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2022/1/19 18:30

もはや“安い”だけじゃない!日本市場向けにチューニングされたハイセンス「65X8F」から感じる本気度

日本メーカーのテレビと変わらないスペックとサイズ展開を備えながら、圧倒的にインパクトのある価格を実現するハイセンスの4Kテレビはいまが「買い」なのでしょうか。ハイセンスが昨年秋に発売した65型の4K有機ELテレビ「X8F」シリーズの実力に迫りながら、その答えにたどり着きたいと思います。

↑ハイセンスの4K有機ELテレビ「65X8F」(実売価格24万8000円)

 

日本人の好みに合わせて熟練のエンジニアが映像をチューニング

X8Fはハイセンスが誇る4K有機ELテレビのプレミアムシリーズです。2020年秋に55型を発売後、48型から65型まで画面サイズ展開を広げてきました。筆者はX8Fシリーズについて大きく3つのポイントに注目しました。最初のポイントは「画質」の完成度です。

 

今回筆者はハイセンスのオフィスを訪問して、同社の視聴室で最新機種の「65X8F」の映像を視聴しました。ハイセンスが考える“画づくり”のポイントについては、X8Fシリーズを含む最新4Kテレビの映像のチューニングを担当する、開発センター 画質設計シニアエキスパートの永井賢一氏にうかがっています。

↑開発センター 画質設計シニアエキスパートの永井賢一氏

 

65X8Fの映像を視聴すると、人の肌の質感や風景を捉えた映像の色合いがとても自然に再現できる4Kテレビであることがよくわかります。X8FシリーズはBS/CS 4Kチューナーを内蔵しているので、アンテナにつなぐだけで手軽に4K放送が楽しめます。

 

4K高画質の紀行番組は、まさしく旅人の目線で映像の向こうに広がる世界を歩き回っているような感覚でした。木々の葉の緑色、空の青色が目で見る景色の印象にとても近く、色合いのバランスが崩れません。視聴を開始した直後は陰影の再現がやや穏やかに感じられましたが、次第に明暗の階調をきめ細かく丁寧に、なおかつリアルに再現する映像の安心感に引き込まれてしまいました。

 

65型の大画面に広がる夜景の映像は暗部の奥行きに深みがあります。黒色を引き締めて再現できる有機ELディスプレイの特徴を生かしつつ、ボトムの暗所を深く沈めて、そこから明るさを浮かせることなく映像の“少し暗い箇所”まで階調をきめ細かく再現します。平面のパネルの向こう側に広がる立体的な世界に緊張感が漂います。

↑画質設定を変えながら様々なコンテンツを視聴しました

 

AIエンジン「NEOエンジンplus 2020」で地デジやネット映像も高画質に

X8Fシリーズの映像美を引き出している中核は、最新の「NEOエンジンplus 2020」です。この映像エンジンが搭載するAI(人工知能)が映像の「シーン」や「動きの量」を解析しながら、どの映像モードを選択した場合でもリアルな映像に整えます。

↑高画質処理を可能にする「NEOエンジンplus 2020」

 

最新のエンジンでは、新たに3段階の超解像処理機能が加わりました。地デジや2KのBS/CS放送を複数の段階で4K解像度にアップコンバートしてX8Fの画面に映し出すまで、複数の行程でノイズを低減しながら精細感のある映像に変換します。地デジのバラエティ番組を視聴してみると、被写体となる人物を立体的に浮かび上がらせながら、肌は滑らかに描き分ける超解像エンジンの“賢さ”が良くわかります。

↑3段階に分けて超解像処理を行うことでノイズを抑え自然で高精細な画質を実現

 

AIによる超解像処理は、YouTubeやNetflixのようなインターネット動画にもよく効きます。被写体の輪郭を引き締めつつ、平坦部分のノイズもよく抑えます。永井氏は、映像の明部ピークの輝き感を復元してキラリと光る映像を再現したり、明るさのバランスをパネルのエリアごとに制御して暗部のつぶれや明部の飛びを抑えるといった高度な処理も、X8Fシリーズが搭載するスマートなAIエンジンが得意とするところなのだと話しています。

