4K放送がスタートして、これまでテレビをしばらく買い替えてこなかったという人のなかでも、興味を持った人はいるのではないでしょうか。今回は、映像にこだわりたいという人に向けて、ハイエンドモデルの4Kテレビをガイド。各社が最高峰の技術を結集して画質と音質を追求。機能や装備の充実より、いかにコンテンツを上質に楽しめるかを主眼に置いています。
【採点する人】
AVライター/鳥居一豊さん
エントリーからハイエンドまで、オーディオ・ビジュアル製品を幅広くカバー。東芝の4K有機ELテレビを愛用中。
GetNavi編集部/川内一史
三菱電機のフルHD液晶テレビを愛用。次の買い替えで4Kデビューを目論んでいます。放送だけでなくネット動画もよく見ます。
嗜好や視聴スタイルによって買うべき4Kテレビは異なる
地デジ放送への完全移行から8年近くが経ち、来年には世界的スポーツイベントを控えていることもあり、4Kテレビの普及が加速しています。各社の最新モデルは、昨年12月にスタートしたBS/CS4K放送用チューナーを内蔵。加えて、4Kコンテンツを含む多彩なネット動画を楽しめる配信サービスにも数多く対応しています。画質や音質といったテレビの基本性能はもちろん、操作性や番組のオススメ機能なども成熟しているうえ、価格も1〜2年前と比べて全体にかなりリーズナブルとなりました。まさに、いまが買いどきといえます。
「4Kテレビの買い替えを検討している人は、大きく3つのクラスタに分けられます。とりあえず4Kコンテンツを視聴できればOKという『エントリー』層。リビング用のテレビとして、ある程度の大画面と使い勝手の両立を求める『ミドル』層。最高峰の画質と音質で、映画や音楽ライブなどのコンテンツを満喫したい『ハイエンド』層です。それぞれで予算や重視するポイントがまったく異なるため、『ベストバイ』モデルも変わってくるのです」(鳥居さん)
■4Kテレビのハイエンドクラス→50型~/実売価格50万円以上
→最高峰の画質と音質で映画などを満喫したい人
→広いリビングやシアタールームに置いて視聴する人
→今後も長く愛用することを想定している人
【その1】
圧倒的な映像美を存分に味わえる唯一の8Kチューナー内蔵モデル
シャープ
AQUOS 8K 8T-C70AX1(70型)
実売価格102万3840円
現行では国内唯一の8Kチューナー搭載機。独自開発の「AQUOS 8K Smart Engine PRO」と「8K倍速液晶」により、膨大な情報量を高速に処理して圧倒的な高画質で描写します。AIサービス「COCORO VISION」も装備。
【SPEC】●画面サイズラインナップ:80、70、60型 ●バックライト方式:エッジ型LED ●パネル:VAパネル ●チューナー:BS 8K×1、BS/CS 4K×2、地デジ/BS/110度CS×3 ●音声実用最大出力:70W ●接続端子:HDMI入力×5、USB×3、LAN×1ほか ●サイズ/質量:W1562×H993×D440mm/約51.0kg
【レビューコメント】
6基のスピーカーで8Kの圧倒的映像に相応しいサウンド(鳥居さん)
4Kを凌駕する圧倒的臨場感を味わえる8K放送の映像は一見の価値あり。2Way+ダブルウーファーで計6基のスピーカーユニットを内蔵し、映像に相応しい上質かつ大迫力の音です。
まるで3Dのような立体感に感動!オススメは壁掛け(川内)
3Dのような立体感のある映像で、まるで目の前にもうひとつの現実があるかのよう。画面がかなり大きいうえ、大容量のスピーカーボックスにより重いため、壁掛け設置がオススメです。
AQUOS 8K 8T-C70AX1のオススメ度:★★★★★
【その2】
新エンジン&独自スピーカーシステムで画質も音質も大幅にブラッシュアップ
ソニー
ブラビア KJ-65A9F(65型)
実売価格64万7870円
フォトスタンドのようなスタイルがユニークな有機ELモデル。新エンジン「X1 Ultimate」を搭載し、従来機から画質が大幅に向上しました。画面から音が出る独自のスピーカーシステムは3.1ch構成となり、サウンドの表現力も高められています。4Kチューナー非搭載。
【SPEC】●画面サイズラインナップ:65、55型 ●パネル:有機EL ●チューナー:地デジ/BS/110度CS×2 ●音声実用最大出力:98W ●接続端子:HDMI入力×4、USB×3、LAN×1ほか ●サイズ/質量:W1449×H832×D320mm/35.6kg
【レビューコメント】
地デジ映像のアップコン画質は驚異的な美しさ(鳥居さん)
