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ヘッドホン
2019/5/3 19:00

ワイヤレスNCヘッドホン「戦国時代」が到来! 王者に挑む挑戦者5モデルをプロがチェック

オーディオのトレンドは、「ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン」と「完全ワイヤレスイヤホン」。新製品が怒濤の勢いで発売されていますが、いずれも「定番」は2年以上前のモデル。これらを超える「新定番」候補はあるのか、プロがチェックします。

 

【チェックする人】

AVライター/野村ケンジさん

現在発売されているヘッドホン&イヤホンのほとんどを試聴済み。的確で丁寧なレビューに定評があります。

 

いまも売れ筋の“ド定番”は開発のベンチマーク的存在

ヘッドホンもイヤホンも、いまやメインストリームはワイヤレス製品。そのなかでも、前者はノイズキャンセリング機能を搭載したモデルが、後者は一切のケーブルを排した耳栓型の完全ワイヤレスタイプが、特に人気を集めています。

 

「ワイヤレスNCヘッドホンなら、ボーズのQuietComfortシリーズ、完全ワイヤレスイヤホンならAppleのAirPodsと、それぞれの“顔”というべき定番モデルが存在します。両者は2016〜17年発売で最新機種ではないものの、いまなおカテゴリ内でトップを争う売れ筋商品として君臨。基本性能が高く、使い勝手にも優れるため、各社が新製品開発においてベンチマークとしているのです」(野村さん)

 

これら“ド定番”モデルの牙城を崩し、カテゴリの新しい顔となる新製品は果たして出てくるのか。プロがシビアにチェックします!

 

NCヘッドホンの定番といえばコレ

ボーズ

QuietComfort 35 wireless headphones Ⅱ

実売価格3万9960円

NCヘッドホンの金字塔・QuietComfortシリーズの最新世代。専用のアプリからNCレベルを3段階で選べます。GoogleアシスタントとAlexaの両方に対応し、音声でも操作可能です。外音取り込み機能は非搭載。

【SPEC】●再生周波数帯域:非公表 ●対応コーデック:AAC、SBC ●インピーダンス:非公表 ●出力音圧レベル:非公表 ●連続再生:最大20時間(NCオン時) ●フル充電時間:非公表(15分の充電で2.5時間使用できる急速充電に対応) ●質量234g

「NC性能に加えて音質もさすがの完成度を誇る」

卓越したNC性能をはじめ、完成度の高さが光ります。パワフルで締まりのある低域と、解像感の高い中高域が特徴の音質も魅力。(野村さん)

 

QuietComfort 35 wireless headphones Ⅱのオススメ度:★★★★★

 

【挑戦者その1】

上位機譲りの量感豊かなサウンド

デノン

AH-GC30

実売価格3万9690円

同社の上級機にのみ使用される「フリーエッジ・ドライバー」を搭載し、量感豊かなサウンドを実現。NCは「飛行機」「シティ」「オフィス」の3モードを備え、環境に合った効果が得られます。人工皮革のイヤパッドは上質で耐久性にも優れています。外音取り込み機能搭載。

【SPEC】●再生周波数帯域:5Hz~50kHz ●対応コーデック:aptX、aptX HD、AAC、SBC ●インピーダンス:16Ω ●出力音圧レベル:98dB/mW ●連続再生:最大20時間(NCオン時) ●フル充電時間:約2時間 ●質量:約287g

↑従来比約2倍の耐久性を備える人工皮革を採用。形状記憶フォームにより最適な装着感を実現します

 

↑ドライバーは、スピーカーと同様のフリーエッジ構造を採用。振動板全域を均一に動かすことで歪みのない音を鳴らします

 

「優しく包まれる装着感とクリアなサウンドが◎」

ふわりと包まれる優しい装着感が◎。クリアで見通しの良い音を楽しめました。個性的でスタイリッシュなデザインも魅力です。(野村さん)

 

AH-GC30のオススメ度:★★★★★

 

【挑戦者その2】

音楽再生や通話をタッチコントロールで直感的に行える

オーディオテクニカ

ATH-ANC900BT

実売価格3万7250円

同社史上「最静寂」を謳うQuietPointシリーズの第1弾モデル。「Airplane」や「Office/Study」など、シーンに合わせたNC効果をアプリから選択できます。直感的に音楽再生や通話が行えるタッチコントロールに対応するのも便利です。

【SPEC】●再生周波数帯域:5Hz~45kHz ●対応コーデック:aptX、AAC、SBC ●インピーダンス:35Ω ●出力音圧レベル:103dB/mW(NCオン時) ●連続再生:最大20時間(NCオン時) ●フル充電時間:約5.5時間(15分の充電で約3時間使用できる急速充電に対応) ●質量:約263g

