今冬の家電市場では、例年以上に魅力的な新製品が続々と登場している。ここでは、なかでも注目を集めるジャンルを取り上げて、価格帯別にトレンドと“買い”のポイントを解説。さらに、各価格帯でプロが認めたイチオシのアイテムも紹介していく。今回取り上げるのは、4Kテレビ。今冬の4Kテレビは、東京五輪に向けて発売された各社の自信作がズラリと揃う。なかでも55V型クラスは価格帯が10万円以下から25万円以上まで幅広く、選択肢が多い。そのなかで特に優れたモデルを識者がセレクトした。
※こちらは「GetNavi」 2021年1月号に掲載された記事を再編集したものです。
★最新4Kテレビ、“買い”のポイント
・4Kチューナーを2基内蔵し、4K放送番組の裏録に対応する
・多くのネット動画配信サービスで4Kコンテンツを視聴できる
・最新HDR方式をサポートし、より高画質な映像を楽しめる
私たちが解説します!
長期に渡り愛用するなら各社の旗艦モデルが狙い目
例年、テレビの冬モデルはボーナス期に合わせて各社が自信作を投入してくる。コロナ禍とはいえ、今季も4Kテレビ市場は十分に活気づいているようだ。
「2020年は、コロナ禍の影響で予定されていた東京五輪が延期に。しかし、各社は大会に照準を合わせて、入門機から上位モデルまで渾身の逸品を準備してきました。そのため、今季は例年以上の豊作と言えます」(藤原)
多士済々の4Kテレビだが、ベストの一台を選ぶにはどこに着目すれば良いのだろうか。
「かつて“高嶺の花”だった高画質な有機ELテレビの価格がこなれてきました。『松』クラスは各社の旗艦モデルとなるため音質や機能性も最高峰で、長く使えます。ミドルクラス以下の液晶を狙うなら、ネット機能の充実度は重視したい。対応するVODの数はもちろん、音声検索の精度も、ストレスなく使うためには大事です」(川内)
【《松》クラス】予算額25万円以上
各社4K有機ELのハイエンドモデルが並ぶ価格帯。いずれも、独自構造のディスプレイや高画質エンジンをだけでなく、高音質なスピーカーシステムなどを搭載し、高品位な“画”と“音”を存分に楽しめる。
【No.1】独自の有機ELディスプレイを採用し圧倒的な映像美を実現
パナソニック
ビエラ TH-55HZ2000
実売価格36万4820円
自社設計・組立の「Dynamic ハイコントラスト 有機ELディスプレイ」を搭載したハイエンドモデル。高級オーディオを手掛ける同社のテクニクスチームがチューニングしたテレビ一体型のイネーブルドスピーカーを備え、映画館のような立体音響を再現する。
SPEC ●画面サイズラインナップ:65V/55V型 ●チューナー:BS 4K/110度CS 4K×2、地デジ/BS/110度CS×3 ●接続端子:HDMI×4、USB×3ほか ●サイズ/質量:W1225×H789×D350mm/約34kg
4Kチューナー | 2基 |
4K VOD | 6サービス |
HDRフォーマット | 4方式(※) |
音声最大出力 | 140W |
※:静止画フォーマットを除く
<クロスレビュー!>
映像の総合的な表現力はライバル機を圧倒
「ダイナミックレンジの広さが圧巻で、各部分の情報が浮き上がり、全体の階調描写が豊か。黒のなかのディテール描写が意欲的でハイライトの色付きも絶妙です。総合的な表現力は随一」(藤原)
映画館クオリティの迫力サウンドを堪能
「テクニクスが手掛けたオーディオシステムの品質がスゴい。厚みのあるサウンドに加えて、音の出ている位置がはっきりとわかるので臨場感が段違い。まさにシアタークオリティです!」(川内)
【No.2】ネイティブ4Kはもちろん地デジ放送も高画質で楽しめる
東芝
レグザ 55X9400
実売価格30万8000円
全録機能「タイムシフトマシン」を搭載した有機EL旗艦モデル。独自開発の高画質エンジンにより、4K映像だけでなく、地デジ放送やネット動画などを美しく描く。最大出力142Wのパワーアンプを採用したオーディオシステムによる迫力の音声も魅力。