「X1 Ultimate」の優れた実力は、地デジ放送視聴時の高精細さで実感できます。スピーカーもより自然で力強い再現が可能になりました。4Kチューナー非搭載なのが唯一惜しいところ。
画面全体から音が出る感覚はまるで映画館のよう(川内)
鮮やかな画質に、大画面から音が出る独自の音響システムも相まって、まるで劇場で映画を見ているような迫力。ネット動画サービスや音声操作を快適に利用できるリモコンも秀逸です。
ブラビア KJ-65A9Fのオススメ度:★★★★★
【その3】
あらゆる4Kコンテンツを高画質化! 地デジ6chの全録機能も大きな魅力
東芝
レグザ 65X920(65型)
実売価格58万8470円
現行の有機ELテレビで唯一4Kチューナーを搭載。4K放送をはじめ、あらゆる4Kコンテンツを高精細な映像で描写します。地デジ放送6chを全録できる「タイムシフトマシン」を備えるなど、使い勝手の良さも魅力。
SPEC●画面サイズラインナップ:65、55型●パネル:有機EL ●チューナー:BS/CS 4K×1、地デジ×9、BS/110度CS×3●音声実用最大出力:46W●接続端子:HDMI入力×4、USB×4、LAN×1ほか●サイズ/質量:W1446×H846×D267mm/46.5kg
【レビューコメント】
超解像技術で4Kコンテンツをさらに高精細に!(鳥居さん)
同社自慢の高画質技術を磨き上げ、特にネイティブ4Kコンテンツの精細さは随一です。全録機能を搭載するのも魅力。スピーカーは下向き配置で、音質は他モデルと比較すると劣ります。
55V型モデルなら約35万円で買えてお買い得!(川内)
有機ELにして、4Kチューナー搭載&全録対応というフルスペックモデル。55V型なら35万円前後なので、4Kビギナーでも手が届きそうです。ノイズの少ない映像も好みでした。
レグザ 65X920のオススメ度:★★★★☆
【その4】
テクニクス監修のスタンドスピーカーが上質かつパワフルな音を鳴らす
パナソニック
ビエラ TH-65FZ1000(65型)
実売価格53万9870円
スタンド部にテクニクス監修の高音質スピーカーシステムを搭載。大容量化により、クリアで上質かつパワフルなサウンドを実現しています。画質面では、暗部と明部の階調性がさらに高められ、忠実感の高い色再現が魅力です。4Kチューナー非搭載。
【SPEC】●画面サイズラインナップ:65、55型 ●パネル:有機EL ●チューナー:地デジ/BS/110度CS×3 ●音声実用最大出力:80W ●接続端子:HDMI入力×4、USB×3、LAN×1ほか ●サイズ/質量:W1449×H909×D330mm/約36.0kg
【レビューコメント】
上質なサウンドが色彩豊かな画質にマッチする(鳥居さん)
従来モデルと同じスタンド内蔵スタイルのスピーカーは、システムを全面的に改良。音の広がりや定位感など、クオリティが格段に高められています。色彩豊かな画質も魅力十分です。
暗いシーンでの階調感が高く映像に没入できる(川内)
プラズマテレビを彷彿させる高いコントラスト感は、特に暗いシーンで顕著に。映像の世界に引き込まれます。大画面&大型スピーカー搭載でも軽量化を実現し、設置が楽なのも◎。
ビエラ TH-65FZ1000のオススメ度:★★★★☆
視野角の狭さを劇的に改善した液晶ブラビアの最上位モデル
ソニー
ブラビア KJ-65Z9F(65型)
実売価格53万4410円
同社液晶テレビの最上位機。独自の「X-Wide Angle」技術で、VAパネルの課題である視野角の狭さを劇的に改善しました。有機ELモデルと同じ高画質エンジン「X1 Ultimate」を搭載し、高精細かつ低ノイズの映像に。4Kチューナー非搭載。
【SPEC】●画面サイズラインナップ:75、65型●バックライト方式:直下型LED●パネル:VAパネル●チューナー:地デジ/BS/110度CS×2●音声実用最大出力:20W●接続端子:HDMI入力×4、USB×3、LAN×1ほか●サイズ/質量:W1453×H906×D314mm/29.5kg
【レビューコメント】
液晶テレビの画質を進歩させた功績は偉大!(鳥居さん)
視野角の改善をはじめ、残像感の低減、暗部再現性など、液晶の画質を大きく進歩させた功績は偉大。有機ELとはひと味違う画ですが、非常に優秀です。スピーカー性能が平凡なのは惜しいところ。
鮮やかで立体的な画質は他モデルと一線を画す仕上がり(川内)
他の液晶テレビとは一線を画す、鮮やかで立体感のある画質は感動的。ラインナップは65V型以上の大画面モデルのみなので、設置場所のスペースは事前に確認しておく必要があります。