オーディオ市場でいま最もホットなカテゴリは、ケーブルレスを実現した「完全ワイヤレスイヤホン」。2019年に入ってからは高性能チップセットを搭載した製品も登場し、接続安定性と音質が従来モデルと比べて格段に高められています。
【私がジャッジします】
AVライター/野村ケンジさん
現在発売されているヘッドホン&イヤホンのほとんどを試聴済み。的確で丁寧なレビューに定評があります。
いまも売れ筋の“ド定番”は開発のベンチマーク的存在
ヘッドホンもイヤホンも、いまやメインストリームはワイヤレス製品。そのなかでも、前者はノイズキャンセリング機能を搭載したモデルが、後者は一切のケーブルを排した耳栓型の完全ワイヤレスタイプが、特に人気を集めています。
「ワイヤレスNCヘッドホンなら、ボーズのQuietComfortシリーズ、完全ワイヤレスイヤホンならAppleのAirPodsと、それぞれの“顔”というべき定番モデルが存在します。両者は2016〜17年発売で最新機種ではないものの、いまなおカテゴリ内でトップを争う売れ筋商品として君臨。基本性能が高く、使い勝手にも優れるため、各社が新製品開発においてベンチマークとしているのです」(野村さん)
これら“ド定番”モデルの牙城を崩し、カテゴリの新しい顔となる新製品は果たして出てくるのか。プロがシビアにジャッジします!
【ド定番はコレ】
iPhoneとの連携が最大に高められたApple純正初のワイヤレスモデル
Apple
AirPods
実売価格1万8140円
耳の下に伸びたようなデザインが特徴の、Apple純正で初となるワイヤレスイヤホン。ケースを開けただけでiPhoneと接続できるなど、使い勝手を高めました。15分の充電で3時間再生できる急速チャージに対応します。
ドライバー型式 | 非公表 |
連続再生 | 最大5時間 |
充電時間 | 非公表 |
質量 | 4g(片側) |
【Impression】量感たっぷりの低域を楽しめる音質もまずまず
iPhoneで聴くなら使い勝手はベストで、低域重視の音質も及第点です。日本人の耳には合いづらく、音漏れする点がマイナス。(野村さん)
最新のチップセットを採用し基本性能が格段にグレードアップ
NUARL
NT01AX
実売価格1万9440円
クアルコム製チップセット「QCC3026」を採用した、同シリーズの最上位モデル。通信性能や音質、スタミナなど、完全ワイヤレスイヤホンの課題とされていた基本性能を克服しました。IPX4相当の防水で、汗や雨にも強い。
ドライバー型式 | ダイナミック型 |
連続再生 | 最大約10時間 |
充電 | 約1.5時間 |
質量 | 約5g(片側) |
【Impression】音質、バッテリー性能で抜群の完成度を誇る
音質良し、音切れなし、バッテリー性能も良しで、文句なしの完成度を誇るモデル。クリアで聴き心地の良いチューニングにも満足です。(野村さん)
「新定番」期待度:★★★★★
フィット感抜群で丸洗いもできるスポーツ向けイヤホン
Jaybird
RUN XT
実売価格2万5790円
IPX7防水で丸洗いに対応し、同梱のイヤチップとイヤフィンを組み合わせて最適なフィット感を得られるスポーツタイプ。従来機から接続安定性が向上しました。ケースを含めて最大12時間の連続再生。
ドライバー型式 | 非公表 |
連続再生 | 4時間以上 |
充電 | 2時間 |
質量 | 6.83g(片側) |
【Impression】音質は好みが分かれるがスポーツユースには◎
スポーツユースとしては抜群の機能性ですが、ドンシャリ系の音質は好みが分かれそう。このサウンドにしては少し高価に感じられるかも。(野村さん)
「新定番」期待度:★★★★☆
一切の物理ボタンを排したスマートなデザインが特徴
Anker
Soundcore Liberty Air
実売価格7999円
厚さ約2.5㎝のスリムなデザインが特徴。イヤホンは物理ボタンを搭載せず、音楽再生/停止などの基本操作や着信応答は、本体をタッチして行います。グラフェンドライバーによる正確でクリアな音も◎。
ドライバー型式 | 非公表 |
連続再生 | 約5時間 |
充電時間 | 非公表 |
質量 | 非公表 |
【Impression】低価格モデルながら音のチューニングは◎
