本・書籍
2017/8/30 17:00

いまからでも遅くない! “大人の夏休み”に読むべき 7冊の課題図書

子どものころ、あんなに嫌いだった“宿題”。8月の終わりに半泣きになりながら片付けていた、という人も多いかもしれません。ところが大人になってみれば、勉強することの大事さを痛感する毎日ではないでしょうか。ちょうど夏休みシーズン。外は暑いし出かけるのも面倒……という人は、大人ならではの余裕をもって、読書で“夏休みの宿題”気分をふたたび味わってみませんか?

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@Livingでおなじみ、心と頭に効く本を探し当ててくれる“ブックセラピスト”の元木忍さんは「学生のときって、宿題って大変だったじゃないですか。でも大人になって積極的に勉強できる時間を作るのは、本当に自分だけのため。夏休みという時間を使って、いつもはセレクトしないような本と出遭うことで、今の自分と向き合い、学びたいことを学べるのは、大人ならではの贅沢な時間の過ごし方なのではないでしょうか」と提案してくれました。今回ピックアップされた、夏休みにピッタリなおすすめブックは、「国語・読書感想文・歴史・地理・理科・絵日記・自由研究」の7ジャンル。どの“教科”を選んでもOK、でもむしろ一冊読んでみれば、すべて読破したくなるかもしれません!

 

Selected Books

ココロに効く文学を知る“国語”の時間

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『文学効能事典 あなたの悩みに効く小説』
エラ・バーサド、スーザン・エルダキン(著)
フィルムアート社 2160円

「私は“本によって解決できることは必ずある”と信じてセレクト書店を開業していますが、なんとこの本は『効能事典』というチャーミングなタイトルをつけながらも、興味がそそられてしまう本です。例えば『食欲がないとき』『出世欲が強いとき』などの、細かいシチュエーション別にオススメの本をピックアップしてあり、思わぬ本と巡り合ってしまう。まったくと言っていいほど本の分野は整理されていないし、テーマもバラバラなところがさらにワクワクさせます。もちろん名作も数多く紹介はされていますが、忘れかけていた本や、まだ読んだことのない本にも出逢えることが最高にハッピーなんです。少し笑えるシチュエーションとして、『インフルエンザにかかったときは~』とちょっと変わった角度からもオススメしてくれるので、あっちをめくったり、こっちをめくったりと、本当に“事典”のような役割を果たす本。是非とも体験をしてみてほしいです」

 

“読書感想文”でいまの自分を確認する

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『たいせつなきみ』
マックス・ルケード(著)、セルジオ・マルティネス(画)
いのちのことば社 1728円

「この物語は、木彫りの小人たちのおはなし。とても残酷ですが、現在の社会に置き換えて読むことができるんです。街で誰かに『いいね』と言われると星★がもらえるけれど、『ダメ』と評価されれば黒い印を貼られてしまう。この本を読むと、冷静に“人の価値とはなにか”ということを考えさせられます。あなたの価値は誰が決めていると思いますか? もしかしたら自分自身なのかもしれません。他人の目を恐れず、自分自身の価値を信じてほしいと思う瞬間です。是非とも毎年読んで、そのたびに読書感想文を書き留めて欲しい本です。自分が成長している、という変化を実感できるだけでなく、誰かに何かを与える年、逆に何かを教わっている年など、年齢に関係なくそのときの自分の姿が見えてきます」

 

“歴史”の最新常識を知り大人の知識欲を満たす

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『2時間でおさらいできる世界史/世界史<近・現代史篇>』祝田秀全(著)
『2時間でおさらいできる日本史/日本史<近・現代史篇>』石黒拡親(著)
『2時間でおさらいできる戦国史』石黒拡親(著)
大和書房 各700円〜702円

