のっけからこんなことを書くと、富士フイルムの怒りを買いそうだが、チェキ(正式名は「チェキ instax mini」シリーズ)の主な活躍の場は結婚式だ。結婚式といってもほとんどが2次会。受付で幹事に撮影してもらいメッセージを書き入れて、2次会中盤のプレゼントタイムで新郎新婦がボックスから引いて――結婚式以外では、相当気合いを入れたホームパーティぐらいだろう。
でも、それもこれまで。
5月20日に富士フイルムから発売された「写真のない図鑑」(実売価格2300円)の登場によって、チェキの使用シーンは大きく変わるはずだ。今回は、娘(9歳)と一緒にチェキを片手に「写真のない図鑑」を堪能してきたのでレポートしよう。
「写真のない図鑑」は、その名の通り、最初はまったく写真が入ってない図鑑。16のテーマに沿って、自分で写真を撮って完成させていく。
テーマは上で挙げた「ブランコ」「すべりだい」「はな」「むし」「あおぞら」「ゆうやけ」のほか、「いぬ」「ねこ」「くるま」「でんしゃ」など全16個。被写体が名詞の場合もあれば、「きれい」「かっこいい」といった漠然としたものも用意されている。
早速、娘に持たせると、夢中で撮影しては図鑑にセットしていく。冒険感覚&ゲーム感覚で楽しめるからだろう。とても楽しそうだ。写真は図鑑の上部に入れられる形状になっており、撮ったその場で収納可能。このあたりはチェキのインスタント性を最大限に生かした作りだ。
16コ目のテーマ「きみ」がそれだけで泣ける
この図鑑、こういった形で基本的には親子で楽しめる仕組みになっている(もちろん、親子じゃなくても全然楽しめる。カップルのデートに利用するのも最高にオススメだ)。15コ目までは子どもがカメラマンとなり、様々な被写体を撮っていくのだが、16コ目、最後のテーマは「きみ」。つまり、子ども自身が被写体になるのだ。
これまで真剣なまなざしで街中の色々なものを探していた娘が、撮られる側になると急変。はにかんだような、恥ずかしそうな表情に。いつもはキメ顔バッチリで写真に写るくせに、なぜか「きみ」のときだけは、いつも見せないよう新鮮な顔になった。
図鑑に載った娘の表情を見るだけでなんか泣けてくる。典型的な親バカだか、本当なのだから仕方ない。恐るべし「写真のない図鑑」。そして、ありがとうチェキ。冒頭の「結婚式専用機」だなんて決して言わない。
完成したあとは会話が広がる
もうひとつ、この「写真のない図鑑」の素晴らしいところがある。完成後に、ときには撮りながら、子ども自身が「なぜ、この写真を撮ったのか?」「どういう場面でこの写真を撮ったのか?」をウキウキと話してくれる。会話が生まれるのだ。撮影した日の夕食の食卓の場は、今日のあったことや、そのとき思ったことを振り返れて、なんとも素晴らしい時間。なんて教育的にいいんだ!
3DSやYouTuber、マイクラばかりで手を焼いている親御さん、チェキと「写真のない図鑑」を子どもに持たせて、街を歩いてみてはいかがでしょう?
※:本製品内にも注釈があるが、この製品は写真を撮るのに夢中になるので、常に子どものそばにいてあげるのがベター。もしくは、クルマの往来のない広い公園で使用してほしい
【URL】
写真のない図鑑 http://instax.jp/mini70/zukan/