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2017/10/25 16:30

人気4モデルを実写比較! 小型高倍率ズームコンデジおすすめ4選【光学30倍以上/300g以下】

近ごろはコンパクトデジカメの高倍率化が進み、ポケットにも収まる薄型ボディながら光学30倍以上のズームレンズ搭載機が増えている。携帯性と高倍率の両立によって、どんな写真が撮れるのか。その画質はどうなのか。前回の外観編に続き、300g以下(本体のみの場合)・光学30倍以上の条件に当てはまる4モデルの比較を、実写を交えてお伝えしよう。

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↑左上から時計回りに、今回レビューしたキヤノンPowerShot SX730 HS、ソニーDSC-HX90V、パナソニックDC-TZ90、ニコンCOOLPIX A900

 

[その1]

トータルバランスが優秀! キヤノン「PowerShot SX730 HS」

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↑キヤノン「PowerShot SX730 HS」。発売は2017年5月。実売参考価格4万5500円(2017年10月執筆時点)。カラーバリエーションは写真の「ホワイト×シルバー」のほか、「ブラック×ダークグレー」が用意されている

 

【レンズ】 

キヤノン「PowerShot SX730 HS」は、1/2.3型有効2030万画素のCMOSセンサーを搭載した光学40倍ズーム機だ。レンズの焦点距離は、35mm判換算で24~960mm相当。最短撮影距離は1cmとなる。

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↑ズームのワイド端(24mm相当)で撮影

 

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↑ズームのテレ端(960mm相当)で撮影

 

【高感度画質】

感度はISO80~3200に対応。ノイズリダクションはやや強めで、ISO80では拡大してもざらつきはほとんど見られない。ISO3200では暗部を中心にノイジーになるが、それでも他機に比べるとノイズは目立たない。

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↑感度ISO80で撮影

 

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↑感度ISO3200で撮影

 

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↑感度ISO80とISO3200を等倍で表示

 

【機能・作例】

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↑ズームのテレ端を使用して、観覧車を真横から撮影。超望遠らしい遠近の圧縮効果によってカラフルなゴンドラの色と形が際立った

 

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↑マクロモードへの切り替えなしで最短1cmまで近寄れるのは便利。しかもAFはスムーズに作動するので、シャッターチャンスを捉えやすい

 

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↑「自分撮り」モードでは、美肌効果によって肌がなめらかに仕上がるほか、自動的に連写と画像合成が行われ、背景部分をふんわりとぼかせる。必要に応じて美肌効果の度合いを調整したり、背景ぼかしのオン/オフを切り替えることも可能だ

 

携帯性重視ならコレ! ソニー「DSC-HX90V」

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↑ソニー「DSC-HX90V」。発売は2015年6月。実売参考価格は5万2820円(2017年10月執筆時点)

 

【レンズ】

ソニー「DSC-HX90V」は、1/2.3型有効1820万画素のCMOSセンサーを搭載した光学30倍ズーム機だ。レンズの焦点距離は、35mm判換算で24~720mm相当。最短撮影距離は5cmとなる。

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↑ズームのワイド端(24mm相当)で撮影

 

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↑ズームのテレ端(720mm相当)で撮影

 

【高感度画質】

感度はISO80~3200に対応。また、連写と合成による「マルチショットNR」を使った場合は、最高でISO12800となる。ここではマルチショットNRは使わず、通常の高感度ノイズリダクション「標準」で撮影。シャープネスはやや強めで、ノイズリダクションは控えめの傾向。そのため、ISO3200ではほかの3台よりも暗部ノイズが目立つ。

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↑感度ISO80で撮影

 

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↑感度ISO3200で撮影

 

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↑感度ISO80とISO3200を等倍で表示

 

【機能・作例】

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↑チルト可動式液晶を生かして、公園のオブジェをローアングルから撮影。RAW撮影には非対応だが、オートからマニュアルまで撮影機能は充実。ホワイトバランスや発色傾向を細かくカスタマイズすることも可能だ

 

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↑最高10コマ/秒を誇る高速連写を使って撮影した1コマ。AFは、ファストインテリジェントAFに対応し、動体に対してもまずまずのスピードで追従できる

 

4K動画も撮れてコスパ抜群! ニコン「COOLPIX A900」

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↑ニコン「COOLPIX A900」。発売は2016年10月。実売参考価格は3万4240円(2017年10月執筆時点)。カラーバリエーションは写真のブラックのほか、シルバーモデルが用意されている

 

【レンズ】

ニコン「COOLPIX A900」は、1/2.3型有効2029万画素のCMOSセンサーを搭載した光学35倍ズーム機だ。レンズの焦点距離は、35mm判換算で24~840mm相当。最短撮影距離は1cmとなる。