SPEC ●画面サイズラインナップ:77V/65V/55V/48V型 ●チューナー:BS 4K/110度CS 4K×2、地デジ×9、BS/110度CS×3 ●接続端子:HDMI×7ほか ●サイズ/質量:W1234×H738×D279mm/32.5kg
4Kチューナー | 2基 |
4K VOD | 5サービス |
HDRフォーマット | 4方式 |
音声最大出力 | 142W |
<クロスレビュー!>
4Kアップコンが秀逸でスポーツ中継は大迫力
「地デジやBSの4Kアップコンバートでも、ネイティブ4Kに迫る精細感あふれる映像を描きます。スポーツ中継は全体にフォーカスが合い、輪郭が細く鮮度が高い。実際に観客席にいるようです」(藤原)
未知の番組と出会える「みるコレ」機能が魅力
「『みるコレ』はまだ見ぬコンテンツとの出会いがあり、テレビフリークにオススメの機能。『タイムシフトマシン』による全録機能は唯一無二の魅力ですが、地デジ番組のみ対応なのは少々残念」(川内)
【No.3】映像とサウンドが一体となった新しい視聴体験を与えてくれる
ソニー
ブラビア KJ-55A8H
実売価格26万4000円
パネル自体を振動させて音を出す独自の技術「アコースティック サーフェス オーディオ」を採用。倍速駆動対応の有機ELパネルと高画質プロセッサーにより、あらゆるコンテンツを美しく鮮明な映像で描写する。画と音の一体感を楽しめる一台だ。
SPEC ●画面サイズラインナップ:65V/55V型 ●チューナー:BS 4K/110度CS 4K×2、地デジ/BS/110度CS×2 ●接続端子:HDMI×4、USB×3ほか ●サイズ/質量:W1227×H733×D326mm/18.6kg
4Kチューナー | 2基 |
4K VOD | 6サービス |
HDRフォーマット | 3方式 |
音声最大出力 | 30W |
<クロスレビュー!>
“化粧”の上手さはソニーならでは
「黒を引き締めて白を伸ばすという、ハイコントラストな画作り。色も細部までしっかりと乗せています。色調の歪みは少なく、ノイズも少なめ。やや“厚化粧”ですが、映える映像です」(藤原)
Android TV採用でネット利用が快適
「OSにはAndroid TVを採用し、ネット動画の視聴が快適。Googleアシスタントによるリモコンの音声検索は精度が高く、豊富なコンテンツをストレスなく楽しめるのがうれしいですね」(川内)
【《竹》クラス】予算額15万円〜25万円
有機ELのエントリークラスと液晶のハイエンドクラスが入り交じる価格帯。画質なら有機ELに分があるが、充実した機能や装備を求めるなら液晶がオススメだ。
【No.1】斜めから見ても高画質で楽しめる
ソニー
ブラビアKJ-55X9500H
実売価格22万円
部分駆動のバックライトを採用した液晶パネルや高画質プロセッサーなどを搭載し、画質をブラッシュアップ。広視野角技術「X-Wide Angle」により、斜めからの視聴でも正面と同レベルの高画質を楽しめる。
SPEC ●画面サイズラインナップ:75V/65V/55V/49V型 ●チューナー:BS 4K/110度CS 4K×2、地デジ/BS/110度CS×2 ●接続端子:HDMI×4ほか ●サイズ/質量:W1230×H779×D310mm/18.1kg
4Kチューナー | 2基 |
4K VOD | 6サービス |
HDRフォーマット | 3方式 |
音声最大出力 | 30W |
<クロスレビュー!>
視野角が広いことでストレスを感じない
「斜めからの視聴でも、コントラスト感、色調ともに変化は少なく、ストレスを感じません。コントラスト感は多少犠牲になる印象ですが、視野角が広がるメリットのほうが勝ります」(藤原)
速い動きのスポーツもストレスなく視聴できる
「倍速駆動と独自のバックライト制御で、動きの速い映像の描写に強い。サッカーやバスケットボールなどの球技も、チラつきの少ない滑らかな画質で楽しめて、ゲームに集中できます」(川内)
【No.2】臨場感あふれる画質と音質を実現
パナソニック
ビエラTH-55HX950
実売価格20万6910円