 

↑ほどよく覆うイヤカップと低反発素材のイヤパッド。合皮製のヘッドバンドは柔らかく肌触りも◎

 

↑高域特性に優れたDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティング振動板を採用。高解像度サウンドを鳴らします

 

「目立った個性はないがハキハキとした音は健在」

良くいえばバランスに優れた、悪くいえば個性が薄い中庸な印象。同社らしいハキハキとしたサウンドは健在です。(野村さん)

 

ATH-ANC900BTのオススメ度:★★★★☆

 

【挑戦者その3】

新開発の高性能プロセッサが最適なNCと高音質を実現

ソニー

WH-1000XM3

実売価格3万8220円

処理能力が従来機の4倍となる新開発プロセッサ「QN1」を搭載し、NC効果と音質が大幅にアップ。装着状態や環境に合わせてNC効果を自動で最適化できるほか、外音取り込みも行えます。ハイレゾ相当のBTコーデックに対応。

【SPEC】●再生周波数帯域:4Hz~40kHz ●対応コーデック:LDAC、aptX HD、aptX、AAC、SBC ●インピーダンス:47Ω ●出力音圧レベル:104.5dB/mW(有線接続・NCオン時) ●連続再生:最大30時間(NCオン時) ●フル充電時間:約3時間 ●質量:約255g

 

↑イヤパッドは低反発ウレタン素材。耳への接地面積が拡大したことで圧力が分散し、長時間使用でも快適に

 

↑新開発プロセッサには高性能なDACとアンプを内蔵。高いNC効果だけでなく、クリアな音質を実現します

 

「驚くほどの多機能でお買い得に感じられる」

NCの多彩さや自在なタッチ操作など、機能性で選ぶならコレ一択。音質も上々で、4万円近い価格でもお買い得と感じます。(野村さん)

 

WH-1000XM3のオススメ度:★★★★★

 

【挑戦者その4】

独自のMLF振動板が解像度の高いサウンドを創出

パナソニック

RP-HD610N

実売価格3万3470円

Googleアシスタントを搭載し、音声操作に対応。超多層フィルム振動板と制振フレームの採用で、広帯域に渡って解像度の高いサウンドを味わえます。NC強度は、外部の騒音状態に合わせて3モードから選択可能です。

【SPEC】●再生周波数帯域:4Hz~40kHz(有線接続時) ●対応コーデック:LDAC、aptX HD、aptX、AAC、SBC ●インピーダンス:38Ω ●連続再生:最大24時間(NCオン時) ●フル充電時間:約4時間(15分の充電で約2時間使用できる急速充電に対応) ●質量:約275g

 

↑ユーザーごとに最適な位置で装着できる「3Dボールジョイント機構」などを搭載。人間工学に基づく設計で、着け心地が良い

 

↑数百にも積まれた玉虫色光沢の超多層フィルム(MLF)振動板を採用。不要な残響がなく、応答性と精細感の高い音を実現します

 

「女性ボーカルなど表現力の高い音は絶品」

アコースティックな楽器の表現力や、女性ボーカルの艶感は絶品。LDACに対応し、有線と遜色のない音です。NCは必要十分。(野村さん)

 

RP-HD610Nのオススメ度:★★★★☆

 

【挑戦者その5】

レトロモダンスタイルのボディに多彩な機能がギッシリ

パイオニア

SE-MS9BN

実売価格2万750円

高級感のあるレトロモダンなデザインが特徴のハイコスパモデル。高音質コーデックaptX HDへの対応や、ハイレゾ再生も行える40mm径ドライバーを採用するなど、音質にも注力しています。Googleアシスタントを搭載。

【SPEC】●再生周波数帯域:5Hz~22kHz(Bluetooth接続時)/5Hz~40kHz(有線接続時)●対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD  ●電池持続時間:約24時間(NC ON時)/約27時間(NC OFF時) ●充電時間:約4時間 ●質量:約300g ●付属品:マイクロUSBケーブル、ヘッドホンコード、キャリングポーチ

 

↑イヤパッドは大きめの設計で、耳をすっぽりと覆います。ヘッドバンドは幅広で、クッションの厚みもあり、フィット感が高い

 

↑左イヤカップにGoogleアシスタントの起動ボタンを備えます。約2万円で音声操作に対応するのはかなりお買い得です

 

「NCの強度は平凡ながら音楽鑑賞にちょうど良い」

この価格帯としては基本性能が優秀で、デザインも上質。NC強度は平凡ながらイヤな耳鳴りがなく、音楽鑑賞には最適です。(野村さん)

 

SE-MS9BNのオススメ度:★★★★☆