従来、パナソニックのLUMIX(ルミックス)・デジタル一眼は、ハイエンドの「GH」と中・上級機の「GX」、中級機の「G」、入門機の「GF」と4つのシリーズで構成されてきた。このうち現行のハイエンドモデルにあたるのが今春発売の「ルミックス GH5」だ。同機は4K60pで時間制限なく動画が撮れたり、Log記録に対応したりするなど、動画に特化したプロ機として存在感を示している。一方で、写真の愛好家やプロカメラマンからは、もっと写真(静止画)に特化したモデルが欲しいという声が上がっていた。
11月16日に国内発表された「ルミックス G9 Pro」は、そうしたユーザーの声を強く意識したモデルとなっており、今回はモデル名にも「Pro」の称号を与えている。ここでは、同日行われたルミックス G9 Proの発表会の様子を交えつつ、同機の魅力を探ってみたい。
「写真」に特化したもう1つのフラッグシップ機
ルミックスGシリーズは、前モデルとなるG8までは中・初級機といった位置付けで、低価格機ながら高精細なEVFを搭載し、必要十分以上の機能を持つお買い得モデルといった印象であった。しかし今回のG9 Proは、冒頭にも記したように、プロカメラマンやハイアマチュアが使うことを強く意識したモデルとなっている。
また、G9 Proはマイクローフォーサーズ第1号機となるルミックス G1登場から10年目に発売される記念すべきモデル。パナソニック イメージングネットワーク事業部の山根洋介氏も、「ミラーレスカメラ10年の集大成といえるモデルで、写真(静止画)に特化したフラッグシップ機です」と語る。
ルミックス史上最高の写真画質と圧倒的な連写&手ブレ補正
まず画質面では、センサーにローパスフィルターレスの有効2030万画素LiveMosセンサーと最新の画像処理エンジン「ヴィーナスエンジン」の採用などにより、ルミックス史上最高の写真画質を実現。高解像で立体感があり、階調特性や色再現にも優れているという。また、G9 Proでは絵作りに新たな思想を導入し、例えば動物などでは、生きているものの生命力や生命美が感じられる絵作りを目指したそう。また、今後登場する同社の一眼についても、こうした思想を反映させた統一感のあるものになるという。
連写は、AF追従で約20コマ/秒(メカシャッター使用時は約9コマ/秒)で、AF合焦速度も約0.04とトップクラスだ。ミラーレス一眼でポイントとなるEVFも約368万ドットの有機ELで高精細。視野率約100%なのはもちろん、倍率も約0.83倍と広い視野を実現している。手ブレ補正には、ボディ内手ブレ補正が採用され、ボディ単体で約6.5段分、レンズ内手ブレと協調して補正を行う「Dual I.S.2」対応レンズ使用時なら、望遠側でも約6.5段分の補正効果が得られるとしている。
ボディ外装もオールマグネシウム合金製で防塵・防滴仕様。2枚のSDメモリーカードを使用できるダブルスロット(UHS-II対応)も装備され、写真愛好家やプロカメラマンも納得できる仕様となっている。このほか特徴的な機能として、ボディ内手ブレ補正の機構を活用してセンサーを動かしながら8回連続で連写を行って自動合成し、約8000万画素に相当する高解像写真を生成できる「ハイレゾモード」を搭載。約1800万画素で30コマ/秒の連写(動画撮影)を行い、好み位置で写真を切り出せる「6Kフォト」に対応。従来からの「4Kフォト」は、60コマ/秒での撮影が可能だ。
ライカ銘を冠した超望遠単焦点レンズも発表
交換レンズについては、LEICA DG ELMARIT 200mm F2.8 POWER O.I.S.を発表。希望小売価格42万円(税別)で受注生産となる高級レンズだが、35mm判換算で400mm相当・開放F2.8となり、AF駆動にルミックス初となる「スリーマグネットリニアモーター」を採用したことで、AFが高速でスポーツや動物撮影など動きの素早い被写体の撮影にも有利。1.4倍のテレコンバーターが同梱され、560mm相当F4のレンズとしても使用できるほか、別売の2倍テレコンバーター(800mm相当F5.6)の使用も可能だ。
今回の発表会ではG9 Proの実機を試用することができた。ボディの高級感はかなり増しており、外装の質感など、GH5よりも質が高いと感じる部分も多い。シャッターボタンのフィーリングも深すぎず、浅すぎずといった印象で撮影しやすいものであった。4K60pでの動画撮影が10分までという制限があるので、本格的な動画撮影を行うなら制限のないGH5が優れるが、静止画メインで使うならG9 Proのほうが価格面も含めてオススメだ(GH5は参考価格23万6830円)。