電車の中や街中で耳にイヤホンを挿し、音楽を楽しんでいる若者たち--ほとんどの方がスマートフォンを使ってますよね。最近ではハイレゾに対応したスマホも増えてきてはいますが、まだまだMP3などの圧縮音源を聴いている人が多いのではないでしょうか。また、データ容量の大きいハイレゾ音源は、ただでさえストレージが不足しがちなスマホに入れるのは大変ですよね。
そこでオススメしたいのが、”音楽好きな若者にハイレゾ音源を楽しんでほしい”という思いで開発されたDAP(デジタルオーディオプレーヤー)「ACTIVO CT10」です。これは、ハイレゾ音楽配信サイト「groovers Japan」が立ち上げたオーディオブランド「ACTIVO」の第1弾となる小型のハイレゾ対応オーディオプレーヤー。若い世代でも手に入りやすい300ドル前後の価格帯で発売予定のこの製品、お値段はお手ごろでも音質は完全に本格派。なぜなら、高級オーディオブランド「Astell & Kern」によるモジュールが搭載されているからです。
Astell & Kern製モジュール「TERATON」を搭載
ポリカーボネート製のラウンドしたフォルム、コンパクトで軽量なボディとカジュアルな印象を受ける「CT10」ですが、その音質は本気です。実はgroovers Japanと、AK70 MKIIやSP1000といったAstell & Kernブランドを展開するIRIVERとはグループ会社。つまり、Astell & Kernで培われた技術力がCT10にも生かされているのです。
CT10には、Astel l& Kernが開発した「TERATON」が初めて搭載されました。これはクロックジェネレータ、ヘッドホンアンプ、ハイエンドDACを一体型モジュールにしたもので、金属でシールドされているため外来ノイズをしっかりと遮断します。Astell & Kernは今後、パソコン、スマートフォン、カーオーディオ、ホームオーディオなどのメーカーにTERATONを販売する事業展開を予定しています。
TERATONに使われているDACは、シーラス・ロジック製の「CS4398」。Astell & KernのAK70、およびAK70 MKIIにも搭載されているDACです。
クアッドコアでサクサクの操作感
ハイレゾへの一歩を踏み出せない理由として、プレーヤーの”ごつさ”を感じる人が多いようです。しかし、CT10のサイズは幅65.2×高さ93.2×厚さ15.5mm、重さは約112gと非常にコンパクト。気軽にハイレゾ音源を持ち歩くことができます。
イヤホン端子は3.5mmステレオミニ端子によるアンバランス出力のみ。AK70などに搭載されている2.5mmのバランス出力は省かれています。出力レベルは8Ωの場合22mW、16Ωの場合は36mW。SN比は115dBです。側面には再生/停止を行える物理ボタンがあり、バッグやポケットの中に入れたままで操作することができます。
本体の内蔵ストレージは16GB、microSDカードは最大256GBまで利用できます。バッテリー容量は2500mAh。バッテリー持ちを検証してみたところ、ハイレゾ音源の購入、ハイレゾ楽曲の再生などを続けて行った結果、約7時間動作しました。
ハイレゾ音源の対応フォーマットは、PCM 192kHz/24bit、DSD 5.6MHzまで対応しています(DSDは、PCMへリアルタイム変換して再生)。
ディスプレイは3.4型のWVGA。CPUは4コアでサクサク動作します。上下左右からのスワイプでメニューを引き出し、タップで決定する操作は、スマートフォンと同じ感覚で使えます。
ネットワークに繋げるとさらに便利
ワイヤレス通信はWi-FiとBluetooth接続に対応しています。Wi-Fi接続により「groovers Japan」から直接ハイレゾ音源を購入できます。音楽ストリーミングサービス「TIDAL」にも対応していますが、現在のところ国内では利用できません。
また、DLNA Linkにも対応しており、同じWi-Fiに接続しているデバイスと連携することができます。例えば、スマートフォンと接続すると、スマートフォンからCT10の曲を再生したり、停止したりという操作が可能。スマートフォンで別の作業をしているとき、CT10に持ち替えることなくCT10の楽曲を操作できるのです。筆者は「kinsky」アプリを使いましたが、ほかのDLNAアプリだとボリューム調整も可能かもしれません。
DSD対応のポータブルヘッドホンアンプを接続すれば、OTGケーブルを利用してDSDのネイティブ再生も楽しめます。パソコンとの接続でUSB DACとして使用することも可能。
CT10は”若い音楽ファン向け”とされていますが、その音質には妥協がなく、Astell & Kernの音作りのノウハウが生かされたサウンドとなっています。すでにハイレゾ対応のプレーヤーをお持ちの方でも、普段持ちのプレーヤーとして購入を検討してもいいかもしれませんね。
そしてもちろん、これからハイレゾにトライしたい方々にもスマートフォンライクな操作感、モバイル性の高さ、確実に非ハイレゾとは違う臨場感を体感できる点がオススメです。「ポタフェス2017 WINTER」で展示されたようなカラバリの展開も期待したいところですが、現在はまだ未定とのこと。価格も含め、今後も注目のデジタルオーディオプレーヤーです。