本・書籍
2018/2/15 16:30

平均床面積が日本より狭いイギリスから学ぶ、こじんまりした家で優雅に暮らすための3つの基準

もうだいぶ前のことですが、EC(ヨーロッパ共同体)の報告書に「日本人は兎小屋のような狭い家に住みながら、必死で働く国民である」といった記述があり、物議をかもしたことがあります。非公式の報告とはいえ、日本人を侮蔑する報道に黙ってはいられないと息巻く人も多かったはずです。

 

私もその記事を読んだとき、「いくらなんでも、兎小屋は言い過ぎでしょ? 日本は国土が狭いんだから、仕方が無いじゃないのさ。大きなお屋敷に住むヨーロッパ人と比較して、あれこれ言わないで欲しいもんだ」と、ふてくされながら思ったのですが、実はこれ、なんと誤訳だったそうです。

37275054 - empty apartment with a couple and packing boxes / 3d rendering

 

 

兎小屋を卑下することはありません

ここで言う「兎小屋」とは、フランス語で「Cage a lepins」を逐語訳したからこうなったものの、本来は「都市型集合住宅」を意味するのだそうです。
日本人は都市型集合住宅で暮らし、せっせと働いてきました。

 

私も団地形式の社宅で育ち、父は朝から晩まで働いていましたが、それを恥と思ったことはありません。かと言って、得意にも思っていませんでした。そういうものだと思っていたのです。

 

日本の居住面積は他国に比べて狭いと思ってもいました。こちらもそういうものだと信じていました。ところが、それは間違いだったようです。

 

いくつかの統計によると、1軒あたりの平均床面積は1位はアメリカと、これは思った通りです。日本はといえば、5位にランクイン。特に狭いわけはありません。日本を「兎小屋に住んでひたすら働く国民」と考えたフランスは、なんと7位。私がお城のような家に住んでいると考えていたイギリスにいたっては、さらに低い8位というではありませんか!

 

私が考えているほど、日本の家屋は狭くはなかったようです。

 

こじんまりした家で豊かに暮らすのがイギリス流

イギリス流 小さな家の贅沢な工夫』(井形慶子・著/KADOKAWA/中経出版・刊)には、住居を大切にするイギリス人達の生活が、日本人の著者の視点で綴られています。こじんまりしたイギリスの住宅で賢く暮らそうとする知恵が披露されていて、そこに学ぼうとする思いが満載です。

 

著者の井形慶子さんは、イギリスの暮らしをテーマにした雑誌「mr.partner」を出版する傍ら、イギリスに関するエッセイを数多く執筆してきました。イギリスの住宅事情についても、実際にリフォームを手がけるなど、現地の事情にも精通しています。そんな彼女も言っています。

 

2017年、イギリス住宅の平均床面積は76㎡と日本の95㎡より、はるかに小さく、先進国で世界最小と報じられました

(『イギリス流 小さな家の贅沢な工夫』より抜粋)

 

 

賢く暮らすために

彼女は50才のとき、自らイギリスにフラットを購入しました。それも、ロンドンに。築120年の住宅で、広さは58㎡。小さな寝室が2つある2LDKだといいますから、決して広くはありません。

 

ところが、狭さを感じることなく暮らしているというのです。3~4人のスタッフが長期滞在しても、問題ないというのですから驚きです。是非、その知恵を教えていただきたいと思うのは私だけではないはずです。

 

 

家に対する3つの考え方

日本の住まいというと、常にもう一部屋あったらという不満と共に存在しているような気がしてなりません。そして、とにかく物を捨てて、片付けなくてはという焦りもあります。
少なくとも、私はそうなのです。面目ないですが…。

 

けれども、著者はイギリスで家を持ったことで、次の3つが大事だと気づいたといいます。

 

①家はレイアウトが良ければコンパクトでいい
②家はロケーションが良ければ古くてもいい
③家は広さより眺望

 

この3つを日本で活かすことができれば、快適さを取り戻すことがができるのでしょうか?

 

理想の住まいは自分の手で作ることができる?

上の3項目を胸に、改めて、今暮らしている神戸の家を眺めてみました。すると、私は不満を持ってばかりいて、せっかくの家を台無しにしていたのではないかという反省でしょんぼりしてしまいました。

 

私が住んでいるマンションは、レイアウトは細切れの部屋が多いものの、住み心地は悪くはありません。裏には山が迫っていて、窓からは清涼な空気が流れこんできます。けれども、コンビニに歩いていくこともできます。山の中腹に建っていますから、眺望は抜群です。

 

それなのに私は満足していませんでした。積みあげられた本やDVDと共に生活しているからです。窓を開けるときも、詰まれた書類や本が邪魔で仕方がありません。けれども、これは家には何の罪もないのです。

 

もしかしたら、私は自分の手で、自分の部屋を台無しにしていただけなのかもしれません。もちろん、ここはイギリスではありませんから、イギリスではこうだからの考えに100パーセント従うことはできません。けれども、住宅事情のよくないロンドンでも快適な暮らしができるのですから、私にだってできると考えるだけで、私の家への見方が変わってきたのは確かです。

 

 

リフォームで手に入れるイングリッシュドリーム

著者は若い頃から、リフォームによって住まいを快適に変身ささせてきました。リフォームについても、独特の意見を持っています。

 

たとえば、アメリカンドリームならぬ、イングリッシュドリームは、リフォームによって手に入るというのです。新しい家を買うアメリカに比べ、イギリスでは、古くぼろぼろになった家をリフォームすることによって、あり得ないような高値の家に変身させる人もいるといいます。

 

リフォームによるイングリッシュドリーム――。私がこれまで考えたこともなかった夢の叶え方だといえましょう。日本でも最近、田舎の空き家が問題になっていますから、耐震の問題などをクリアすれば、古い家で快適な暮らしを送ることが可能となるかもしれません。

 

 

イギリス人のイギリス人によるイギリスの暮らし

『イギリス流 小さな家の贅沢な工夫』には、家づくりに関するヒントが満載されています。もう本当に、ぎゅうぎゅうに書いてあります。著者の情熱がほとばしっているようです。

 

加えて、実際に家を辛抱強くリフォームしたイギリス人の具体例が豊富な写真で示されています。ああ、こんな方法もあるのね? 素敵な家具が一つあれば、満足できるわけ? 本には遮音効果があるなんて! と、次々と新しい知識を得ることもできます。

 

自分なりの工夫をこらした家でくつろぐこと。これがこの世の幸せなのかもしれません。もっと自分の家を大切にしなくてはと、心底思うようになった私です。

 

【著書紹介】

2000005618032

 

イギリス流 小さな家の贅沢な工夫

著者:井形慶子
出版社:KADOKAWA/中経出版

ヨーロッパで一番小さな家に住む英国人(平均床面積70平米台)に学ぶ家がもっと心地良くなるインテリア&リフォーム。少ないお金で心地良い家を手に入れるには? 年収300万円でも持てる味わいある家。土日で完成! 小さな空間の整え方。都心部に住むなら断然庭付き1Fマンションがお得?! 家がもっと心地良くなるインテリア&リフォーム。

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