かなりリーズナブルな価格ですが、音のチューニングはしっかりとできています。機能はシンプルながら、入門機としては十分です。(野村さん)
「新定番」期待度:★★★★☆
最新チップの搭載により本体のみで7時間の連続再生
ZERO AUDIO
True Wireless Zero
実売価格1万5270円
「0(ゼロ)」をモチーフとしたコバルトブルーのLEDが特徴。クアルコム製の最新チップ「QCC3026」を搭載し、通信性能や音質、バッテリー性能が飛躍的に向上しました。高音質コーデックのaptXに対応。
ドライバー型式 | ダイナミック型 |
連続再生 | 最大7時間 |
充電時間 | 非公表 |
質量 | 約7.0g(片側) |
【Impression】使い勝手を高める作り込みの良さが魅力
IPX5防水仕様、フィット感を高めるシリコンカバーなど、作り込みの良さが光ります。一方、音質はそこそこで、機能はシンプルでした。(野村さん)
「新定番」期待度:★★★★★
左右イヤホンで音声を受信して環境を問わず快適に通話できる
COWON
CT5
実売価格1万2750円
シックなマットブラックの筐体が特徴。「Airoha」チップを搭載し、音質と接続安定性を高めました。通話時に左右のイヤホンで同時に音声を受信でき、賑やかな環境でも快適に会話できます。IPX4防水対応。
ドライバー型式 | ダイナミック型 |
連続再生 | 約3時間 |
充電 | 約1時間 |
質量 | 4g(片側) |
【Impression】全体に「そこそこ」だが音質にはメリハリがある
目立つポイントはなく、全体に「そこそこ良い」という評価。メリハリの効いた音質が特徴で、小編成のクラシックなどが向きます。(野村さん)
「新定番」期待度:★★★★☆
独自の機構と防水仕様によりスポーツシーンで快適に使える
ボーズ
SoundSport Free wireless headphones
実売価格2万5920円
円錐形のノズルを採用したStayHear+Sportチップや独自のウイング構造により、安定した装着感を実現。雨や汗にも強くスポーツ時の使用に最適です。明瞭でパワフルかつバランスの取れた音も魅力。
ドライバー型式 | 非公表 |
連続再生 | 最大5時間 |
充電 | 2時間 |
質量 | 18g(ペア) |
【Impression】ハウジングが巨大なため事前に装着感の確認を
接続安定性と、スポーツ向け機能の充実度では随一。ただし、筐体が超大型のため、耳にフィットしないという人もかなり多いでしょう。(野村さん)
「新定番」期待度:★★★★★
鮮度の高い音を楽しめるゼンハイザー初の完全ワイヤレス
ゼンハイザー
MOMENTUM True Wireless
実売価格3万8540円
同社初の完全ワイヤレスイヤホン。低遅延なaptX Low Latencyなどのコーデックに対応し、Bluetoothと思えないほど鮮度の高い音を鳴らします。タッチリモコンや外音取り込みなどの先進機能も装備。
ドライバー型式 | 非公表 |
連続再生 | 4時間 |
充電時間 | 非公表 |
質量 | 約13.2g(片側) |
【Impression】 ゼンハイザーならではの音質に仕上がっている!
ソリッドで見通しの良いMOMENTUMシリーズならではの音に仕上がっているのはさすが。専用アプリによる操作性も良好でした。(野村さん)
「新定番」期待度:★★★★★
独自の機構により装着感と音質を向上させた
パイオニア
E8 trulywireless SE-E8TW
実売価格1万3910円
装着の安定性を高めるセキュアイヤーフィンや、外音を適度に取り込める「アンビエント・アウェアネス・イヤーチップ」を採用し、スポーツユースに最適。独自のノズル構造によるパワフルな音も魅力です。
ドライバー型式 | ダイナミック型 |
連続再生 | 最大3時間 |
充電 | 約1時間 |
質量 | 約12g(ペア) |
【Impression】 実用性の高い設計だが音質は好みが分かれる
激しい動きをしても滑り落ちにくく、安全性にも配慮した設計で、実用性はかなり高いです。音質はいわゆるドンシャリのチューニング。(野村さん)
「新定番」期待度:★★★★☆