2020年の一大イベントといえば、東京五輪。世紀のイベントを自宅に8K/4Kテレビを導入して見たいと考えている方も少なくないと思います。今年は1月10日まで米国ラスベガスで開催されたCESで8K/4Kテレビに関連するいくつかの注目すべき発表がありました。ソニー、パナソニックの新しいテレビの情報を中心にレポートします。
ソニーのクルマは「360 Reality Audio」のサウンドがすごかった
今年ソニーがCESに出展した製品や技術のなかでも、やはり圧倒的に注目を集めたのは安心・安全な自動運転技術が成熟する時代に向けて、ソニーが得意とするセンサーやオーディオ・ビジュアルのノウハウを詰め込んだ自動運転カーのプラットフォーム「VISION-S」のコンセプトカーでした。
実際に走行デモンストレーションを行っていたわけではなかったものの、中に乗り込んでソニーの立体音響技術「360 Reality Audio」の音を体験することが可能でした。運転席に座りながら、360度方向から音が迫り来るような臨場感はホームシアターも顔負け。筆者はどちらかといえばハンドルを握って運転できる車の方が好きですが、車内空間でも映画や音楽に深く没入できる日が来るのであれば、自動運転車も悪くないと思いを改めました。
8K/HDR対応・液晶ブラビアのラインナップが広がる
ソニーが展示したコンセプトカーは少し先の未来に実現しそうなテクノロジーですが、今年北米で発売を予定するテレビ“BRAVIA”シリーズの新製品もしっかりと発表されています。
8K液晶テレビの「Z8H」シリーズには、2019年発売の最上位モデル“MASTERシリーズ”「Z9G」の高画質技術が継承されています。Z9Gはラインナップに残しつつ、8K/HDRテレビのラインナップを拡大するために展開される新製品で、サイズは88インチと75インチの2種類。北米での発売時期と価格も未定としてアナウンスされています。
フラグシップのZ9Gシリーズよりもデザインはスリムになりました。ソニーの担当者は8Kテレビのユーザー層拡大を狙ったモデルとして本機の位置づけを説明しています。
高画質プロセッサーにはZ9Gにも搭載されている「X1 Ultimate」を搭載。あらゆる映像ソースを8K画質にアップコンバートする「8K X-Reality Pro」が搭載されていることから、8K放送がまだ始まっていない北米でもZ9Gシリーズは好評なのだとか。もともと大きなテレビをリビングに置くことに抵抗感のないアメリカの家庭では、Z8Hシリーズが加わってまだまだ8Kテレビの普及が広がりそうです。
ディスプレイは狭額縁デザインのフレームに小さな振動素子を埋め込んで、フレームを振動させて音を鳴らす「フレーム トゥイター」という新技術が搭載されました。力強くタイトな低音はフレームの下側に配置するフルレンジスピーカーで再現します。防音設計を施したCESの特設ブースでZH8のサウンドを聴くこともできましたが、音場がとても広く、クリアでキレのある人の声は輪郭がとても鮮やかで聞きやすく感じました。高精細な8K映像とともに視聴者を画面の向こう側に引きずり込んでしまいそうなリアリティです。
Z8Hはエリア駆動に対応する直下型LEDバックライトを搭載。テレビを置いた部屋の明るさに合わせてバックライトの明暗を自動制御する「アンビエント オプティマイゼーション」の機能により、明るめの室内環境でも見やすいHDR映像を画面に再現します。
ソニーの8Kテレビは北米や中国では販売されていますが、日本市場への投入はZ9Gシリーズの発表以来、現在まで「検討中」のステータスが続いています。Z8Hシリーズの日本発売についても、ソニーは引き続き検討していくという発表にとどめています。日本では現在シャープとLGエレクトロニクスから8Kテレビが発売されており、世界各国に先駆けて8K放送もスタートしているので、ぜひZ8Hシリーズの中でも比較的設置がしやすそうな75インチのモデルから発売する英断をソニーに期待したいところ。
CESでは日本でテレビを展開しているハイセンスやTCLも8Kテレビの新製品を発表していました。シャープとLGに続く8Kテレビのブランドはどこか。そして8Kテレビのユーザーが考える“妥当な価格ゾーン”はどの辺りに定まっていくのでしょうか。