「ズバリ、短時間で歴史の復習ができます。大人になってからの歴史とは知識欲ですからね。第1ページ目からだけでなく、読みたいところから読めばいいと思います。特に忙しいビジネスマンは新幹線など移動時間も多いですから、そんなすき間時間を利用してみてはいかがでしょうか。私なんて、友達とお酒を飲んでいる時のネタをここから拾うこともあるくらいですから(笑)、クイックに学ぶ時間をつくってみてください」

 

“地理”は大人の嗜みにつながっている

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『改定新版 ワインの地図帳 “アペラシオン”と格付けを合わせて学ぶ』
塚本悦子(著)
美術出版社 1944円
※写真は改定前版です

「かつての私は、地理はただの暗記だと思っていて、これまでまったく興味はなかったのですが、大人になって、海外旅行に行くようになってから地図を見るといろいろと発見も多いなと。そこで個人的に大好きなワインと絡めれば、地名も覚えられる! ということに気がついたんです(笑)。この本からは、生産地と生産可能品種なども読み解け、地名とブドウの関係がとてもよくわかるんです。一石二鳥でワインの知識が身につきますよ!」

 

トレンドの菌という“理科”を漫画で学ぶ

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『もやしもん 第1巻〜第13巻』
石川雅之(著)
講談社 各576〜616円

「10年以上前に流行ったコミックですが、元来漫画が苦手な私でも、これはとっつきやすいし、本当にいい本だと思っています。肉眼で菌を見たり、菌とおしゃべりしたりすることができる主人公を中心に、菌・ウイルスに関わる農業大学の学生生活を描いています。科学的な観点・知識も身につくし、何よりテーマが、最近のトレンドである『腸活・菌活』など時代を先取りしている。ほかの細菌・ウイルス関連本を読む前のならし勉強としても最適ですね。夏休みだからこそ、一気読みをオススメします」

 

“絵日記”にマネジメントの極意を綴る

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『スイミー ちいさなかしこいさかなのはなし』
レオ・レオニ(著)、谷川俊太郎(訳)
好学社 1572円

「夏らしく、海の中の涼しいお話を選びました。赤い魚の群れに一匹だけ混じっている黒い魚、スイミー。絵が素敵なのはもちろん、社会の中での自分の役割に気が付かされる一冊です。取り残され、現状を打開していくスイミーの状況を、自分に置き換えて考えることができる、深い内容になっています。ひとりではできないことも、みんなが集まれば可能になる。企業や政治など、現代社会に照らし合わせたり、経営やマネジメントなどに携わる人は『僕がみんなの目になる』というスイミーのメッセージを感じたりと、広いレンジで読者に響く本だと思います」

 

身近な自然に目を留める“自由研究”

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『自然図鑑―動物・植物を知るために』
さとうち藍(著)、松岡達英(画)
福音館書店 1728円

「民家にクマが下りてきたり、ヒアリの危険性だったりと、昨今たとえ都会に住んでいながらも、自然の生き物の存在を意識することがらが多くなっていますよね。この図鑑では、生き物の生態系という、知っていそうで知らないことが学べます。例えば都会でも、セミやトンボが飛んでいることも多いので、子どもに聞かれたときに教えてあげたいですよね。なぜその鳥がそこにいるのか、なども。カラーではないのが少し残念ですが、すべてイラストで描かれているので、虫が苦手な人も手に取りやすい。せっかくの夏休み、自然を感じながら過ごすもの有意義だと思いますよ」

 

【Profile】

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ブックセラピスト / 元木 忍

brisa libreria代表取締役。卒業後、学研ホールディングス、楽天ブックス、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と一貫して出版に関わる。その後、東日本大震災を機に人生を見直し、2013年にココロとカラダを整えることをコンセプトとした「brisa libreria」を起業。訪れる人が癒される本を中心に据え、エステサロン、ヘアサロンを併設する複合サロンとして、南青山にオープンした。

http://brisa-plus.com/libreriaaoyama

 

取材・文=三宅 隆 撮影=田口陽介

 

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