」という点ではないでしょうか。

 

そもそも鹿島建設が創業されたのは1840年、江戸時代にまで遡ります。いち早く洋風建築に取り掛かり、日本初の鉄道工事や原子力施設の施工など、常に先進的な挑戦を続けてきました。そして1949年に、建設会社として初めて独自の技術研究所を設立。研究テーマのひとつとして“騒音と振動の制御”に取り組みました。

 

その成果により、鹿島建設はサントリーホールやヤマハホール、「ZEPPのなかでも音が良い」と評判だというZepp Osaka BaysideやZepp Hanedaなどを建設してきました。

 

これらの音楽ホールの音響設計を通じて生まれたのが、立体音響技術「OPSODIS」です。この技術を世に広めるため、これまではオーディオメーカーなどへの技術提供を行ってきましたが、今回ついに自社で音響エンジニアのスペシャリストチームを結成し、「OPSODIS 1」スピーカーの開発に至った、というわけです。

立体音響技術「OPSODIS」が採用されたシャープのシアターバーシステム「8A-C22CX1」(写真奥)と、ウェアラブルネックスピーカー「AN-SX8」(写真手前)

 

体験会では村松氏による「OPSODIS」の詳細説明が行われましたが、なんといっても論より証拠。片方のchの音を打ち消すクロストークキャンセル技術のデモを体験してみると、スイートスポットではたしかに片chの音しか聴こえないのに、ちょっと位置を外れると左右chの音が聴こえだす手品のような現象に、参加メンバーからは「すごい! 不思議ですね」と笑みがこぼれていました。

 

またラジコンがぐるぐるとカメラ(マイク)の周りを走る様子を収録したデモでは、その立体感に思わず感嘆の声が上がるシーンも。前後・左右だけでなく、上下の再現性が高いことも「OPSODIS」の特徴だそうです。

↑「OPSODIS」のデモを体験した参加メンバーは、その効果に驚いていました

 

「22.2chを再生できる環境を構築できればいいですが、自宅にそれだけのスピーカーを置ける人がどれだけいらっしゃるでしょうか。前方のスピーカーだけで立体音響が再現できるのがOPSODISの強みです」という村松氏の説明に、参加メンバーはみな「確かに」と頷きました。

 

参加者が驚いた「OPSODIS 1」の実力

そしていよいよ、この「OPSODIS」技術を採用したスピーカー「OPSODIS 1」の試聴が始まりました。

 

「OPSODIS 1」は「周波数別スピーカー配置」に準じた3ウェイ6スピーカーを搭載、6チャンネルマルチアンプで駆動する方式。入力はUSB-C、3.5mmアナログ、光デジタル、Bluetoothを備えています。

↑スピーカー「OPSODIS 1」。カラーはブラックとシルバーの2色展開です

 

スマートフォンやタブレットで様々な映像コンテンツが楽しめるいま、デスクトップユースしやすい小型サイズなのが魅力的。サウンドバーとは異なり、スピーカーとリスナーの距離は60cmほどがベストで、離れればそれだけ音の定位がぼやけていくとのこと。もしテレビと接続したいときは、「OPSODIS 1」をテレビの近くではなく自分の近くに設置することで効果を最大化できます。

 

とはいえ多少距離があっても問題はなく、また「OPSODIS 1」を中心に90度の範囲に収まるようであれば立体効果は感じられるそうなので、スピーカーから少し離れた位置に2人並んで座って聴く、ということも可能です。小さなサイズから誤解されそうですが、決して「一人用スピーカー」ではないというのもポイントですね。

↑「OPSODIS 1」には操作リモコンやアプリは用意されておらず、天面のボタンから入力やモード切り替えを行います。これは自分の近くに置いて使用することが想定されているためで、シンプルな操作で使えるというメリットにもつながっています

 

「OPSODIS 1」のサウンドを聴いて、筆者がまずお伝えしたいのはとにかくスピーカー製品として高音質であるということ。これは当たり前のようですが、正直なところ、立体音響を再現するために音質を犠牲にしているオーディオ機器は少なくありません。高音質という当たり前を実現していることが、「OPSODIS 1」のレベルの高さを物語っています。

 

そして立体音響の再現性が驚異的で、背後の音まで明確に再現されます。試聴した会場は後ろに空間が大きく広がっていて、背後の音の再現が難しい環境でしたが、「OPSODIS 1」はそういった環境に左右されずに回り込む音まで描写できています。その再現性の高さは、実際にリアスピーカーを設置したサラウンドシステムにも引けを取らないと思わせるほどで、高音質と相まって非常にリアリティがあります。

 

村松氏も、

「今回は極限まで本体サイズを小さくしながら、立体効果は高く、なにより良い音は絶対に諦めない、という姿勢で開発しました。そもそもの音が良くなければ、サラウンド効果を高めても意味がありません。基礎的な再生能力が優れているからこそ、立体的に聴こえたときに“感動する音”になると考えています」

と音質へのこだわりを強調していました。

 

