39歳でフランス大統領になったエマニュエル・マクロン氏が、その就任式で着たスーツが話題になった。歴代大統領たちは高級スーツに身を包んでいたのに対し、彼が選んだのは350~450ユーロ(4万円前後)で買えるJonas&cieという庶民派ブランドのスーツだったのだ。これで新大統領の好感度は一気にアップしたのは言うまでない。
そんなマクロン大統領だが、足元にだけはこだわりがあるようで、普段愛用してるのはフレンチトラッドの名門、J.M.Westonの靴だという。
エレガントな7アイレットの靴
働く男に相応しい日本と世界の鞄と靴のブランドを網羅した『保存版 鞄と靴の傑作図鑑』(学研パブリッシング・編/学研プラス・刊)にも、J.M.Westonはもちろん取り上げられている。
幾多の名品を生み出してきた1891年創業のジェイエムウエストンは、フランス人のエドゥアール・ブランシャールが創業したフレンチトラッドの代名詞的存在。その特徴は自社タナリーで1年かけてなめすベジタブルタンニングのソールレザー、高品質な自社製のアッパーレザーなど独自の手法が挙げられる。
(『保存版 鞄と靴の傑作図鑑 電子版』から引用)
フランスのあるジャーナリストによると、マクロン大統領のお気に入りは、1枚革で作られた7アイレット(7つ穴靴紐)のモデルだそうだ。
靴を買う前に知っておくべきこと
どんな高級スーツに身を包んでいても、くたびれた靴を履いていたのではすべてが台無し。逆に、服は量販店の安物でも靴がよければお洒落度はグンとアップするものだ。
特にビジネスシーンで相手にいい印象を与えるためにも、靴選びは慎重になるべきだろう。
本書には、イギリス、イタリア、フランス、アメリカ、そして日本など世界から選りすぐった傑作紳士靴のブランドと、その代表的なモデルが紹介されているので、欲しい1足がきっと見つかるはずだ。
さらに、紳士靴はヨーロッパで生まれた文化なので、日本語にない専門用語が多い。そこで、この本では靴を買う前に知っておきたい10のこと、として専門用語を含め、靴を選ぶ際に欠かせないポイントを詳しく解説している。
1.ウィングチップ、ホールカットなど靴の代表的な12タイプのカタチと名称を覚える。
2.靴の製法を知る。ハンドソーン(ウエルト)製法、マッケイ製法などの製法を知ることでその機能性がわかる。
3.靴のパーツの呼び方をすべて覚えれば、靴専門店での会話がスムーズになる。
4.レザーソール、クレープソールなど、アウトソールのタイプを知る。
5.ピンキング、ツイストステッチなど、穴飾りとスキンステッチを知る。
6.靴店での正しいフィッティングを知っておく。
7.自分でできるデイリーケアを覚えておく。
8.シューツリーなど靴好きの必需品を知る。
9.パラレル、シングルなど靴紐の通し方をマスターする。
10.国別の靴サイズ。さらに、ウィズサイズ(足囲)を知っておく。
以上をマスターすれば、本格靴ライフを楽しめるようになるとのことだ。
いい鞄は直しながら長く使う
それは紳士鞄ではないが“一流ブランドの鞄は、こうやって使うもの”と教えてくれるひとつの鞄を見たことがある。
だいぶ前になるが、パリ市庁舎でグレース・ケリー展があった。モナコ公国の大公妃となった彼女の着ていたドレスや装身具などが展示されていたが、中でもひときわ目を引いたのが、エルメスの“ケリーバッグ”だった。自らの名が付いたそのバッグは長年使い込まれたようで、何箇所も修理の跡があり、また修理依頼されたエルメス社の書類も合わせて展示されていた。
モナコ王妃ともなれば、バッグを買い換えることなど簡単だが、それをせず1点のバックに愛着を持ち、大事に大事に長い間使っていた様子が分かり、とても感動した。
自分のスタイルに合った鞄を見つける
鞄と言っても、その種類は実に多彩なので、鞄選びに悩んでいる男たちは多いそうだ。
ビジネスシーンで活躍するのはダレスバッグ、アタッシュケース、ブリーフケース、スマートケースなど。また、休日のカジュアルウエア用には、メッセンジャーバッグ、ボディバッグ、マルチバッグなど種類は豊富だ。まずは、それらの鞄の種類を覚え、自分のワードローブと照らし合わせて似合うものを選ぶべきだろう。
さらには、鞄の場合はその素材もさまざま。コットン、ナイロン、麻などのソフトシェルの鞄もあれば、ハードシェルの鞄としてはサムソナイトのカーヴ、トロリーケースに使われている軽量で耐衝撃性に優れたポリカーボネイトなどがある。
レザー鞄にも豚革、馬革、鹿革、蛇革、鰐革、駝鳥革などがあるが、中でも定番素材である牛革においては月齢や年齢で呼称が変わるのだ。生後6ヶ月くらいまでの仔牛皮をカーフスキン、生後6ヶ月から2年くらいまでがキップスキン、生後3ヶ月から6ヶ月の去勢雄牛皮をステアハイド、生後3年以上の雄牛皮をブルハイド、生後2年くらいの雌牛皮をカウハイドと呼ぶそうだ。
好みの素材を決めて、そこから鞄を選び抜くのもいいだろう。本書では、日本と世界の一流ブランドの鞄を紹介するとともに、知れば知るほど鞄選びが面白くなる情報が満載。
自分に相応しい鞄は、きっとこの本の中から見つかる!
(文:沼口祐子)
【文献紹介】
保存版 鞄と靴の傑作図鑑
著者:学研パブリッシング(編)
出版社:学研プラス
定番ブランドを中心に、10年後も安心して使い続けられるデザイの、大人にふさわしい鞄と靴の傑作カタログと正しい選び方を解説。ブランドヒストリー、鞄と靴を入れ込んだビジネススタイルの提案、うんちく知識など記事も充実の保存版。
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