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2019/12/31 19:30

2019年、オーディオライターが選んだ4つのベストプロダクトは?

2019年は元号が令和に変わったり、大きな出来事が色々とあったような気がしますが、齢も40を過ぎてからはよっぽどの事がない限りはあまり“感動”を覚えなくなったように思います。もしかするとそれぞれの瞬間に心はちゃんと動いているのに、後から思い出せなくなっているのかもしれません。自戒も込めてライターの山本が2019年に出会って「感動した製品」を、忘れないうちに皆様にお伝えしたいと思います。

 

【その1】ボーズ/Bose Noise Cancelling Headphones 700

↑ボーズのノイキャンヘッドホンの新基準「Bose Noise Cancelling Headphones 700」。限定色のソープストーン(左)と、Apple専売モデルはグレーベージュな色合い(右)

 

どこの・どんな製品かが名前にすべて書いてある“ボーズのノイズキャンセリングヘッドホン”を最初に挙げたいと思います。

 

ボーズのノイズキャンセリングヘッドホンといえば「QuietComfortシリーズ」があまりにも有名です。人気のQCシリーズがありながら、5月末にアメリカから本機が電撃発表された時には、私も含めて多くのボーズファンが衝撃を受けたはずです。「みんなのQCシリーズはどうなっちゃうんだろう?」「デザイン、かっこ悪くね?」といった感じに、新製品をやや敵視するようなコメントも周囲に散見される中、9月に発売された本機の出来映えはあまりにも“期待以上”でした。

 

NCH700のサウンドはQC35-IIよりも全体にバランスが良くなって、特にミドルレンジの見晴らしが向上しているように思います。QC35-IIは低音のバランスがやや太めに感じられていたので、飛行機の中で長時間使っても疲れにくいNCH700のサウンドは好感が持てます。

 

外音取り込みを1〜10まで1段階ずつ選ぶことができて、さらに任意の3段階をプリセットして本体のボタンから素速く切り換えられる機能が便利です。先行発売のトリプルブラックとラックスシルバーの2色に加えて、限定色のソープストーンと、Apple限定の充電ケース付きモデルも登場しました。2019年は“ボーズのノイズキャンセリングヘッドホン”の新しいリファレンスが誕生した年になりました。QC35-IIも販売が継続されるようでひと安心です。

↑Apple専売モデルは充電ケース付き。バッテリーが切れてきたらケースに入れたままヘッドホンの充電ができるので便利です

 

【その2】フォステクス/TM2

↑フォステクスのリケーブルに対応した完全ワイヤレスイヤホン「TM2」。カスタムIEMも完全ワイヤレス化ができます

 

2019年は完全ワイヤレスイヤホンの人気が定着しました。特に1万円から1.5万円台の製品が充実してきたことで、街中で完全ワイヤレスイヤホンを身に着けて音楽を聴いている人の姿をよく見かけます。

 

完全ワイヤレスイヤホンは便利だけれど、ケーブルを交換して好みの音を探求したり、ユーザーがカスタマイズできる余地が少ないことが物足りなく感じていた2019年の初夏に、イヤホンマニアの熱い願いを背負ってこのTM2が生まれました。

 

特徴をひと言で説明すると、リケーブルできる様々なイヤホンを“完全ワイヤレス化”できるところです。詳細については以前にレビューしていますが、「フレキシブル・ショート・ケーブル」と呼ばれるパーツを根こそぎ交換すると、MMCXから2ピン、A2DCまで様々なタイプのコネクタを搭載するイヤホンをアダプターに装着できます。

 

本体に内蔵するマイクで外音を取り込める機能もあるので、究極に遮音性を高めたカスタムIEMを装着したまま、外の音が聞けるという不思議な芸当も可能です。余談ですが、先日テレビでフィギュアスケート・グランプリファイナル2019の放送を見ていたら、羽生結弦選手がウォーミングアップの時にTM2を身に着けていました。さすがですね、わかっていらっしゃる。

 

【その3】アップル/iPhone 11 Pro

↑トリプルレンズカメラになったiPhone 11 Pro

 

私の好きなドラマ「相棒」のテレビシリーズはシーズン18に突入しましたが、アップルのiPhoneもいよいよ11です。私は“Pro”のミッドナイトグリーンを購入しました。

 

スマホのカメラは年々高機能化しているので、2017年発売のiPhone Xから買い換えた私が、マルチレンズユニットを搭載するiPhone 11 Proを使いこなせるのかしらと最初は不安でした。でも実際にはまったくもって心配無用。直感的に扱えるカメラアプリのユーザーインターフェースは本当によくできているので、望遠・標準・広角レンズを素速く切り換えながら狙い通りの写真や動画が素速く撮れます。取材で訪問した先の建物やイベント会場の全景がiPhoneの広角レンズで手軽に押さえられるので、仕事でもバリバリ活躍しています。

 

オーディオ的にはiPhone 11 Proの新しい“相棒”となる完全ワイヤレスイヤホン「AirPods Pro」も登場しました。アクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載する完全ワイヤレスイヤホンはソニーの「WF-1000XM3」が最大のライバルですが、2020年は各社が新製品を発表して賑やかになりそうです。

↑AirPods Proも発売されて、ますますiPhoneで音楽を聴く機会が増えました

 

【その4】アマゾン/Echo Studio

↑音質充実の“キング・オブ・Echo”「Echo Studio」で、キング・オブ・ポップのAmazon Music HDで配信されているハイレゾ版を再生。最も手軽にハイレゾが楽しめる組み合わせのひとつです

 

ハイレゾやソニーの技術をベースにした3Dミュージック、Dolby Atmos再生にも対応する、キング・オブ・Echoシリーズと呼ぶべきスマートスピーカーがアマゾンから誕生しました。2019年を締めくくる製品らしい貫禄のたたずまい。サウンドも高解像、かつパワフルです。

 

アマゾンのハイレゾ音楽配信「Amazon Music HD」は多くの音楽ファンとハイレゾ音源を結ぶ新たな架け橋になりそうな期待のサービスです。私も気になってはいたけど、ダウンロードして購入するまでの勇気を持てなかった“あいみょん”や“海援隊”のULTRA HD版を楽しく聴いています。

 

3Dミュージックはハイレゾに続く“いい音体験”の新しい柱として、2020年以降の成長が期待できそうなコンテンツです。ただ、私はこれがホームリスニングよりもヘッドホンやイヤホンによるポータブルリスニングの方でブレイクするのではないかと期待しています。2020年は完全ワイヤレスイヤホンの「Echo Buds」を皮切りに、アマゾンからポータブルオーディオの新製品も続々と発表されるのではないでしょうか。オーディオブランドとしてのアマゾンの躍進にも注目です。