独自の高輝度ディスプレイを搭載し、明るく色鮮やかな映像を描写する液晶最上位モデル。イネーブルドスピーカーの採用とドルビーアトモス対応により、天井に反射した音に包み込まれるような立体音響が楽しめる。
SPEC ●画面サイズラインナップ: 65V/55V型 ●チューナー:BS 4K/110度CS 4K×2、地デジ/BS/110度CS×3 ●接続端子:HDMI×4、USB×3ほか ●サイズ/質量:W1231×H766×D350mm/約28.5kg
4Kチューナー | 2基 |
4K VOD | 6サービス |
HDRフォーマット | 4方式 |
音声最大出力 | 60W |
<クロスレビュー!>
高コントラスト・高輝度の映像が魅力
「高効率LEDバックライトなどで放熱構造を強化。同時に光学シートの最適化により、高コントラスト化、高輝度化を実現しています」(藤原)
使い勝手に配慮された細やかな設計がうれしい
「イネーブルドスピーカーがもたらすサウンドの臨場感はクラス随一。転倒防止スタンドの採用など、ビエラらしい使い勝手の良さも光ります」(川内)
【No.3】コンテンツに合わせてAIが画質を最適化
LGエレクトロニクス
OLED 55CXPJA
実売価格20万4240円
どんな映像も4Kレベルに変換するAIプロセッサー搭載の有機ELテレビ。コンテンツに合わせて最適な映像処理がなされ、地デジ放送もネット動画も美しい映像が楽しめる。音質もジャンルに合わせて最適化。
SPEC ●画面サイズラインナップ: 77V/65V/55V/48V型 ●チューナー:BS 4K/110度CS 4K×2、地デジ/BS/110度CS×3 ●接続端子:HDMI×4、USB×3ほか ●サイズ/質量:W1228×H738×D251mm/23kg
4Kチューナー | 2基 |
4K VOD | 4サービス |
HDRフォーマット | 3方式 |
音声最大出力 | 40W |
<クロスレビュー!>
グラデ−ションも滑らかに描き切る
「有機ELディスプレイでは滑らかなグラデーションの表現が難しいもの。しかし、本機はきめ細かなタッチで階調の推移を緻密に描写します」(藤原)
見たいコンテンツに音声ですぐアクセスできる
「高品位な画質の有機ELテレビが約20万円で買えるというだけで魅力的! 音声操作も快適で、見たいコンテンツにすぐアクセスできます」(川内)
【《梅》クラス】予算額10万円〜15万円
液晶のスタンダード〜ミドルクラスが連なる価格帯。上位機の高画質・高音質性能は省かれることもあるが、必要十分の機能を備え、大画面4Kデビューにピッタリだ。
【No.1】 8K開発で培った高画質技術を応用
シャープ
AQUOS 4T-C55CL1
実売価格14万3000円
新開発の4K高画質エンジンを搭載。高精細で色鮮やか、メリハリのある美しい映像が楽しめる。独自の高効率LEDバックライトシステムを採用。消費電力を抑えながら画面輝度を高め、明るくクリアな映像を実現した。
SPEC ●画面サイズラインナップ:55V/50V/43V/40V型 ●チューナー:BS 4K/110度CS 4K×2、地デジ/BS/110度CS×3 ●接続端子:HDMI×4ほか ●サイズ/質量:W1240×H806×D290mm/27.0kg
4Kチューナー | 2基 |
4K VOD | 5サービス |
HDRフォーマット | 3方式 |
音声最大出力 | 20W |
<クロスレビュー!>
地デジ放送もネット動画も鮮やかな4K画質で楽しめる
「エントリークラスのモデルにも、同社8K映像技術で培った画質処理エンジンを搭載。地デジ放送もネット動画も高精細な4K解像度で楽しめます。鮮やかな映像が好みの人にオススメの一台」(藤原)
ドラマやニュースの声が聞き取りやすい音質
「聞き取りやすいサウンドは、このクラスではトップレベル。特にドラマやニュース番組などのセリフが明瞭です。OSにAndroid TVを採用するため、音声で気軽に操作できるのもうれしい」(川内)
【No.2】あらゆるネット動画を最適な画質で表現する
東芝
レグザ55M540X
実売価格13万1390円
