日本の食卓に欠かせないものといえば、みそ汁だ。
料理研究家・瀬尾幸子さんは、みそ汁をこう定義している。「みそ汁は、おかずである」と。
みそ汁はあくまで汁物であり添え物であって、ご飯とみそ汁だけでは物足りない!という人も多いだろう。でも、あの料理研究家・土井善晴さんも「一汁一菜」を提唱している。みそ汁は、十分おかずになり得るのだ。
具がたっぷり入ったみそ汁は、栄養満点でお腹もいっぱいになる。そして、材料を切って、煮て、味噌をとく、この3ステップでできるので、料理初心者でも老若男女誰にでも作れる。みそ汁ってば、なんとも素晴らしいヤツなのである。
正直、具がマンネリ化しています……
我が家でも、シチューやカレーの日以外は、できる限りみそ汁を作っている。しかしながら、毎日のように作っているが故に、なんとも代わり映えしないのが悩みの種だ。
よく入れる具は、大根、玉ねぎ、じゃがいも、豆腐、油揚げ。ほぼこのローテーションだ。砂抜きをする余裕がある日は、しじみやあさり。あとは、その日冷蔵庫にあった余り物を、気まぐれに入れる程度。まるで、長年付き合って関係性がマンネリ化したカップルのようだ。もっと、刺激が欲しい。
そんな現状を打破するために、先に紹介した瀬尾さんのレシピ本『みそ汁はおかずです』(学研プラス・刊)を熟読して、変わり種みそ汁にチャレンジしてみることにした。
その1:仕上げにまさかのカレー粉!「じゃがたまカレーみそ汁」
まずは、我が家でもおなじみの食材であるじゃがいも、玉ねぎを使ったみそ汁レシピ。半月切りにしたじゃがいもと、くし形に切った玉ねぎをだし汁で煮て、味噌を溶くところまではいつも通り。ひと煮立ちしたら、なんとバター小さじ1とカレー粉小さじ4分の1を加える。みそ汁にカレー粉! もはや、みそ汁ではない。Miso Curry Soupである。
ちなみに我が家は、夫も私も八丁味噌の赤だしで育ったため、赤味噌がメインだ。そこに少しだけ白味噌を混ぜて、合わせにしている。だが、このレシピに限っては、イメージ的に白味噌のみで仕上げてみた。
さて、肝心の味はというと、「みそ汁と言って出さなければ、とてもおいしい」と夫談。確かに、いつものみそ汁の味を想像して飲むとビックリするが、ほんのりカレー風味はなかなかイケる。具材を変えて、再度チャレンジしてみたい。
その2:漬物を入れると旨味アップ!「野沢菜漬け&厚揚げみそ汁」
瀬尾さんのレシピを見ていて「!」と驚いたのが、漬け物をみそ汁に入れるというレシピだ。漬け物を入れたチャーハンは食べたことがあるが、みそ汁はお初である。正直、しょっぱそうであまり美味しそうな気がしない。よくよく考えれば、葉物野菜と厚揚げを入れるようなものだから、相性は悪くないはずなのだが。
作り方は簡単、野沢菜漬けと厚揚げを適当な大きさに切って、だし汁で煮る。野沢菜漬けが柔らかくなったら、味噌を溶いて完成。なお、漬け物に塩分があるため、味噌の量は少なめに。
これが、ものすごく美味しいのである。今回は赤味噌と白味噌を1:1の割合にしてみたのだが、この割合もよかった。何より、葉物野菜と厚揚げだけでは出ないコクというのだろうか、漬け物から出る塩加減が絶妙なのだ。ただし、子ども向けの味付けではないかもしれない。大人好みの一品だ。
その3:風邪気味のときにピッタリ!「みそ豆乳しょうが汁」
最後に挑戦したのは、仕上げに豆乳を入れるという変わり種レシピ。材料は、小松菜、長ネギ、にんじん、豚肉、しょうが、豆乳。奇跡的にすべて冷蔵庫にあったので、これ幸いとチャレンジしてみた。
濃いめのだし汁に豚肉と野菜を入れて煮立て、具材が柔らかくなったら(この場合は長ネギが判断基準)味噌を溶いてしょうがをプラス。今回は、赤味噌2:白味噌1の割合にしてみた。最後に豆乳を加えて、ひと煮立ちさせたら完成だ。
個人的には、これが一番のヒットだった。表現するならば、豚汁と豆乳鍋の間とでも言おうか。寒い冬、風邪気味のときなどは特に、体がポカポカ温まって良い。ちなみに、我が家の2歳児も「おいしい!」を連発してゴクゴク飲んでいた。
みそ汁は自由な料理だ。極論、何を入れても正解である。たとえば、ブロッコリー、粒コーン、ベーコン、ちくわ。アクセントに、山椒、豆板醤、オリーブ油。凝り固まった頭では思いつかなかった具材を、『みそ汁はおかずです』は提案してくれている。みそ汁の秘めたるポテンシャルは、無限大なのであった。
【著書紹介】
みそ汁はおかずです
著者:瀬尾幸子
出版社:学研プラス
みそ汁は作るのも簡単、時間もかからず、何を入れてもおいしいすぐれた1品。具だくさんにすれば立派なおかずになり、ごはんだけでなくパンにも合う懐の広さもある。みそ汁をこよなく愛する著者が、おなじみ食材の組み合わせで絶品みそ汁を紹介。