 

X8Fシリーズには新世代の有機ELパネルが採用されています。「AI搭載の画質エンジンと連携して、超解像処理による精細感の高い映像を再現できるように、何度もチューニングを繰り返しながら丁寧に画づくりを練り上げてきました」と永井氏が振り返っています。

 

X8Fシリーズをはじめ、ハイセンスの4Kテレビは永井氏をはじめとする熟練した日本人のエキスパートの手によって、日本人が好む映像美を徹底追求しているからこそ、安心の高画質が楽しめるのです。

↑日本人の好みに合った画質を追求して、日本で画質のチューニングを行っているとのこと

 

映画・アニメ・ゲームなどあらゆるコンテンツを想定した画質設計

X8Fシリーズには、プレミアムモデルならではの高画質化技術が数多く投入されています。有機ELパネルとメタルバックカバーのあいだに冷却インナープレートを採用。自発光の画素セルをフルに駆動しながら効率よく冷やすことでパフォーマンスを安定させ、さらに色合いや輝度の特性を永井氏をはじめとするエンジニアが繰り返しチェックしながら仕上げています。

 

Ultra HDブルーレイ作品などに数多くあるドルビービジョン方式の高輝度・高画質な4K/HDRコンテンツを楽しむなら、ハイセンスの4Kテレビの中では現在唯一、ドルビービジョンに対応するX8Fシリーズがオススメです。さらに本シリーズの有機ELパネルはHDR倍速表示に対応しているので、スポーツ番組をはじめとする「動きの多い動画」も残像感を抑えて明瞭に再現します。

 

映画やアニメを楽しむなら映像モードの設定は「映画」がおすすめ。永井氏はナチュラルな画づくりを意識しながら入念にチューニングを行ったそう。ユーザーがカーテンを閉めて映画鑑賞に最適な環境でコンテンツを視聴したときにベストな画質になるよう、同社の従来モデルよりもわずかに「色彩感豊かなバランス」にチューニングを整えたといいます。X8Fシリーズには、テレビを置いた部屋の明るさを判定する自動明るさセンサーも内蔵されているので、リビングルームなどに設置しても、時間帯を問わずベストなコンディションの映像が楽しめます。

 

そして大きな画面のテレビでゲームを楽しみたい方にもX8Fシリーズは最良の選択になります。最新の映像技術である「4Kゲームモードplus」では、ボタンを押してからのレスポンスを向上する低遅延処理に加えて、X8FからはSDR品質の映像をHDRライクな画質にアップコンバートしたり、滑らかな動画を再現するためのフレーム補間動作や超解像処理を合わせて行っています。ダイナミックレンジが広く滑らかな映像が同モードの特徴です。ネイティブ4K/120p画質のゲーム映像の入力には非対応ですが、60fpsのソースをとても滑らかに再現します。

 

テレビ単体で迫力のサウンドが楽しめる

ふたつめに注目したいポイントは、X8Fシリーズが「音もいいテレビ」であることです。

 

一般的にテレビは薄型化を極めるほど、本体にサウンドシステムを内蔵するスペースが限られてくることから、映像はきれいでも「音はイマイチ」に感じられる製品もあります。テレビの音を強化するために別売のサウンドバーやスピーカーを購入してみたものの、今度は“音もの家電”にテレビ周辺のスペースを奪われて困っているという方も少なくないのではないでしょうか。

 

X8Fシリーズはバックライトシステムを必要としない有機ELの特性を活かして、パネル部分の薄型化を突き詰めながら12W×6チャンネルのパワフルなアンプにより駆動するサウンドシステムを内蔵しています。Eilex社が開発したPRISM(Primary Sound Measurement)という技術により、テレビが内蔵するスピーカーの特性を測りながら、イコライジング処理により音質を最適化します。