「レグザエンジンCloud」を搭載した液晶レグザのミドルクラス。様々なフォーマットが混在するネット動画を自動調整し、高画質に表現する。AIが視聴傾向から番組を勧めてくれる「みるコレ」も便利。
SPEC ●画面サイズラインナップ:75V/65V/55V/50V/43V型 ●チューナー:BS 4K/110度CS 4K×2、地デジ/BS/110度CS×3 ●接続端子:HDMI×4ほか ●サイズ/質量:W1230×H750×D207mm/15.5kg
4Kチューナー | 2基 |
4K VOD | 6サービス |
HDRフォーマット | 2方式 |
音声最大出力 | 20W |
<クロスレビュー!>
クセのないプレーンな画作りが好印象
「輪郭が細くすっきりとして、抜けの良い描写が特徴。コントラスト感よりも映像の精細感やキレ味を重視したプレーンなタッチの画作りです」(藤原)
映像マニアも納得の高画質技術がユニーク
「クラウドとの連携でAIが高画質処理を行う技術はユニーク。アニメなら監督や制作会社などの情報を基に処理されるなどマニアックな仕様です」(川内)
【No.3】ネット動画から4K放送まで色鮮やかな映像で楽しめる
ソニー
ブラビア KJ-55X8000H
実売価格14万3000円
高画質プロセッサー「HDR X1」を搭載。地デジ放送やネット動画など、あらゆる映像を高精細で色鮮やかな4K画質で楽しめる。Android TVに対応し、豊富なネット動画をサクサク快適に視聴可能だ。
SPEC ●画面サイズラインナップ:75V/65V/55V/49V/43V型 ●チューナー:BS 4K/110度CS 4K×2、地デジ/BS/110度CS×2 ●接続端子:HDMI×4ほか ●サイズ/質量:W1243×H782×D340mm/16.8kg
4Kチューナー | 2基 |
4K VOD | 6サービス |
HDRフォーマット | 3方式 |
音声最大出力 | 20W |
<クロスレビュー!>
視野角が広くて明るく家族で楽しめる画質
「視野角が広く明るく抜けの良い映像が特徴。LEDバックライトは部分駆動ではありません。明るいリビングで家族と一緒に楽しめます」(藤原)
ドルビーアトモス対応で臨場感のあるサウンド
「立体音響技術『ドルビーアトモス』に対応。2基の内蔵スピーカーは下向き配置ながら、臨場感のあるクリアなサウンドを満喫できます」(川内)
【Topic1】有機ELテレビは「48V型」がアツい!
有機ELの高画質を手ごろなサイズで楽しみたい! そんな要望に応えて、各社から“ちょうど良い”48V型モデルがリリースされている。
【No.1】
東芝
レグザ 48X8400
実売価格23万1000円
【No.2】
シャープ
4T-C48CQ1
実売価格25万3000円
【No.3】
ソニー
ブラビア KJ-48A9S
実売価格25万3000円
パーソナルなスペースでも高画質で楽しめる
リビングだけでなくパーソナルなスペースでも高画質で楽しみたいという要望が増え、ソニー、シャープ、東芝などが48V型の有機ELテレビをリリースしている。液晶に比べるとまだ高価だが、市場での評判も上々で、今後さらにニーズが高まり、選択肢が増えそうだ。
【Topic2】イマドキのレコーダーは用途で選ぶ
外付けHDDへの番組録画が一般化しているが、機能は専用レコーダーに及ばない。ここで最新レコーダー2台の注目ポイントをチェックした!
【No.1】
パナソニック
おうちクラウドディーガ4Kチューナー内蔵モデルDMR-4CT401
実売価格14万4810円
【No.2】
東芝
タイムシフトマシンハードディスク D-M210
実売価格5万9400円
全録派はタイムシフトマシン、4K派はディーガがオススメ
東芝は、BDドライブ非搭載のHDDレコーダーを発売。最大6チャンネルの地デジ/BS/CS放送番組を約1週間ぶん全録できる。パナソニックはBDドライブ搭載で、新4K衛星放送(またはHD放送)3番組を同時録画可能。全録派は前者、4K派は後者がオススメだ。
●スペックにある「サイズ/質量」はいずれもスタンド含む数値