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↑ズームのワイド端(24mm相当)で撮影

 

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↑ズームのテレ端(840mm相当)で撮影

 

【高感度画質】

感度はISO80~3200に対応。ノイズリダクションは平均的で、ISO80ではノイズと解像感のバランスが取れた描写になった。ISO3200では暗部を中心にザラザラとした写りになっているが、ノイズの粒が揃っており、汚い印象はない。

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↑感度ISO80で撮影

 

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↑感度ISO3200で撮影

 

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↑感度ISO80とISO3200を等倍で表示

 

【機能・作例】

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↑動物園は、高倍率ズーム機を持っていくと飽きることなく楽しめる場所のひとつ。ズームのテレ端を利用して、カンガルーをクローズアップで撮影。毛並みまでリアルに再現できた

 

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↑比較的求めやすい価格ながら、動画は最大で4K記録に対応。この写真は、カメラ内の静止画キャプチャ機能を使って4K動画から切り出した1コマ。羽を伸ばした瞬間を捉えた

 

豊富な機能とRAW対応で撮影自由度が高い! パナソニック「DC-TZ90」

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↑パナソニック「DC-TZ90」。発売は2017年6月。実売参考価格は5万200円(2017年10月執筆時点)。カラーバリエーションはブラックとシルバーの2色が用意されている

 

【レンズ】

パナソニック「DC-TZ90」は、1/2.3型有効2030万画素のMOSセンサーを搭載した光学30倍ズーム機だ。レンズの焦点距離は、35mm判換算で24~720mm相当。最短撮影距離は3cmとなる。

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↑ズームのワイド端(24mm相当)で撮影

 

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↑ズームのテレ端(720mm相当)で撮影

 

【高感度画質】

感度はISO80~3200のほか、拡張設定としてISO6400が選べる。ノイズリダクションはやや強めの傾向があり、ISO80ではほとんどノイズは見られない。シャープネスも強め。ISO3200ではノイズが増え、シャープネスと解像感が低下する。

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↑感度ISO80で撮影

 

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↑感度ISO3200で撮影

 

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↑感度ISO80とISO3200を等倍で表示

 

【機能・作例】

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↑フォトスタイル機能では、6種類の発色傾向を選べるほか、彩度やコントラストなどを細かくカスタマイズできる。この写真ではコントラストをプラスに調整することで、遠景で生じがちな霞によるメリハリ不足を抑えた

 

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↑1秒間に30コマの高速連写を行い、あとから好きなコマを保存できる4フォトで撮影。このほか、フォーカスセレクトやフォーカス合成、比較明合成など4Kを利用した撮影機能が充実している

 

総評――“画質以外”にも目を向けて検討すべし

今回使った薄型デザインの高倍率ズーム機4モデルは、いずれも1/2.3型センサーを搭載。多くの高級コンパクトデジカメが採用する1型センサーに比べると、約1/4程度しかない小さなセンサーであるため、正直なところ画質にはあまり期待していなかった。しかし実際に撮ってみると、予想以上の写りのよさに驚かされた。どのモデルも、等倍表示にしてアラ探しをしない限り、ウェブ用や小さな印刷用には十分に実用的な画質である。

 

機種ごとの傾向としては、キヤノンPowerShot SX730 HSはノイズリダクションを強めに加えたソフトな仕上がりで、逆にソニーDSC-HX90Vはノイズリダクションを控えめにしたシャープな描写だ。ニコンCOOLPIX A900とパナソニックDC-TZ90は、その中間といった印象を受けた。また、ニコンCOOLPIX A900はレンズの解像力がやや不足気味なものの、価格は最も安い。パナソニックDC-TZ90は唯一のRAW撮影対応なので、画質面での自由度が高いといえる。

 

とはいえ、全般的な画質としては大きな差は感じない。むしろ機能やデザイン、操作性、価格といった画質以外の面を検討し、自分の用途に合ったものを選ぶのが賢明だろう。

 

個人的には、トータルバランス重視ならキヤノンPowerShot SX730 HSを、携帯性重視ならソニーDSC-HX90Vを、価格重視ならニコンCOOLPIX A900を、RAWによる撮影自由度重視ならパナソニックDC-TZ90を選びたい。

 

1台で幅広い焦点距離をカバーする高倍率ズームコンデジは、イベントや旅行でも大活躍するはず。今回紹介したような小型・軽量モデルであれば収納にスペースをとらないので、普段使いのバッグに忍ばせておくのもいいだろう。

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↑左上から時計回りに、今回レビューしたキヤノンPowerShot SX730 HS、ソニーDSC-HX90V、パナソニックDC-TZ90、ニコンCOOLPIX A900