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2018/5/22 19:45

“ブレ”を生かしたカッコいい写真が撮れる!! 「NDフィルター」の効果と使い方【いまさら聞けない】

写真を撮るときの失敗で最も多いのが「ブレ」による失敗です。その原因は、光の量が不足していて(つまり暗くて)、被写体や手ブレを止めるだけのシャッター速度にならなかったから……というのがいちばん多いケース。つまり、シャッター速度を速くできれば、ブレによる失敗のほとんどは解消できることになります。その具体的な解決法は、ISO感度(※1)を高くして、絞り(※2)の数値を小さく設定することです。

※1:撮像センサーの、光に対する敏感さの度合い。この数値が高いほど少ない光でも敏感に反応するようになりますが、そのぶんノイズも増えやすくなります
※2:レンズ内を通る光の量を調整するもので、通常、F+数字でその度合いが表されます。この数字が小さいほど、レンズを通る光の量が増え、シャッター速度が速くなります

 

で・す・が、今回は“あえてシャッター速度を遅くして被写体をぶらしてみよう!”というお話。うまくブレを使うと、ちょっと上級者のような写真が撮れますよ! 本稿ではそうした低速シャッターを生かした写真の撮り方や、便利アイテム「NDフィルター」について解説していきます。

 

「NDフィルター」っていったい何? どういうときに使うの?

シャッター速度を遅くするには、ISO感度をできるだけ低くして、絞りの数値をできるだけ大きくするということになります。ただ、明るい晴天時の日中などは光が強いため、ISO感度を下げて絞りを絞ってもシャッター速度がそれほど遅くならないケースも少なくありません。そうしたときに役立つのが、今回紹介する「NDフィルター」です。

↑NDフィルターは黒っぽい光学フィルターで、被写体の色を変化させずに光の量だけを減らすことができます。効果の度合いにより、数種類の濃さの製品が用意されています(写真はND8のフィルター)

 

NDフィルターはNeutral Density Filter(中立の濃度のフィルター)の略で、見た目にはただの黒っぽいフィルターですが、被写体の色に影響を与えずに光の量だけを減らすことができます。使い方は一般的なレンズの保護フィルターなどと同様に、レンズ先端にねじ込んで使用します。

 

NDフィルターは濃度により種類があり、製品のパッケージやフィルター枠に「ND8」や「ND16」といった数値が記されています。この数値は、入ってくる光を何分の1にするかを示しており、例えばND8であれば光を1/8にする効果があり、これをシャッター速度にすると3段分(※3)遅くすることができます。例えば、NDフィルターなしで1/15秒となる場合、ND8を使用すれば1/2秒で撮れるといった具合です。

※3:シャッター速度1段分とは、シャッターを用いて撮像センサーに光を当てる時間を2倍(あるいは1/2倍)にすること、あるいはその数値。例えば、1/30秒から1段明るくすると1/15秒、逆に暗くすると1/60秒となります。ちなみに2段だと4倍、3段だと8倍の露光時間が必要
↑ほとんどのNDフィルターには、上の写真のようにフィルターの枠にND8やND16といった数値が記されていて、光の量を何分の1にできるかがわかるようになっています

 

↑左がND8で右がND32。ND32のほうが濃度が濃くなっていることがわかります。ND8がシャッター速度にしておよそ3段分、ND32がシャッター速度にしておよそ5段分の効果があります

 

このように、NDフィルターは光の量を制限してくれるので、“シャッター速度を遅くしたいのに明るすぎてできない……”という場面で活躍します。あるいは、より遅いシャッター速度を使用できるようになるので、その表現を強調できるという効果もあります。

 

シャッター速度を遅くすると、どんな写真が撮れる?

では、シャッター速度を遅くするとどんな写真が撮れるのでしょうか? 代表的なのが渓流や滝、噴水といった「流れる水」の写真です。例えば噴水は、高速シャッターで撮ると水が玉のようになって写り、シャッター速度が遅くなるとそれがぶれるために水が動いているように写ります。さらに低速のシャッター速度(概ね1/15秒以下)になると、白い糸が流れに沿ってあるかのような写りになります。実際の作例で見ていきましょう。

上の写真はシャッター速度を1/8000秒にして水の動きを止め、下の写真はシャッター速度を8秒にして水を大きくぶらしています。このように、特に水はシャッター速度の違いにより写りが変化し、同じ構図でも写真の印象が劇的に変わります。表現の意図に沿ったシャッター速度を選ぶようにしましょう。

 

続いて、NDフィルターの有無や濃度による違いを見比べてみましょう。

いちばん上の写真は、ISO感度を下げて絞りの数値をできるだけ大きくして撮影。シャッターを1/4秒まで遅くすることができましたが、水の動きが中途半端に止まって写っています。2番目の写真は、同一条件でND8フィルターを使用。シャッター速度は約2秒。かなり水がぶれて、水か流れている様子がわかります。3番目は、ND32を使用。約8秒の露光で水の流れがなだらかに写り、糸が流れているかのような写りになっています。

 

このほか、街や雲などを撮る場合も面白い効果が得られます。街を撮ると、歩いている人やクルマが大きくぶれて、それらの動きが感じられ、その一方で街にある建物などの様子が際立って見えます。雲は動きが遅いので、長時間の露光が必要になりますが、空の雲が増えたかのような写真に仕上がります。

 

ちなみに、日中以外の夕景や夜景では、走るクルマの光跡を撮るといったことが可能です。この場合は、よほど低速で撮影するのでない限りNDフィルターは必要なく、ISO感度と絞りを調節して低速シャッターで撮ることができます。

↑夜の街並みなど、暗い条件ではNDフィルターは必要なく、ISO感度と絞りの調節だけで低速シャッターで撮影できます。上の写真では、感度をISO64に設定して絞りをF14まで絞り、30秒の長時間露光を行いました。それにより、道路を走るクルマのテールライトなどが光跡として写っています

 

同じブレでも大違い!! 失敗写真とカッコイイ写真の差

ブレを使った写真を撮る際に気をつけたいのが、シャッター速度が遅くなったことによる「手ブレ」。“ブレを生かす”といっても、手ブレによって写真全体がぶれてしまっては単なる失敗写真のようになってしまいます。基本的には三脚を使い、動いているものだけをぶらすようにするとよいでしょう。

120㎜相当の望遠でND32フィルターを使用して1/3秒で撮影。上の写真は手持ちで撮ったため、手ブレで水だけでなく岩もぶれてしまいました。三脚を使った下の写真は、水だけがぶれて糸のような流れに写っています。最近のカメラは、手ブレ補正が強化され、手持ちで撮れるシーンも増えましたが、1/15秒以下の低速シャッター撮影や、望遠レンズ使用時などは三脚を使ったほうが安心です。

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