またバイノーラル音源やDolby Atomos(2chに落とし込まれたもの)のような立体音響として制作された音源はもちろん、ステレオ音源であっても広がりを感じられるのも「OPSODIS 1」の特徴です。これは「普通のステレオ音源であっても、位置情報が記録されていればそれを再現することで立体感が出るため」(村松氏)とのことですが、実際に音場に奥行きが出てきて、聴いていて楽しくなります。なお、サウンドモードは「Narrow」「Wide」「Simulated Stereo」の3種類が用意されていて、通常のステレオスピーカーを再現した再生も可能。どの音源もすべて立体的にしてしまう、ということはないのでご安心ください。

 

GetNavi Salonメンバー・くりさんコメント

サラウンドが好きで自分でも取り組んでいますが、サラウンドってどうしても音のクオリティが下がってしまうことが多いんですよね。だから正直にいうと今回そんなに期待していなかったんですが、「OPSODIS 1」はS/Nもすごく良いですし、素音のクオリティが高いのに驚きました。個人的にはもう少し重低音が欲しいので、気が早いですがスピーカー口径の大きな後継機にも期待したいです。

 

 

GetNavi Salonメンバー・つば輔さんコメント

凄い、としか言いようがないですね(笑)。戦争映画を視聴したら、弾が横をすり抜けていって、まるで自分が戦場にいるかのようでした。驚いたのは、聴く位置によって聴こえ方がぜんぜん違ったことです。技術の説明を受けて理解はしたつもりでも、実際にその効果がこれほどあるのかと。購入するかどうか、じっくり考えたいです。

 

とんでもない没入感、OPSODISの世界を体験してほしい

まさに「OPSODIS」の成り立ちがそうであるように、体験することに勝る納得はないでしょう。「OPSODIS 1」は、実際にその音を聴くか聴かないかで、大きく印象が変わる製品だと思います。具体的には、評判以上のサウンドで、“良い方向“に印象が変わるはずです。

 

鹿島建設としても「体験の場を今後増やしていきたい」そう。現在、実機展示が行われているSHIBUYA TSUTAYAおよび蔦屋家電+のほか、大阪、名古屋、広島、福岡、札幌など全国で試聴できるよう準備を進めているとか。

 

最新情報はクラウドファンディングサイトで告知されるそうなので、ぜひ定期的にチェックを。そして、もしお近くで試聴できるようになったら、ぜひ足を運んで「OPSODIS 1」の音を体験してみてください。その没入感の高さに、きっと驚かれることでしょう。

 

立体音響技術「OPSODIS」とは?

この「OPSODIS」について 簡単にいうと、「人が聞いている音をそのまま録音した『バイノーラル音源』をスピーカーで再現する技術」となります。

 

たとえば「良い音の音楽ホールを作りたい」といっても、「良い音」の捉え方は人それぞれ。そのイメージをホールの建設前に共有する必要がありますが、図面の段階でコンピューターシミュレーションを行って出てきた数字やデータでは、その意味がわかる研究者にしか音の想像がつきません。そこで、実際にどのように音が聴こえるのかを再現できるように、英サウサンプトン大学・音響振動研究所と共同開発されたのがOPSODISです。

 

「OPSODIS」は「Optimal Source Distribution Technology(最適音源配置)」という音響理論から命名されていて、次の4つのキーテクノロジーを採用しています。

 

周波数別スピーカー配置:スピーカーユニットを周波数別に配置することで、通常のステレオスピーカーで起こる左右スピーカーの干渉を防ぎ、全周波数にわたって制御パフォーマンスを高めて音質を向上する

 

クロストークキャンセル:左右スピーカーの音を適切にコントロールすることで、左耳には左耳だけに聴かせたい音、右耳には右耳だけに聴かせたい音を届ける技術。従来よりも音のロスを出さず、長時間でも聴き疲れしないサウンドを実現する

 

ステルス・スピーカー:スピーカーの音がリスナーの両耳に届くまでの伝達特性Cを無響室で測定して、その逆関数Hを用いて制御することでスピーカーの存在をステルス化。これにより、前方のスピーカーだけで左右・上下・前後・遠近など360度全方位の音を再現する

 

立体音響データベース:音波と両耳の関係にまつわる膨大かつ精密な実験データを元に、音に含まれる空間情報をスピーカーに付与することで、バイノーラル音源だけでなく、5.1ch音源や22.2ch音源なども立体音響として再現する

 

↑「OPSODIS 1」の筐体。正面に高音部(ツイーター)、その両側に中音部(ミッド)、外側に低音部(ウーファー)を配置

 

GetNavi Salon
トレンド情報誌「GetNavi」やモノ・コト・暮らしのレビューウェブメディア「GetNavi web」から派生したモノ系コミュニティ。
モノを買ったり、所有したりする「喜怒哀楽+得」を、「モノ」や「買い物」を愛するメンバーのみなさんと共有。“贅沢なモノ”ではなく、“贅沢にモノ”と出会い、それを語り合う機会や時間を作り出します。

 

鹿島建設
OPSODIS 1
価格:7万4800円(税込)