↑Eilex社が開発したPRISM技術により、音質を最適化

 

PRISMは主に4つの技術により構成されます。ひとつは映像コンテンツに含まれる音声信号がデジタル圧縮の際に失われた微小信号を復元・修復、ディティールのニュアンスを蘇らせる「サウンドリマスター」。もうひとつがステレオ音源をバーチャルサラウンド化する「サラウンドスペース」。コンテンツが切り替わるタイミングで音量を自動的に最適なレベルに調節する「オートボリューム」は、ハイセンスの従来の機種も搭載していましたが、Eilexの技術を採用したことにより音質が向上しているそうです。ほかにも人の声を強調し聴き取りやすくする「クリア音声」もテレビの音質向上に貢献する機能です。

 

ハイセンスの視聴室でX8Fシリーズのサウンドをチェックしてみました。人の声が画面から聞こえてくるような自然な「画音一体」の感覚は独自の演算処理による「ダイレクトサウンド」という技術により実現しています。テレビには複数の音声モードを選択できる機能もあり、「映画」を選ぶとアクション系の映画などは包み込まれるような迫力が味わえて、手に汗を握りました。低音強調やサラウンドのバランスを微調整すると、より迫力のあるシアター鑑賞が別途サウンドバーやスピーカーを足さなくても「テレビ単体」で楽しめます。

 

安全性も重視した合理的なデザイン。将来性豊かなスマートプラットフォーム

X8Fシリーズについて、筆者が注目した3つめのポイントは機能やデザインを含む全体の完成度の高さです。

 

同シリーズは有機ELパネルの周辺を保護するベゼル(額縁)をとてもスリムにデザインしたテレビです。まるで映像が宙に浮いているかのような効果を追求するだけでなく、カバーガラスの周辺をしっかりと保護するようにフレームで覆い、万一テレビが転倒した場合にもパネルが破損しないように安全性を熟慮しています。デスクトップスタンドは色をガンメタリックとしてリビングの風景に自然と溶け込ませます。

↑ガンメタリックのスタンドが高級感を漂わせています

 

X8Fシリーズはインターネットに接続して、YouTubeやNetflixなどインターネット経由で視聴するVODコンテンツが手軽に楽しめるスマートテレビです。VIDAA(ヴィダ)という名称の、ハイセンスによる独自プラットフォームを採用していますが、X8Fシリーズでは従来のVIDAA 2.5からVIDAA 3.0に進化を遂げています。

↑進化を遂げたハイセンス独自のプラットフォーム「VIDAA 3.0」

 

このVIDAA 3.0は、ユーザーが頻繁に使うコンテンツのアイコンを並べ替えたり、カスタマイズの自由度が高いところが特徴。また、一度立ち上げたアプリはテレビの電源を落とさない限り、再度VIDAAにアクセスした時にもアプリを素速く起動できる利便性を同時に追求しています。

↑65X8Fのリモコン。様々なネット動画配信サービスにすばやくアクセスできる

 

ハイセンスはVIDAAを海外で販売するスマートテレビにも乗せて、そのネットワークをハイセンスのホームアプライアンスやスマートホーム系のサービスにも拡大しています。日本でも近くスマートホーム系の家電に対応が広がり、やがてハイセンスのテレビを設置したリビングルームから、宅内のスマート家電を操作・モニタリングできる日が来ることを期待したいですね。

 

ハイセンスの4Kテレビが、特に日本人の好みに合わせて丁寧に練り上げた映像は一見の価値があると筆者は考えます。サウンドバーも要らないパワフルなサウンド、人気のインターネット動画がテレビ単体で再生できるスマートプラットフォームも含めて、1台でマルチに活躍してくれる「テレビシアターの主役」として、価格以上のインパクトを備えるハイセンスのテレビは「いま買いたい選択肢」の中に入れるべきだと感じました。

 

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